院内と院外でのコミュニケーションが良くなると院長はラクになる_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード35全文書き起こし

Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード35全文書き起こし

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

オープニングトーク

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第35回始まりました。大西さん今回もよろしくお願いします。

(大西)よろしくお願いします。
今日のテーマは何でしょうか?

今日のテーマ:クリニックにおけるコミュニケーションの重要性

(高山)クリニックでは、院内・院外両方でコミュニケーションが発生しますが、その成否がクリニック作りにおいて重要です。

今回は、どうすればコミュニケーションがうまくいくのか、クリニック運営の血流とも言える、情報伝達をスムーズにし、クリニックが有機的に動いていくためのコミュニケーション方法や重要な点について伺います。

(大西)多くのクリニックは、院内コミュニケーションの重要性に開業時にはあまり気づいていません。開業準備でバタバタしていて、院長先生は「自分が何とかしなきゃ」と考えがちです。

そのため、コミュニケーションの中心は常に院長先生になり、発信も、情報伝達の確認も院長先生が担うことになり、負担が大きくなってしまいます。

リーダーシップと理念の浸透

(高山)リーダーシップを発揮しないと、自分が考えたことを形にできませんからね。

(大西)そうですね。しかし、リーダーシップの発揮の仕方を間違えると、独裁的になってしまいます。

それを防ぐには、考え方とツールの整備が重要です。

まず考え方の面では「理念」が重要です。

この理念がどれくらいスタッフに浸透しているかで、クリニックの良し悪しが大きく変わってきます。

よくお伝えしているのは、開業前にスタッフ全員が集まる顔合わせの会で、理念を熱く語ってもらうことです。

開業時点では、先生自身も理念が腹落ちしていないことが多いので、「なぜ医者になったのか」「なぜこのクリニックを開業しようと思ったのか」「病院時代はどんな人生を送ってきたのか」などを話すことで、理念を具体化していくことを勧めています。

(高山)理念とは、何をどう実現したいかという目的感のことですね。

(大西)クリニックが何を目指しているのか、そのベクトルを共有することです。

多くの開業コンサルタントは理念作りを勧めていますが、私はその理念をいかに浸透させるかが大事だと考えています。

作って終わりでは意味がありません。理念は丸暗記させるものではなく、スタッフが悩んだ時の拠り所となるようにしたいですね。

(高山)行動規範の軸となるもの、ということですね。

(大西)理念とクレド、行動指針などを掘り下げ、体系化し、定期的な勉強会などで肉体化していくことが重要です。

院内コミュニケーションを円滑にするツール

(大西)もう一つ院内コミュニケーションで大切なのは「風通し」です。

言いたいことを言い合える関係性を築くのは難しいですが、口頭だけでは不十分なので、テキストベースで記録を残すことが重要です。

最近はビジネスチャットツールを使うクリニックが増えています。

(高山)ビジネスチャットにはどんなツールがあるのでしょうか?

(大西)有名なのはLINE系のLINE WORKS、その他にはChatwork、Slack、最近ではDirectなどがあります。

それぞれ特徴があり、Chatworkはテキストコミュニケーションに向き、LINE WORKSはLINEと操作性が似ています。

Slackはシステム業界で使われることが多いですね。

Directは動画共有ができるのが特徴です。
最近はマニュアルを動画で作成するクリニックが増えていますが、YouTubeなどにアップロードするのはセキュリティ面で不安があります。

Directであればアーカイブ機能もあり、安心して利用できます。ナレッジトークやスケジュール調整機能なども便利です。

(高山)それぞれ費用はどのくらいかかるのでしょうか?

(大西)人数やオプションによって無料の場合もありますが、有料プランが一般的です。

一度導入すると変更しづらいツールなので、4つほどのツールを比較検討し、クリニックに合ったものを選ぶと良いでしょう。

セキュリティと運用ルール

(高山)クリニック運営において重要なツールなので、無料なのは嬉しいですが、多少コストがかかっても役に立つツールを選ぶことが大切ですね。

(大西)セキュリティ面と機能面を重視すべきです。セキュリティが脆弱だと、プライベートな情報が全員に公開されてトラブルになる可能性があります。

ツール内で部屋を作って使い分けるなど、運用ルールを定めることも重要です。

LINEを使うクリニックもありますが、情報がすべて公開されてしまうのでお勧めしません。

(高山)LINEだと全員に公開されてしまいますからね。

(大西)LINE側にも情報が見られている可能性があります。

端末と勉強会

(高山)患者さんの情報もやり取りするとなると、セキュリティは重要です。

(大西)端末の管理も大切です。

スタッフがパソコンで見るのか、スマホで見るのか、個人のスマホを使うのか、自宅で見るのかなど、ルールを決めないと、仕事中にスマホを触っていても「コミュニケーションツールを見ていた」と言い訳されてしまいます。

ルールを決めておくことで、トラブルを防ぐことができます。

(高山)クリニックでスタッフ全員にスマホを支給するのは難しいでしょうから。

(大西)現実的には難しいので、院内ではパソコン、自宅では個人のスマホを使うようにルールを定めているクリニックが多いですね。

iPadを共有するという方法もあります。

勉強会の重要性と課題

(高山)もう一つ重要なのは勉強会ですね。定期的に開催していますか?

(大西)定期的に開催しているクリニックは2割程度で、8割は開催していません。必要性を感じていないのでしょう。

自己開催は難しく、院長先生が主催すると勉強会の準備のための勉強になってしまったり、コミュニケーション研修なのに院長先生が一番苦手だったりするケースもあります。

餅は餅屋ということですね。

外部講師を招聘する方法もありますが、費用が高く1回で終わってしまうことが多いです。30万円もかかると、2回目は半年後…となってしまいます。

(高山)1回あたり2~3万円で済めば良いのですが。

(大西)そうですね。私たちの仕事が減ってしまいますが…。

(高山)業務内容が専門的なので、一般的な研修では具体例を示すのが難しいという事情もあります。

(大西)最近は、シンクタンクやコンサル会社が複数のクリニックを招いて講演会形式の勉強会を開催するケースもあります。

しかし、開催場所が東京だったりすると、交通費や宿泊費、スタッフの人件費などを考えると、外部講師を呼ぶより高くなってしまうこともあります。

(高山)スタッフの稼働時間中に給料を払いながら勉強会に参加させるのは、クリニックにとって負担が大きいですからね。

(大西)ギリギリの人数で運営しているクリニックでは、研修に参加しているスタッフの業務を誰かがカバーしなければなりません。

休みの日や夜に開催するしかありませんが、開催頻度も少なくなりがちです。

アーカイブ動画を見ればいいと言っても、実際には見ていないことが多いですし、見たとしても流し見になってしまうでしょう。

開業時に「2ヶ月に1回、○曜日」などと決めてしまうのが良いかもしれません。

理念浸透のための取り組み

(高山)最初のマインドセットって必要ですよね。

(大西)朝礼も重要なコミュニケーションの場ですが、開催しているクリニックは2割程度です。

朝はバタバタしていて時間がない、時差出勤で全員が揃う時間がないなどの理由で開催できないことが多いようです。

「8時から勤務のスタッフ」「9時から勤務のスタッフ」「10時から勤務のスタッフ」がいたら、いつ朝礼をすれば良いのか分からなくなってしまいます。

方針発表会

(大西)方針発表会も有効な手段です。

経営方針を発表する場ですが、「今年は患者数を何人にする」「Googleの口コミの点数を何点上げる」「スタッフを何人採用する」など、具体的な数字で目標を共有します。

忘年会で飲んで新年を迎えてからスタートするのではなく、1月の頭に方針発表会を開催し、今年の目標を共有する方が良いでしょう。

それも昼間に開催するのがおすすめです。

院外コミュニケーション:薬局との連携

(大西)院外コミュニケーションについてお話します。

クリニックに関わる人すべてが院外ですが、最も関係性が強いのは薬局です。

最近は院外処方が7~8割を占めており、クリニック内に薬局がないケースがほとんどです。

薬局は別の法人のため、日常的な接点はあまりありません。「こんにちは」と言う程度で、深く関わる機会は少ないでしょう。

そのため、「そんな言い方しなくても…」と思ったり、「電話に出てくれない」と不満に思ったりするなど、ストレスが溜まりやすい関係性です。

薬局との良好な関係構築

(大西)薬局との良好な関係を築くには、まず顔合わせることが大切です。信頼関係が重要です。

知らない人から電話がかかってくると警戒してしまいますが、知っている人なら電話に出やすいですよね。

(高山)声のトーンで相手が分かると安心感があります。

(大西)スタッフレベルで仲良くなると良いですね。

院長先生と薬局長が仲が良いケースは多いですが、スタッフ同士が仲良くなることが大切です。

定期的に勉強会を開いたり、飲み会を開催したりするのも良いでしょう。業務内容は違いますが、「地域医療に貢献する」という理念は共通しています。

お互いのことを理解し、良好な関係性を築くことが重要です。

(高山)程良い距離感を保ちつつ、お互いを理解し合うことが大切ですね。仲良くなりすぎる必要はありません。

(大西)クリニックが診察時間を過ぎてしまった場合、薬局にも連絡が必要です。

7時まで診察があると薬局は7時半まで待たなければなりません。

「今日は混んでいて遅くなりそう」と事前に電話1本入れるだけで、薬局の印象は大きく変わります。

「何だと思っているんだ」と思われてしまうのを防ぐことができます。薬局はクリニックの下請けではありません。

薬局との連携における工夫

(大西)工夫として、処方箋をクリアファイルに入れて薬局に渡す際に、最後の患者さんの処方箋だけクリアファイルに入れて渡すことで、「これで最後」というサインにする方法もあります。

(高山)なるほど、サインを決めておくことで安心感につながりますね。
薬局から「これで最後ですか?」と聞くのは難しいですから。

(大西)電話で確認している薬局が多いようです。

「○時になったら電話する」というルールを決めている場合もあります。

連絡がないと、薬局から「いつまで経っても来ないが、どうなっているのか」と怒りの電話がかかってくることがあります。

クリニックが終わってしまっていることや、研修中で誰も電話に出られないということもあります。

相互理解と優しさ

(大西)先日、私が編集作業をしていると薬局から電話があり、「もう診察は終わりましたか?それともまだやっていますか?」と聞かれました。

誰も薬局に連絡するのを忘れていたようで、「電気はついているから診察していると思っていたが、研修だった」とのことでした。

(高山)そういうこともあるんですね。

(大西)薬局とのコミュニケーションにおいては、優しさが大切です。
きちんと電話連絡を入れるなど、思いやりを持つことが重要です。

(高山)思いやりは大切ですね。

紹介先病院の情報共有

(大西)どこの病院に紹介状を書くかも重要です。

先生の出身大学や以前の勤務先など、紹介しやすい病院があると思いますが、ホームページなどで紹介先を公開しておくと患者さんも安心です。

紹介先病院に見学会に行くのも良いですね。先生しか知らない病院の良し悪しを、スタッフも知ることで、患者さんに紹介しやすくなります。

紹介先医療機関とのコミュニケーションも重要です。

「皮膚科ならこの病院」などと決めて、その病院に見学に行くのも良いでしょう。

院内外コミュニケーションの共通点

(大西)今日の話のポイントは、院長先生だけでなく、スタッフ同士、スタッフ間のコミュニケーションができて初めてクリニックがうまく機能するということですね。

これは院内でも院外でも同じです。

(高山)現場のスタッフ同士がうまくやってくれるのが、院長先生にとって一番楽です。

そのためには、まずお互いを知り合い、理解し合うことが大切です。顔見知りになるためにどうするかを考えることが重要です。

院内見学会は良いですね。紹介状を書く際にも責任感を持って、知らない病院には紹介しないようにするなど、責任ある行動が求められます。

(大西)「この先生はこの分野が得意」などの情報を共有することも大切です。同じ科でも得意分野は違いますから。

患者さんにも「話しやすい先生」などと伝えやすくなります。

コミュニケーションの本質

(大西)コミュニケーションはテクニックではなく、人間性が重要です。

(高山)採用面接の際に、人間性を見極め、コミュニケーション能力をしっかり確認することが大切ですね。

(大西)以前は「仕事ができればコミュニケーション能力は問わない」という時代もありました。

事務スタッフであれば「レセプトができれば良い」とされていました。しかし、今は違います。

採用において最も重視されるのはコミュニケーション能力です。

それも笑顔でコミュニケーションが取れるかどうかが重要です。

「笑え」という意味ではなく、相手に安心感を与えるような笑顔です。

おはようございますのトーン一つで相手の印象は大きく変わります。

「良いおはようございます」と「悪いおはようございます」があります。

(高山)確かにそうですね。

(大西)意識的に良いトーンで挨拶できるように心がけてほしいですね。

笑顔の効用

(高山)一人ひとり、自分の声が相手にどう聞こえているか意識していないことが多いですからね。

(大西)「おはようございます」の声に元気がないと、「どうしたんだろう?」と思ってしまいます。

(高山)心配になりますね。

(大西)今はパワハラになってしまうかもしれませんが、以前はリーダーとして「なんだその挨拶は」「お腹でも痛いのか」と注意していました。

(高山)心配になります。相手に覇気がないと「何かあったのかな?」と思ってしまいます。

(大西)「何か抱えているのかな?」「家で何かあったのかな?」と心配になります。

今はプライベートなことを聞けないので、体の問題なのか、心の問題なのか、挨拶はバロメーターになります。

コミュニケーションにおいて、挨拶はとても重要です。

エンディング

(高山)今回はクリニック運営の血流をよくするコミュニケーションについてお話いただきました。

続きは次回にしたいと思います。大西さん、今回もありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。

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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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