患者アンケートから読み解くオンライン診療への期待と課題

現在、CPA EXPOにてご講演いただいている、一般財団法人医療情報システム開発センター、吉田 真弓 様にオンライン診療の現状や、1,030名の患者さんを対象としたアンケート調査から現在患者さんが抱えているオンライン診療に対しての希望や不安点など。課題や期待されることについてお話をお伺いしました。

オンライン診療の現状について教えてください

新型コロナウィルスの流行に伴い患者さんが通院する機会が減少したことも影響して、オンライン診療を実際に行なったり、導入のために動き出したりするクリニックや病院の数は、増加傾向にあると思います。
しかし、慢性疾患があるなど、「普段から定期的に診療を受けている方が発熱したため、どうしてもオンラインで」といったケースを除いては、まだまだオンライン診療を実際に受ける患者さんは少ないと感じています。

その要因の一つとして、オンライン診療を行う側のクリニックや病院が得られるメリットがあまりにも少なく、積極的にオンライン診療を案内する機会が少なかったからだと考えられます。
医師の働き方改革や、医師の偏在問題といったキーワードへの対策として、積極的にオンライン診療を増やそうという政府の方針はあったものの、診療報酬の点数が低かったことで、従来の外来診療に力を入れようと考える先生が多かったのではないでしょうか。
その点については、2022年4月の診療報酬改定によってオンライン診療の診療点数に一定の改善が見られたため、今後少しずつ普及が進んでいく可能性は十分にあると思います。

個人的な感覚としても、生活圏内にある医療機関や、様々な医療機関のホームページなどを見ていると、オンライン診療に取り組もうとしている医療機関は、特にここ最近で増えてきているような印象があります。

患者さんの意識として「”積極的に”オンライン診療を受けたい」という方は少ないと思いますが、普段服用している薬を追加で処方してもらうといった利用方法であればかなり便利ですので、そういったところから事例は増えていくのではないかと予想しています。

患者さんがオンライン診療に対して期待していることはどんなことでしょうか

患者さんとしては、どういう病気、どういう症状の時にオンライン診療を受けるべきかどうかの判断が非常に難しいのではないでしょうか。
特に高齢の方であれば、スマートフォンの操作やオンライン通話ツールなどの取り扱いなどがハードルになってしまうことも考えられます。
例えば皮膚炎のような目に見える疾患であれば、カメラを通して見せられるので「オンライン診療でも大丈夫そう」という判断はできるかもしれません。しかし、皮膚科の医師に聞くと、皮膚の変化は微妙でカメラ越しでは難しい場合が多いようです。
また、触診や検査が必要なケースであったり、カメラやマイクを介してはなかなか表現できない症状だったりした場合、患者さんはどうするべきか迷ってしまいますよね。

そんな状況への対策として、オンライン診療の前に、「オンライン受診相談」のような形で患者さんを誘導するような医療機関も見られるようになりました。
健康診断の結果であったり、お薬手帳の履歴だったりといった情報を医師が確認し、オンライン診療で対応できるかどうかを回答するような仕組みです。
こういったことに関しては、厚労省も「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」において、定期的に検討され、様々な意見が出ているようです。

今後はオンライン診療にただ取り組むだけでなく、どのように工夫すれば患者さんがオンライン診療を選択肢の一つとしてくれるかを考えながら準備を進めていくことが重要になってくると考えています。

CPA EXPO講演内容の概要をお聞かせください

講演テーマ『患者へのWebアンケート調査に基づいた、オンライン診療および医療機関の電子化のあり方に関する調査研究』

オンライン診療に関して、一般の患者さんの認知度がどの程度であるかといったことや、実際にオンライン診療を受診された患者さんがどう思ったかという項目について、1,030名の患者さんに対してアンケート調査してきました。
実際にオンライン診療を受けられた患者さんが、どんな症状でどんな状況だったのかという情報や、診療した医療機関のネットワーク環境などの情報も集計しています。
今回の講演では、そういった情報を踏まえた上で、現在患者さんが抱えているオンライン診療に対しての希望や不安点、ならびに改善していく課題点や期待できる点等をいくつか紹介していきたいと考えています。

プロフィール


一般財団法人医療情報システム開発センター

吉田 真弓 氏

一般財団法人医療情報システム開発センター(MEDIS)医療情報利活用推進部門の中の研究開発チームのチームリーダー 主任研究員として勤務しています。
また、一般財団法人匿名加工医療情報公正利用促進機構(FAST-HDJ)の理事及び広報部長、主任研究員を兼任しています。
元々は社会学分野を専門としておりまして、個人情報保護法施行後の医療従事者と患者さんのプライバシーへの意識調査や、日本の医療分野における個人情報保護法の意義などを中心に研究してきました。
2014年4月より現職につき、様々な研究事業の取りまとめを実施する傍ら、分担研究者として、それぞれの研究目的に応じた研究を行っています。

 

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