モンスターペイシェントへの対応法‐前編‐Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1エピソード56全文書き起こし

モンスターペイシェントへの対応法‐前編‐

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第55回始まりました。大西さんよろしくお願いします。

(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?

リスナーリクエスト:モンスターペイシェントへの対応方法

(高山)今日のテーマは、実はこのPodcast初のリスナーリクエストです。「モンスターペイシェントへの対応方法」についてお話ししたいと思います。

モンスターペイシェントとは?

(高山)先日まで入院されていたそうですね。無事退院おめでとうございます。

(大西)ありがとうございます。実は入院中、自分がモンスターペイシェントになっていないか少し心配でした。

夜中にナースコールで痛み止めをもらったり、食べちゃいけないものをこっそり食べたりしていたので。

(高山)それは可愛い患者さんですよ。

(大西)でも看護師さんには注意されました。

クレーマーの分類

(高山)クリニックでのクレームは色々あると思いますが、モンスターペイシェントというと、クリニック側に落ち度がないのに患者さんが激昂しているイメージです。

軽いクレームからモンスターペイシェントまで、そのグラデーションについて教えていただけますか?

(大西)クレームには表と裏があります。その場で直接言ってくれる人もいれば、口コミに書く人もいます。

ABCで分けると、Aパターンは口コミに書くタイプ。

Bパターンは直接訴えるタイプ。

Cパターンはモンスターペイシェントで、もう手がつけられません。

警察を呼ぶこともあります。先日もチェーン付きの財布を振り回して医者を殴ろうとした患者さんがいました。

許されることではありません。

(高山)Bパターン、つまり直接言ってくれる患者さんのほうがありがたいですか?

(大西)対応しやすいですね。その場で解決できますから。Cパターンの場合は、基本的には警察を呼びます。

言葉と暴力

(高山)クリニック内で暴れるなんて、信じられません。

(大西)言葉で訴えるだけでなく、机を叩いたり、椅子を蹴飛ばしたりする患者さんもいます。

Cパターンになると本当に大変です。私が精神科クリニックで見かけた患者さんは、本当に凄かったです。

対応の難しさ

(高山)直接言わずに、後でGoogleの口コミに書くAパターンも対応が難しいですね。

(大西)カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラ対策のポスターを貼るように厚労省が推奨しています。

5月からカスハラキャンペーンを行っているようです。

「お前のクリニックをつぶしてやる」「SNSで炎上させてやる」「土下座しろ」など、信じられないような言葉が実際に医療現場で発せられているようです。

(高山)ポスターに何が書いてあるんですか?

(大西)そういった暴言を吐く人がいることを周知するものです。

患者さんが「もしかしたら自分もカスタマーハラスメントをしているかもしれない」と気づくきっかけになれば、という狙いがあります。

(高山)ポスターに被害を訴える窓口などは書いてあるんですか?

(大西)気になることがあったら別の機関に連絡するように促す内容です。クリニックに限らず、働く人みんながカスハラの被害に遭っています。

厚労省は、働く人の行政を司っているので、共通の課題として取り組んでいるのでしょう。

(高山)クリニック専用のポスターはないんですか?

(大西)医療機関ではないですね。どちらかというと一般企業やレストラン向けのものが多く、医療機関っぽくないという声を受けて、現在作成中とのことです。

クレームの要因

(高山)クレームの要因はどこにあるのでしょうか?

(大西)待ち時間が長い、スタッフの対応が悪い、院内の清潔さなどが挙げられます。

些細なことが理不尽なクレームに発展してしまうケースもあります。

待ち時間に関するクレーム

(高山)待ち時間に関するクレームで多いのはどんなものでしょうか?

(大西)順番を飛ばされたというものです。

9時半に予約したのに、10時、11時、12時になっても呼ばれない。

「予約の意味がない」と感じる患者さんもいるでしょう。

番号制でも、自分の後ろの番号の人が先に呼ばれると、「このクリニックはどうなっているんだ」と思ってしまいます。

診察内容によって順番が前後することはありますが、きちんと説明すべきです。

長時間待たされることへの不満

(高山)待ち時間が長いこと自体よりも、説明がないことへの不満が多いのでしょうか?

(大西)そうですね。3時間も待たされたら疲れてしまいますが、それ以上に「ないがしろにされている」と感じるのだと思います。

スタッフの対応

(高山)スタッフの対応でクレームになることはありますか?

(大西)丁寧さのレベルの違いが原因となることがあります。

「医療機関なんだから丁寧なのは当たり前」と思っている患者さんがほとんどです。

お金の渡し方、診察券の受け取り方、挨拶の仕方など、些細なことが気になるようです。

先日行ったクリニックでは、挨拶もせずに患者に近づくスタッフがいました。そもそも挨拶をしないスタッフもいます。

「おはようございます」と言っていたのに、夕方には「あっす」になっているスタッフもいます。

(高山)声の大きさは重要ですか?

(大西)私はスタッフに「もっと大きな声で」と指導することがあります。でも声が出ない人もいます。

せめて「おはようございます」を1日中続けられるように指導しています。

ロボットにはクレームを言わないという意見もあります。対応の仕方を考える必要があるということですね。

院長の対応

(高山)院長が気にするべきことは何でしょうか?

(大西)患者さんにとって良くないことです。モンスターペイシェントが暴れると診察が止まり、他の患者さんに迷惑がかかります。

悪い口コミを書かれると、クリニックのイメージが悪くなり、患者さんが減ってしまいます。

口コミの重要性

(高山)口コミは重要ですね。

(大西)5段階評価で3以下だと、行かないという人もいるようです。食べログのように、医療機関も評価される時代です。

5段階評価の難しさ

(高山)3以下だと行かないというのは厳しいですね。

(大西)5段階評価なのに、3が平均以下というのは違和感があります。学校の通知表では3が普通なのに。

(高山)確かに不思議ですね。

(大西)5段階評価なのに5点満点ではない。5段階評価で3を下回ると親に怒られましたが、医療機関の評価も同じ感覚なのかもしれません。

クレームと院内環境

(高山)設備に関するクレームはありますか?

(大西)トイレや流し台が汚いと、すぐにクレームになります。

新しいか古いかはあまり関係ないようです。

綺麗にしているかどうかが重要です。

受付の靴が乱雑だったり、ツールボックスやソファーが汚れていたり、ポスターがぐちゃぐちゃに貼ってあったりすると、患者さんは「汚い」と感じます。

少し気を遣えばいいだけのことなのに。

(高山)掃除は大切ですね。

(大西)患者さんは見ています。

診察室の棚がぐちゃぐちゃだと、「いつ掃除するのだろう」と思ってしまいます。私は仕事柄、「先生、全部見えてますよ」「綺麗にできないなら捨ててください」と指摘します。

すると「そんなに汚いのか」と怒られてしまうこともあります。

(高山)毎日見ていると気づかないのかもしれませんね。

(大西)設備がクレームの直接的な原因になることは少ないですが、清潔さは重要です。

院長が気にするべき点

(高山)クレームに関して院長が一番気にするべき点は何でしょうか?

(大西)患者さんが減ってしまうことです。

モンスターペイシェントの対応で診察が止まると、他の患者さんに迷惑がかかり、悪い口コミが広まって患者さんが減ってしまいます。

中には眠れなくなる院長もいるそうです。何とかしてあげたいですね。

次回予告:クレームによる患者減少を防ぐ方法

(高山)後半では、モンスターペイシェントを生まずにクレームを減らす方法、そしてクレームによる患者減少を防ぐ方法について語り合いたいと思います。

続きは次回にしましょう。大西さん、ありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。

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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
クリニックの運営や医療業務の改善に関する専門知識をもとに、医療機関の実務に役立つ情報を厳選してお届けしています。