誰もが安心して使えるオンライン診療のスタンダードを創る

園田 愛(そのだ あい)

株式会社インテグリティ・ヘルスケア 代表取締役社長

●医療経営コンサルティングに従事後、株式会社リクルート事業開発室にてヘルスケア関連事業に携わり、2009 年株式会社インテグリティ・ヘルスケア設立。同時に医療法人社団鉄祐会の設立・経営に参画。2011年より東日本大震災後の大規模復興事業を統括後、2015 年よりヘルステック事業を本格始動。東京医科歯科大学大学院修了、MBA、MMA。


第4の医療形態であるオンライン診療

2018年4月、これまで外来、入院、在宅の3種類であった医療形態に加えて、それらと組み合わせて補完できる「オンライン診療」が第4の医療形態となりました。

“YaDoc”開発と実証事業

私たちが提供するオンライン診療システム“YaDoc(ヤードック)”は、ビデオチャット等で診察を行う「オンライン診察」機能だけでなく、「オンライン問診」「モニタリング」機能も有しています。

患者のスマートフォン等には、疾患に応じた問診項目やバイタル、治療に必要な生活情報項目がセットされ、患者が予め回答・記録し、医師へ提供することができます。医師は診察前に状態を把握することができる他、データは一元的に管理され経時的に見ることも可能です。これまで見えなかった情報が可視化され診察に役立てて頂けるとともに、対面診察が難しい場合は、自宅にいらっしゃる患者へ診察することが可能です。

このようなオンライン診療について、私たちは福岡市が推進する「ICTを活用した『かかりつけ医』機能強化事業」として、2016年より、福岡市医師会・福岡市とのワーキンググループを発足、九州厚生局をオブザーバーに迎え、その安全性・有用性を検証してきました。

見えてきたオンライン診療の対象患者は、①勤労世代の外来診療、②通院困難高齢者の外来診療、③在宅医療、の大きく3ケースでした。上の表で症例を紹介します。 オンライン診療によって、患者の表情や状態変化などの情報量の多さが診療の質の向上につながることが確認されたほか、家族の身体的・精神的負担が低減しました。

ORCA、電子カルテとの連携、無償プランの提供開始

新しい医療形態であるオンライン診療を先生方により始めていただきやすくするために、私たちは2つの施策を行いました。

一つは、システムの連携です。クリニックではレセコンや電子カルテ等のシステムを活用されていますが、さらにオンライン診療を導入する場合、複数の画面や患者情報の二重入力など、決して最適化された状態ではありませんでした。そこで私たちはまず、日本医師会ORCA管理機構が提供する「日医標準レセプト クラウド版」とシステム連携を行いました。

さらに、電子カルテシステムとの連携を行いました。現在、クリニック導入実績が高い大手電子カルテ企業5社と連携し、日本の電子カルテ利用クリニックの半数以上で、安心のセキュリティのもとオンライン診療を導入し、利便性高く日常診療にて活用いただける環境が整いました。さらに「利便性・有用性の高いオンライン診療の導入・活用」への賛同の輪は広がっており、この割合は今後も増えていく見込みです。

もう一つは、システムの利用料金です。先生方にとってオンライン診療は新たな医療形態であり「まずは数症例実施してみたい」というご意向を多く伺いました。そのようなご意向に適した料金形態として、従来のプラン(導入費用無料、月額利用料3万円)に加え、完全に無料で開始いただける「ベーシックプラン」(導入費用無料、月額利用料無料)を5月21日から提供開始しました。

このプランは完全に無償ながら、「サポートデスク」によるオンライン診療システム導入と利用のサポート、また、ガイドラインや診療報酬制度などの制度対応の疑問解消のサポートを受けることができます。また、導入時には、システム設定からテスト利用までのサポートを電話で実施するスタートプログラムを提供しています。

私たちは、オンライン診療を「三方よし」の仕組みと考えています。患者さんにとっては、自分の疾患への理解が深まり、積極的に治療継続に取り組めること。先生方にとっては、良質な患者情報やアドヒアランス向上により、よりよい治療を継続的に提供できること、また、患者さんの通院にかかる悩みを低減いただけること。そして社会にとっては、増大する高齢者医療需要の新たな受け皿の構築、

また、慢性疾患の重症化予防など、医療偏在や医師の過重労働等の医療課題解決へとつながること。このような成果を出すことができれば、オンライン診療は新たな医療インフラとして社会に貢献できるようになると考えます。そのような社会の実現に向けて、これからも「誰もが安心して使えるオンライン診療のスタンダードの創造」に取り組んでいきます。

取材日:2018年5月
※この記事は5月24日発刊のDOC MAGAJINEの内容を基に一部再構成しています。YaDocの最新情報についてはYaDocのホームページをご確認ください。


株式会社インテグリティ・ヘルスケア

医療法人社団鉄祐会を中心としたTETSUYUグループとして、健康先進国・日本の実現に向けた新しい医療システムの創造を目指している。 テクノロジーを活用した医師の診療支援ソリューションの提供し、かかりつけ機能を強化する診療支援システム「YaDoc」を展開。

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