DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
オープニングトーク
(高山)おはようございます。パーソナリティのDOCWEB編集長、高山豊明です。
(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第18回始まりました。大西さん今回もよろしくお願いします。
(大西)はい、よろしくお願いします。 今日のテーマは何ですか?
良いクレームと悪いクレーム
(高山) 今回は前回に引き続き、クレーム対応の解決編です。
(大西) 良いクレームと悪いクレームがあるという話をしましょう。悪意のあるクレームと、理解してほしいという願いからのクレームは全く違います。
(高山) 患者さん目線で考えると、確かにそうですね。
(大西) 例えば、期待を込めたクレームもあります。「前回このようなことがありました。二度と起きないよう改善してほしいです」といったものです。
(高山) それは良いクレームですね。
(大西) 一方、悪いクレームは「二度とこんな所には行かない。他の人にも教えたい」という悪意が込められています。
クレームの悪化と初期対応
(高山) 最初から悪意を持っている人と、そうでない人がいる気がしますね。最初は良かれと思って小さなクレームだったのが、聞いてもらえず、同じ対応を繰り返されるうちにバッドクレームに発展していくのではないでしょうか。
(大西) なるほど。段階を経て悪化するケースと、最初から悪質なケースがありますね。最初から悪質なクレームは無視して良いでしょう。以前、先生方から「このクレームにどう対応すべきか?」と相談された際、気分で書かれたクレームは無視して良いとアドバイスしました。
(高山) 無視した場合、相手にすればよかったと後悔する可能性もありますよね。
(大西) ええ。ただ、事実を認める謝罪と、挨拶としての謝罪は違います。軽い謝罪はしますが、事実関係を確認するまでは認めません。まずは別室に案内し、落ち着いてもらうのがテクニックの一つです。
(高山) 同じ場所で対応すると、周りの患者さんに聞こえてしまい、余計に評判が悪くなりますからね。
(大西) そうですね。別室に案内し、座らせ、深呼吸を促すと、相手も落ち着いてきます。患者さんは別室に連れて行かれると不安になるので、落ち着いた頃に話しかけ、話を聞き出します。すると、大抵の場合はそこで解決します。テクニックとしては別室に案内して落ち着かせること、心構えとしては対等に話し、患者の心の安定を目指していくことです。
改善点と根本解決
(大西) 最終的に改善点があれば、それを伝え、「今後ないようにします」と言うだけでは何も変わりません。ヒヤリハット報告書に書いても根本解決にはなりません。
(高山) 表面的な対処だけでなく、クレームが二度と起きないよう根本的に変える必要がありますね。
接遇改善の具体例
(大西) 先日、態度に関するクレームがありました。
(高山)接遇ですね。
(大西)前回の予告で話した接遇改善策を2つ実施しました。1つ目は受付に鏡を置き、「今日は最高の笑顔ですか?」という標語を貼ることです。笑顔で挨拶してから受付業務に入ってもらうようにしました。
もう一つは、医療事務専門学校でメイクアップ教室を開き、患者さんから見て好印象を与える化粧の仕方を指導しました。
そして、態度が手に現れるという話をしました。腕を組むと威圧感を与えますが、これは自己防衛本能です。逆に手を広げるとリラックスできます。腕の組み方によって気分も変わるので、態度をリセットする方法を教えました。例えば、怒られた後にずっとうつむいたまま下を向いているのは、リセットできていない状態です。
(高山) リセットの方法を具体的に教えているんですね。
(大西) ええ。ノウハウなので詳しくは言えませんが、態度は相手に大きな影響を与えます。印象が変わります。お辞儀の仕方や言葉遣いを教えるよりも、どうリセットさせるか、テクニックにどんな意味があるのかを伝える方が重要です。
最近の若い世代は、意味のわからない指示には「え?」としか思わない傾向があります。
(高山) 確かに、意味を理解していないと行動できませんよね。
コミュニケーションとクレーム
(高山) ええ。主語述語が抜けている人が増えているのか、自分の主張ばかりでコミュニケーションが成り立たないケースが増えている気がします。
(大西) SNSで自分のイライラを投稿し、賛同を得ると喜び、反対意見には反発する人もいます。リアルな社会でも同じように振る舞う人がいるとしたら、少し怖いですね。
(高山) そうですね。
(大西)匿名だから何を書いても良いというわけではありません。相手の立場になって考えられない人がクレームを発信する場合、こちらの立場を主張しても意味がありません。
例えば、挨拶ができなかった場合、相手は「なぜ挨拶しないのか」と思うでしょう。しかし、相手の立場に立てば「忙しくて挨拶できなかったのだろう」と大目に見てあげられます。
立場を無視した対応は避けるべきです。医療機関では、患者の立場に立っていない対応が見受けられます。「とりあえず謝っておけばいい」というような、形だけの謝罪です。
患者の立場に立つ対応
(大西) 中には「患者を待たせればいい」と言う人もいますが、患者は待ってでも来てくれるレベルの医療機関なのかを自問する必要があります。コンサルタントとして、私は「予約がいっぱいで来月になってしまうが、よろしいでしょうか?」と聞きます。「待ちます」と言ってくれるのはありがたいことです。
医療機関では、待たせるのか、待たせないのかを明確に伝えられていないケースがあります。まずは「待つ」ということを伝え、相手の立場で考え、待たせること、説明すること、態度について配慮する必要があります。常に相手がいることを意識しなければなりません。これがクレーム対応の一番大切な点です。
(高山) 相手の立場で行動するということですね。
(大西) 最近ではオンライン資格確認で患者さんが戸惑っている際に、気の利くスタッフは手伝いますが、そうでないスタッフは見て見ぬふりをすることがあります。
この小さな違いが、炎上するかどうかの分かれ目です。困っている人を助けるのは医療機関の使命です。忙しい、大変だからと言って、見て見ぬふりをするのは根本的な問題です。患者との関係は常に1対1です。患者は「私はお客様だ」と思っています。
広い視野と行動変更
(大西) そのためには広い視野を持つことが重要です。例えば、保険証の入力中に周囲の様子に気を配るだけでも違います。集中しすぎないことも大切です。こういった小さなことの積み重ねがクレームを減らす秘訣です。
(高山) 患者の心が動くのはちょっとしたことですからね。
モテ行動とサービス業
(大西) 分かりやすく言うと、「モテようとする行動」が全てです。イケメンに振り向いてもらうにはどうしますか?一生懸命頑張りますよね。モテ行動こそが、クレーム解決の秘訣です。
私も院長やスタッフから好かれたいので、同じように行動します。最初から嫌われようと思っている人はいません。サービス業で最も大切なのは、おもてなしです。
(高山)医療がサービス業かどうかは議論のあるところです。
(大西)20年前は「先生」と呼ばれる職業、弁護士、医者、学校の先生は、上から目線だと言われていました。しかし今は違います。「お医者様」と呼ぶ人は少なくなりました。時代は変わってきています。医療がサービス業かどうかは、また別の機会に議論しましょう。
(高山) なるほど。興味深いお話でした。続きは次回に持ち越しましょう。今回はありがとうございました。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。この番組への感想は「#院長が悩んだら聴くラジオ」でXなどに投稿いただけると嬉しいです。番組のフォローもぜひお願いします。この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。