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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。
(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第63回始まりました。大西さんよろしくお願いします。
(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?
今回のテーマ:「教える組織づくり」がテーマ
(高山)今日のテーマは前回の続きだと思いますが、何でしょうか?
(大西)今回は「学習する組織づくり」の第3項目目ということで、「教える組織づくり」について語っていきたいと思います。
(大西)教えることは結構大事なテーマです。
私も今、医療事務の専門学校で10年ほど教えていて、たまたま先日卒業テストがありました。
卒業テストにみんなが通れば、これで1年間が終わり、また次の年になります。
やはり自分が1年間かけてどういう人間を育てたのかというのはすごく不安なので、何にも気にせずに教えきれただろうか、と反省する時期ではあります。
ですから、教える側は大事なのですが、教わる側の雰囲気作りはもっと大事だと実は最近思っています。
(高山)教える側、それから教えられる側、立場によって見え方も違いますし、そのあたりのすり合わせも必要なのかなと想像します。
(高山)それではこの後、「学習する組織づくり」の第3項目「教える組織づくり」について語っていきたいと思います。
よろしくお願いします。
(大西)お願いします。
教えられないチームの典型的なパターン
(高山)まず最初に、教えられないチームの典型的なパターンを想像したいのですが、こういったチームは多い、という例を教えていただけますか?
(大西)まず、オープニングスタッフは誰が教えるのだろう、ということに結構悩んでしまいます。
新規開業した時のオープニングスタッフは、みんなが初めてだとすると、教える側と教わる側というのが存在しません。
(大西)ですから、教えられないチームになる典型例としては、誰もリーダーシップを取らず、誰も学ぼうとしないチームが挙げられます。
必ず教える側と教わる側という2つの立場に分かれていないと難しいです。
(高山)でも、最初のオープニングスタッフだと教えられる人がいないですよね?
(大西)ただ、他のクリニックで勉強している人がいれば、その人にお願いしたいですね。
(高山)その前にいたクリニックのルールを適用した際に、歪みが生じたり、院長の考えと少し違うなといったことは生じないのでしょうか?
(大西)それは院長とそのスタッフがよく話し合っておいた方がいいでしょうね。
(高山)事前に、ということですよね。
(大西)「こういうチームを作りたいので、まずは暫定的にリーダーをお願いしたい」というようにです。採用の時に、そのあたりは面接で聞いておきます。
(高山)目星をつけておかないと不安でしょうがないですよね、院長も。
(大西)1人は経験者を入れるということと、教えられる人かどうかは確認しておきますね。
(高山)経験が豊富であったとしても、教えられるタイプの人でなければきついですね。
(大西)古い話で山本五十六ではありませんが、褒められない人は厳しいのです。
(高山)ティーチングですか。
(大西)そうです。ですから、「私の背中を見て学べ」というような人は、今の時代にはそぐわないかもしれません。
(高山)そうですね。いかに経験豊富で非常に良い考えを持っていたとしても、「背中で学べ」というスタイルだと、教わる側がついてこれないという現象が起きてしまいますね。
(大西)そうです。ですから、そこに1つキーワードがあるとすれば、言語化できないチームは結構厳しいということです。
(高山)なるほど。言語化するのは結構大変というか、億劫というか、語彙力や文章力も必要だというイメージがあり、とっつきにくいと感じる人が多いのではないでしょうか。
マニュアルの重要性と効率的な作り方
(大西)そうですね。だからこそマニュアルや手順書が必要なのだろうと思います。
人間は面白いもので、頭で考えていることを口に出すと、少し誤解を生じさせる言葉になることがあります。
しかし、文字に落とすと意外に綺麗になったりするのです。
(高山)それは分かります。日常会話では、私は全部そうです。
(大西)だから、私は喋りたくないのです。
(大西)そういう人は、一度書いた方がいいですよ。
(高山)LINEなど、文章にした方がまだ自分の意図が誤解なく伝わるなという感覚があります。
(大西)これは別の回で話したいのですが、言語化する上で大事なことは「考え抜くこと」だと私は伝えています。
すぐに言葉にするのではなく、日頃から考えているから言葉にできるのであって、その前段階がすごく大事です。
「この言葉は適切だろうか」と今考えても間に合いません。
(高山)間に合わないですね。
(大西)先に作っておいて、それを繰り返し話すからこそ、味のある言葉に変わるのです。
(高山)そうですね。
(大西)普段の独り言がすごく大事です。
(高山)自分の頭を整理するということですね。
(大西)そうです。それは、原稿を書く、人に話す、説明する、また原稿に書く、という繰り返しの作業です。
少し話が逸れますが、勉強するのはリーダーこそ続けなければいけないということです。
これはとても大事だと思います。
(高山)教えられないチームというのは、教えられる体制づくりをそもそもしていないし、目指してもいないということなのかな、とお聞きして思いました。
(大西)これまで、そういったことが必要なかったのがクリニックなのです。
(高山)クリニックでは、そういったことは必要なかったのですね。
(大西)OJT(オンジョブトレーニング)がメインで、オフJTはほとんどしてきませんでした。
オープニング研修もなく、なんとなくルールが決まり、なんとなく進んでいく。
「なんだこの組織は」と私が思うくらい、よくこれで回るなという組織だったのです。
それは経験者の集まりなので、阿吽の呼吸があったのだと思います。
(高山)経験者であれば、ですね。
しかし最近は、前回もあったように未経験者を採用していかなければいけないチームになってきており、そういう意味では教えられる体制づくりが必要になってきていると。
その際の体制づくりのポイントは、どういったところになるのでしょうか?
(大西)未経験者が来たら、やはりこのマニュアルが結構大事です。
事務マニュアル、看護マニュアル、そして全体のマニュアルといったものです。
組織を運営する上で、今のクリニックに一番大事なのはマニュアル化かなと私は思います。
(高山)そうですか。マニュアル化というと、非常に億劫で煩雑なイメージがあります。
また文章を書かなければならなかったり、読みやすいようにレイアウトを工夫したりと、ハードルが高いようにも感じますが、このマニュアルは誰が作るのですか?
(大西)マニュアルは、基本的に教える側と教わる側がタイミングを合わせて一緒に作っていきます。
例えば最近よくある話では、文字を書くのが大変なので、マニュアルを動画で撮ります。
受付の仕方を先輩にお手本としてやってもらい、「先輩、動画で撮っていいですか」と撮影するのです。
それを何度も見直し、音声だけを収録してAIでテキスト起こしをしてもらう。
文字を打つ、文章を書くという作業はやめた方がいいと思います。
まず枠組みはChatGPTで調べ、次にそれぞれのオリジナルの内容は話してもらって文字起こしをする。
画像の方が分かりやすい部分は動画にする、といったように、今の技術を大いに活用していいと思います。
(高山)そうですよね。その点では非常に楽になっていますね。
(大西)私もChatGPTをよく使うのですが、原稿を書く前に目次を作ってもらいます。
中身は音声で全部入力し、最後にChatGPTで「編集」とかければ綺麗になります。
その骨組みを作る、中身を入れる、そして整理するというプロセスさえ分かっていれば、作れるのではないでしょうか。
(高山)そうですね。最後にごちゃごちゃしたものを整理することで、綺麗なものになっていくのかなと思いますが、一気に作ろうと思うと大変ではないですか?
細切れでもいいから少しずつ作っていくのがいいのかなと思いましたが。
(大西)これが、少しずつというのが難しいのです。
(高山)そうですか。
(大西)クリニックにいると、少しずつの時間が全然ありません。空いた時間にやろうと思っても、空いた時間がないのです。
(高山)うーん。
(大西)ですから、適切な時間を確保してしまっています。
2時間とか3時間とか。
(高山)「今日はこれをやるぞ」という時間を思い切って取るのですね。
(大西)そうです。先日も、ある先生がYouTubeチャンネルを始めたいということで、動画の撮影マニュアルを作りたいと。
それをみんなでああだこうだ言いながら考えたのですが、やはり3時間くらいかかりました。
(高山)3時間で作れるならいいですよね。
(大西)ただ、調べる係、まとめる係、アイデアを出す係というように、役割を分担してやりました。
(高山)そういったスタッフをうまく使えるといいですね。1人でやるとかなりはまり込むというか、辛そうです。
(大西)高山さん、マニュアルを作るのはリーダーの仕事だと思ったら地獄です。
(高山)地獄ですね。
(大西)私はそれに大反対です。
自分がそうでしたから。こ
れまで電子カルテのショールームを作った時、全部のマニュアルを私が作りましたが、地獄でした。
(高山)そうですよね。
(大西)ということは、院長が作るのではなく、院長は音頭を取ってスタッフにやってもらうということですね。
(大西)そうです、手分けしてやります。
(高山)ある意味、その時間は時給が発生するわけで、その時給を発生させてマニュアルを仕事としてしっかり作らせる、という発想ですね。
(大西)その時間の時給は、そんなに惜しくないなと思います。
(高山)ここの捉え方を少し変える必要があるかもしれませんね。
マニュアルがもたらす最大の効能
(大西)マニュアルを作ることによる効能として、なぜ間違えたのか、その原因の切り分けがしやすくなるのです。
(高山)間違えたというのは、何かトラブルが発生した、ということですか。
(大西)そうです。マニュアルに沿ってやっていなかったのか、それともマニュアルがそもそも間違っていたのか。
この2つに切り分けるだけで、かなり違います。
(高山)そうですね。マニュアル通りにやってミスをした、トラブルが発生したのであれば、マニュアルが悪いので、またみんなで改善していきましょう、ということになりますし。
(大西)そうです。だから、その人を悪くしなくて済むのです。
(高山)そうですね、なるほど。
(大西)犯人捜しをしなくて済むのが、マニュアルの効能です。
(高山)そうですね。
もしマニュアル通りにやっていなかったら、その人のミスだということがはっきりしますね。
(大西)「マニュアルをもう一度読み直してね」で済みますよね。
(高山)そうですね。
(大西)マニュアル通りにやったのにうまくいかなかったのなら、「じゃあマニュアルを見直そうか」となります。
(高山)そうですね。
(大西)どちらに転んでも、喧嘩にならないというか、怒らなくて済むのです。
(高山)それは大事なことですね。
(大西)怒らない、叱らないというのはすごく大事なことで、今の若い子たちは怒られ慣れても叱られ慣れてもいないので、大きな声を出されるとびっくりしてしまうのです。
「教える」というのは、教える側と教わる側、お互い様なのです。どちらが悪い、どちらが良いという関係はなく、体制が良ければうまくいくはずです。
これが今日の私の思いです。
(高山)マニュアルを中心にして業務を進めていくことで、組織だった動きができますし、個々人の「私はこうだと思ったので」といったすれ違いもなくなってくるでしょう。
そして、そもそもそのマニュアルを承認するのは院長ですよね。「これで行こう」と。
(大西)そうです。その時に院長がマニュアルを読んで、院長が理解できれば、それは多分正しいマニュアルだろうと思います。
(高山)そうですね。院長も「ここは少し足りないな」と思うことがあるかもしれませんが、現場が理解できればいいのかな、と割り切りつつですね。
マニュアルは進化させるものということで、一度作ってからどんどん修正していけばいいですよね。
(大西)そうです。この作り方さえ教えれば、どんどん出来ていきます。
枠組みを作る、中身を書き出す、分からないところは動画で撮る。
それだけを教えておくと、「あれ、もうこんなにできたの?」という感じになることがよくあります。
(高山)なるほど。このマニュアルを作った上で、教える側と教わる側がスムーズに連携できるようになる、ということですね。
今回、「心理的安全性」「ベクトル合わせ」「教える組織づくり」という3つのテーマでお話し、最後にマニュアルの話になりましたが、この3つの要素があって初めて「学習する組織づくり」ができるということで、ぜひ院長の先生方には目指していただきたいです。
そして、どこかでつまづくこともあると思います。これは結構大変なことですよね。
(大西)つまづきそうな感じもしますね。
(高山)そうですよね。
(大西)その時は、またハッシュタグか何かで。
(高山)お問い合わせいただければ。
(高山)そうですね。実際にやってみたけれど、こういったところでつまづいた、どうしたらいいのか、といった質問をぜひいただきたいです。
それに対してお答えしていきたいと思いますので、また引き続きよろしくお願いします。
(大西)お願いします。
(高山)ということで続きは次回にしたいと思います。大西さん、今回もありがとうございました。
(大西)ありがとうございました。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。
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DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)
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