令和6年度診療報酬改定の基本方針を解説します。まず、物価高騰と賃金上昇に対し、人材確保ができるよう配慮されています。また、患者の治療だけでなく、患者の生活面までをフォローする方針です。そして、引き続き、医療DXを推進していく方針です。
1.人材確保と働き方改革が重点課題
これまでもそうでしたが、医師業務のタスクシェアリングやタスクシフティングを推進するための環境整備に伴い、医療ICT利活用が評価されます。
2.医療DXをさらに推進
マイナ保険証、電子処方箋、電子カルテ情報の標準化がどのような点数になるかは注目したいところです。
また、「医療と介護の連携」や「医療と歯科の連携」も重要なテーマで、リハビリと栄養管理、口腔管理について医療との連携が進め地域包括ケアシステムを深化、推進していきたい意向です。
3.〝かかりつけ医〟の推進が本格化
かかりつけ医の役割を具体化する動きがあります。一つめは「医療と介護の橋渡し役」です。二つめは「生活習慣病の管理」をしっかりしてほしいというもの。そして3つめは「在宅医療」です。こういったところにしっかり点数をつけようということになっています。
4.安心・安全で質の高い医療
アウトカムに着目した評価が推進されます。重点的には、小児医療、周産期医療、救急医療です。このあたりは病院にかかわる内容です。ただ、認知症の患者に対する適切な医療の評価、生活習慣病の効果的・効率的な疾患管理と重症化予防の取り組みに関してはクリニックの出番となります。生活習慣病の疾病管理に関する点数の併算定については見直しがされる可能性があります。
5.プログラム医療機器の評価
禁煙アプリなどのプログラム医療機器を評価し、薬を使わない医療も推進されていきます。また、残薬などの無駄な薬をさらに減らしていくための医師、薬剤師との協働が盛り込まれます。
MICTコンサルティング
大西大輔氏
医療機関へのシステム導入の実績があり、診療所・病院・医療IT企業のコンサルティングおよび講演活動、執筆活動を行う。
2001年 一橋大学大学院MBAコース修了
2001年 医療系コンサルティングファーム「日本経営グループ」入社
2002年 医療IT総合展示場「メディプラザ」設立 (~2016閉館)
2007年 東京、大阪、福岡の3拠点を管理する統括マネージャーに就任
2013年 「電子カルテクラーク養成プログラム」を共同開発
2016年 コンサルタントとして独立し、「MICTコンサルティング」を設立
2018年 MICTコンサルティング株式会社を設立(法人化)
2019年 一般社団法人リンクア(医療介護教育)を設立