医療コンサルを使った院内の問題提起法 / 事務長さぽーと株式会社 加藤隆之氏


院内で問題提起をするとき、現場の反感を買ってしまい、なかなかプロジェクトが進まないことがあります。今回は、事務長さぽーと株式会社の代表取締役を務める加藤隆之氏に、医療コンサルタントを利用した院内の問題提起法についてお話を伺いました。
加藤様には、現在公開中の診療所マネジメントEXPOにご登壇いただきます。

診療所マネジメントEXPO講演内容をお聞かせください

講演タイトル『ぶっちゃけ問題職員ってどう扱えばいいの!?』
講演では、問題行動の多いスタッフの対処方法についてお話します。
クリニックの大きな課題となりやすいのが、集患と職員トラブルの2つです。医療経営やマネジメントの話は、セミナー等を通じて教科書的な内容が学ぶ機会が多いですが、職員トラブルはケースバイケースなので、学ぶ機会が少ないかもしれません。
講演では、踏み込んだお話を交えていますので、職員トラブルの解決のきっかけになればと思います。


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医療経営コンサルタントとしての現在の取り組みについて教えてください

経営側と現場の間に入り嫌われ役になる
自院のために何かしようとすると、どうしてもスタッフ業務の負担増加につながりやすいです。特に、事務長は院内で嫌われ役として、言いにくいことを言わざるを得ない立ち位置にいます。

医療機関は一般企業ほど上下関係が明確ではなく、事務長であれば、院内の誰が反対するかは目に見えているでしょう。
例えば、新しいプロジェクトの立ち上げに関して、看護部から反対が起こると分かってていても、立場上言わなければいけないこともあります。問題提起できても、看護部との関係が悪化して、プロジェクトが上手く行かない可能性もあります。

ここで外部の人間が入って、院長や事務長の意図を幹部会議等で述べるとします。例えば、医療コンサルタントが「新しいプロジェクトを進めましょう」と事務長の代わりに言ってくれれば、自院の課題がぐんと進めやすくなります。

事務長の代弁をして課題解決へ導く
クリニックの院長先生は理想をポンと提示することが多いですが、実際に現場に落とし込むのは事務長の仕事です。事務長は院長の言動に翻弄されやすい立場ですが、クリニック全体のサポート役でもあるので、院長と現場の間で板挟みになってしまうこともあります。

事務長の代弁役として医療コンサルタントを間に入れば、スタッフから「何なんですか、あのコンサルは」と反感を買うこともあるでしょう。ただ、院内の人間関係に悪影響が出ないので、割と上手くいくことが多いです。

事務長側も「コンサルタントが言ってることは事実だから、皆でどう進めるか考えよう」と、現場に寄り添いつつ、院長の意図を進められます。実際に、医療コンサルタントとして最初に問題提起さえすれば、あとは現場の皆さんがプロジェクトについて話し合って進んでいくことも多いです。

院長先生や事務長から相談の多いトラブルや悩みを教えてください

院長や事務長は孤独感を抱えやすい
講演テーマとも重なりますが、院長や事務長の悩みの元にあるのは孤独です。私も経験がありますが、院長や事務長のように、経営者や責任者は往々にして孤独な立場です。院内で雑談できる相手は多くいても、心の底から本音を話し合える相手はほとんどいない方も多いでしょう。

特に、事務長は院長のサポート役でもあるので、院長の前で弱音を吐くのは難しく、本音を言い合える方は少ないかもしれません。クリニックの場合、院長の奥様が事務長と経理を兼務されている施設も多いですが、パートナーだからこそ言えないこともあるものです。

私も、組織外の知人に相談して気持ちを整理することもありますが、相手が内情を知らない分、具体的な問題解決にはつながらないこともあります。そういった意味でも、医療コンサルタントのように、外部の人間でありながら現場の状況を把握している人に相談するのは有効であると考えています。

今後、理想の医療業界に向け、どのような課題を解決していきたいとお考えですか

医療機関のアドバイザーとして業界に貢献したい
私自身も病院事務長を務めた経験があり、現場の温度感を十分理解していると自負しています。よろず相談所として、医療機関の先生や事務長の皆さんのお力になりたいと考えています。

特に私の場合、医療マネジメントにモチベーションや自分の価値を見出しているので、事務長が活躍できる環境作りや、経営や発信のサポートすることで、医療業界の向上に貢献できればと思います。

プロフィール


事務長さぽーと株式会社
代表取締役 加藤隆之 氏

ヘルスケア関連企業に勤務した後、コンサルティング会社、病院事務長などを経て独立しました。
現在は医療機関向けの経営コンサルティングやヘルスケア関連企業のアドバイザーに従事しており、講演セミナーや執筆活動を行っています。
病院事務長の経験があり、医療現場の知識がございますので病院やクリニックの院長先生や事務長の皆さんのお力になれればと思います。