院長主催の懇親会で起きているズレ_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード14全文書き起こし

Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード14全文書き起こし

DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

オープニングトーク

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOCWEB編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、第14回が始まりました。大西さん、よろしくお願いします。

クリニックの懇親会、やるべき?やらないべき?

(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何ですか?

(高山)今日のテーマは「懇親会ってやるべき?やらないべき?」です。

(大西)クリニックでは、歓送迎会、懇親会、クリスマス会、忘年会など、様々な集まりがありますよね。

(高山)そうですね。

(大西)でも、最近、こういった会を以前のように開催しにくくなっているように感じます。そこで、今日はこのテーマを選びました。ちなみに、高山さんのクリニックでは懇親会などを開催していますか?

(高山)先日、社員が集まって食事会を開催しました。リモートワークで全員が在宅勤務のため、普段はあまり顔を合わせないこともあり、純粋に食事を楽しむ会にしようと事前にアナウンスしました。集合時間は昼の11時半、お店に集合してランチを1時間楽しんで解散という流れです。喜んで参加してくれたようで、美味しく食べて解散しました。

(大西)1時間、年1回、気遣いがすごいですね。

(高山)そうなんです。この懇親会、年1回なんですよ。1年ぶりに社員全員が直接会いました。

(大西)なるほど。会議なし、現地集合・現地解散。昔とは違いますね。

懇親会のメリット・デメリット

(高山)懇親会は、ずばりやるべきものなのでしょうか?

(大西)難しい質問ですね。良い面と悪い面の両方があると思います。開催の発案者はたいてい院長先生ですよね。先生はスタッフの慰労のために開催しようとします。日頃の頑張りに感謝して、労をねぎらいたい。院長先生にとっては、ある種のスタッフ接待という側面もあるでしょう。

(高山)確かに。

(大西)しかし、スタッフからすると、懇親会も労働時間です。最近では、「懇親会は時間内ですか?時間外ですか?」と聞いてくる若いスタッフもいます。「時間外です」と答えると、「では行きません」と言われてしまうケースもあるようです。

(高山)仕事の一環として参加を求められるということですね。

(大西)院長先生がお酒を勧めてきたら、それは強制なのか?飲めないなら飲まなくても良いけれど、「飲めますが、結構です」という反応もあるでしょう。院長先生も気を遣いますよね。

若手とベテラン、温度差の理由

(高山)「飲めるのに、要らない」というのはどういう心理なのでしょう。

(大西)理由はいくつか考えられます。「今日は飲みたくない」という日もあるでしょうし、「人に注いでもらうのが好きではない」という人もいます。「自分で飲むので、注がないでください」というタイプですね。

(高山)社交性がないというわけではないんですね。

(大西)大学時代などに、飲み会での振る舞い方を学ぶ機会がなかったのかもしれません。社会人になって初めて経験する人もいるでしょう。

(高山)なるほど。飲み会の作法は、大学時代のサークル活動などで学ぶことが多いですよね。

(大西)社会人になってから教わる人もいるでしょうが、クリニックでそこまで指導するのは難しい。業務範囲外ですしね。

(高山)新卒とベテランが一緒くたにされてしまうのも問題です。

(大西)ベテランは、きっと飲みたがっているでしょうし。30代、40代のベテラン層は、新卒時代も含め、会社で様々な経験を積んできています。飲み会がどのような場なのかも理解しているはずです。しかし、最近の若手は、ちょうど飲み会を経験する時期にコロナ禍に遭遇しました。飲み会自体をあまり経験していない人もいるでしょう。

(高山)「飲み会って何?」というところから説明が必要なケースもあるかもしれませんね。世代や階層によって、懇親会に対する理解度や意義の感じ方、メリット・デメリットの捉え方などが異なるのでしょう。

多様性の時代、昭和の常識は令和に通じない?

(大西)私たちの世代は団塊ジュニア世代、今の院長先生世代ですね。40代後半から50代前半です。その下の世代は、かつて「ゆとり世代」と呼ばれていました。今の若い人たちは「ミレニアル世代」「Z世代」と呼ばれています。マスコミが使う言葉だけでも、すでに3世代あります。昭和、平成、令和ですね。昭和の考え方は、令和の若者には通じないことも多いでしょう。

私も昭和世代ですが、平成15年生まれと言われると、少し戸惑ってしまいます。そういった若い世代の人たちを理解しようとすることが大切です。

(高山)理解しようと思えば、理解できるものでしょうか?

(大西)まずは、異なる価値観を受け入れることですね。懇親会に対する捉え方は世代によって違いますし、もちろん私とも違います。まずは、懇親会を何のために開催するのかをきちんと説明することが重要です。「毎年恒例の懇親会です」だけでは説明不足でしょう。

(高山)確かに。「毎年やっているから今年もやる」では、意味が通じませんね。

(大西)例えば、「普段頑張っている皆さんを慰労するために懇親会を開催します。飲み代、食事代は全て私が出しますので、奮ってご参加ください」のように伝えるべきです。

(高山)そうですね。「なんなら時給も出します」くらいまで踏み込んでも良いかもしれません。そこまで丁寧に説明して初めて、参加する気になる人もいるのではないでしょうか。慣習的に行われてきたことを、新しい世代の人たちに理解してもらうためには、説明が不可欠です。

懇親会の真の目的とは?

(大西)私たちの世代も、団塊の世代である親世代との間で分かり合えないことがありました。今の状況も、それと似ているのかもしれません。

不思議な現象ではないということですね。もし懇親会に処方箋を出すとしたら、まずは目的を明確に説明することです。そして、お酒が入るとNGワードが出てしまうリスクを避けること。

「腹を割って話そう」は怖いですね。本音で話すのではなく、建前で話す。

お互いに協調性を感じられる程度の距離感を保ち、ちょうど良い雰囲気で話すのが理想です。ノンアルコールの懇親会も良いかもしれませんね。高山さんのクリニックで行われた食事会は正解だと思います。時間は決まっているし、休憩時間に行われています。お酒もないですし、腹を割って話す必要もありません。経営者が費用を負担し、スタッフを慰労するという目的が明確です。

(高山)そうですね。慰労に徹しました。

(大西)初めて会う人もいるので、「コミュニケーションが取れたら良いですね」くらいの軽い気持ちで参加してもらえるようにしました。

(大西)素晴らしいですね。

(高山)メインの食事が終わった後、「デザートを食べたい」という話になり、近くの千疋屋のレストランでパフェを食べることになりました。

(大西)良いですね。それくらいの気軽さがちょうど良いのではないでしょうか。昔は「お酒を飲まないと腹を割れない」という風潮もありましたが、必ずしもそうではありません。腹を割ったところで、良い結果になるとは限りません。

(高山)見せたくない部分まで見せてしまうリスクもあります。

懇親会で本当に大切なこと

(大西)何が正しくて何が正しくないかは、時代によっても変化します。昨今は「ダイバーシティ」や「多様性」という言葉がよく聞かれますよね。

様々な人がいるのが当たり前、ということですね。昔もそうだったと思いますが、今は特に声高に叫ばれています。それだけ難しい時代になっているということでしょう。

私たちの頃は「金太郎飴」と言われていました。「サラリーマンはどこを切っても同じ」という意味です。それが30年後には「多様性の時代」。一人ひとりの価値観を尊重しましょう、という風潮に変わりました。しかし、これは表裏一体です。

(高山)どういうことでしょうか?

(大西)多様性を排除することで、効率的な「マシン」が作れた時代でした。しかし、コンピューターが多くの仕事をこなすようになった今、人間は「マシン」である必要はありません。必要なのは、クリエイティビティです。だからこそ、多様性が重要視されるようになったのです。皆が金太郎飴のようだったら、パソコンの方が優秀ですからね。

(高山)なるほど。

(大西)昭和世代の私たちは、「違うことが良いことなんだ」ということを明確に理解する必要があります。懇親会に誘っても断られるのは当たり前です。一人ひとり、考え方やスケジュールも違います。1カ月後に懇親会を開催すると告知しても、参加者が半分しかいなかったとしても、それで良いのです。

(高山)参加するのも自由、参加しないのも自由。どちらも同じ重さです。それが多様性です。

(大西)まさにその通りです。懇親会で最も大切なのは、「何のために開催するのか」をしっかりと見直すことです。

(高山)「院長先生の趣味」になってしまっては意味がありません。

信頼関係があってこその懇親会

(大西)「みんなと飲みたい」「みんなを慰労したい」という院長先生もいますが、スタッフからすると「面倒くさい」「なぜ院長先生と飲まなければいけないのか」と思われてしまうかもしれません。

普段の行いを積み重ね、信頼関係を築いておくことが大切です。「院長先生と飲んで話が聞きたい」「飲み会、イェーイ!」と思ってもらえるように。

(高山)普段から信頼関係が深くなければ、「個人的に」「プライベートで」一緒に飲みたいとは思われませんよね。

(大西)先日、あるセミナーの講師の先生がいました。その先生が講演すると、わざわざ大阪から東京までスタッフが2人、出張に同行してきたそうです。先生の講演の様子を写真に撮っていました。

「あの2人、強制で来ているのですか?」と先生に尋ねると、「喜んで付いてきている」とのことでした。

思わず、「先生、愛されていますね」と言ってしまいました。先生も嬉しそうでした。

(高山)先生のクリニックのスタッフだったのですか?

(大西)そうです。先生のファンなんだそうです。普段から仕事ぶりを見て尊敬しているのでしょう。先生は、自分の講演の様子を写真に撮って他のスタッフに見せてあげたいから、スタッフが同行してきたと言っていました。まるで追っかけですね。

(高山)本当にすごいですね。自分のクリニックのスタッフが自分のファンになるなんて。

(大西)だからこそ、次のテーマは「いかに院長先生がカリスマになるか」ではなく、「いかにスタッフが自分のクリニックを好きになり、そのクリニックを作った院長先生を好きになるか」ではないでしょうか。

(高山)なるほど。

(大西)「自分の家族が通えるクリニックを作ろう」という理念を持つ院長先生も多いと思いますが、スタッフが「クリニック大好き、だから院長先生大好き」と思ってくれるのが理想です。そこまで行けば、懇親会で悩むこともなくなるでしょう。「参加したい」と思ってもらえるはずです。

(高山)そうですね。「どうされました?」と心配されるより良いですよね。風通しの良いクリニックを目指したいものです。
そのためにはどうすれば良いのでしょうか。これも、また別のテーマになりそうですね。

(大西)そうですね。

(高山)今回は懇親会についてお話しました。続きは次回にしたいと思います。大西さん、ありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。この番組への感想は「#院長が悩んだら聴くラジオ」でXなどに投稿いただけると嬉しいです。番組のフォローもぜひお願いします。この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

他の記事を読む  TOPへ戻る