クリニック導入実績のある勤怠管理システム15選|機能比較と導入判断ガイド【一覧表付き】

クリニック導入実績のある勤怠管理システム

この記事でわかること

  • 小規模クリニックにおける勤怠・シフト管理の実情と課題
  • 勤怠・シフト管理システムを導入すべきかの判断基準
  • 管理方法別(アナログ/タイムカード/クラウド)の特徴と選び方
  • 必須となる機能や使いやすさのポイント
  • 医療機関向けに設計された勤怠管理サービスの比較と検討軸

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はじめに:クリニック開業時に見落としがちな「勤怠・シフト管理」

クリニックの開業準備では、立地や内装、医療機器、人材採用に目が向きがちですが、「スタッフの勤怠・シフト管理」は後回しにされることが少なくありません。しかし、運営開始後に「シフトがうまく回らない」「残業が把握できない」「有給管理が煩雑」といった課題が表面化するケースは多く、開業初期の混乱要因ともなります。

本記事では、クリニックの勤怠管理とシフト管理の現状を整理し、導入すべきかどうかの判断基準、さらにサービス選定の視点までをわかりやすく解説します。

クリニックの勤怠・シフト管理はなぜ難しい?

診療所では、医師、看護師、医療事務、受付などの職種が限られた人数で運営されており、誰か1人が欠けるだけで支障が出る体制が多く見られます。パートや時短勤務、オンコール対応など勤務形態も多様で、手作業によるシフト調整では限界があります。

また、診療科によっても人員配置の考え方は異なります。整形外科や救急対応科目では当直やオンコールが必須となり、皮膚科・眼科・内科などでは曜日や時間帯によって患者数が大きく変動します。地域差やスタッフ構成も相まって、クリニックのシフト・勤怠管理は想像以上に複雑です。

勤怠・シフト管理を怠るリスクとは?

  • 人的ミスや情報の属人化:Excelや手書き管理では転記漏れ・確認漏れが起こりやすい。
  • 院長業務の圧迫:シフト作成・勤怠集計・承認作業がすべて院長に集中すると本業に支障が出ます。
  • 法令対応の遅れ:有給休暇の取得管理や労働時間の把握は義務化されており、監査時のリスクに。

勤怠・シフト管理ツールの導入判断はここで決まる

1. スタッフ数と職種の多様性

  • 3人以下かつ固定勤務:紙やExcelでも対応可能。
  • 4人以上、パートや交代勤務が混在:ツール導入を検討すべき。

2. 勤務形態・シフトの変動頻度

  • 毎月固定ならアナログでも可。
  • 希望シフト制・曜日ごとの変動が大きい場合は仕組み化が必要。

3. 給与計算との連動性

  • 勤怠データがそのまま給与に関係する場合、自動連携で業務負担軽減。

ここからは、導入する場合に「どのような機能が必要か?」「どのタイプを選ぶべきか?」という視点で具体的に見ていきます。

勤怠・シフト管理で押さえるべき機能一覧

勤怠・シフト管理ツールを導入する場合、以下のような機能を備えているかどうかが判断のポイントとなります。特に、開業時からの導入を検討する場合は、後からの変更が難しい運用ルール(シフト希望の取り方、承認フロー、給与との連携など)を見据えて機能の取捨選択を行うことが重要です。

機能 内容
シフト作成の自動化 希望提出→調整→確定までの流れを一元管理
デジタル打刻 ICカード、スマホ、タブレットなどで正確な勤務記録
有給・残業管理 スタッフ別の取得状況や残数を可視化
申請・承認フロー スタッフ→管理者へのリアルタイム通知
給与連携機能 出退勤データが自動で給与ソフトに反映

勤怠・シフト管理ツールを導入する場合、以下のような機能を備えているかどうかが判断のポイントとなります。特に、開業時からの導入を検討する場合は、後からの変更が難しい運用ルール(シフト希望の取り方、承認フロー、給与との連携など)を見据えて機能の取捨選択を行うことが重要です。

これらの機能は「スタッフ数の多さ」よりも、「勤務形態の複雑さ」や「院長の業務負担」を基準に判断するのがポイントです。

なぜなら、スタッフ数が少なくても、時短勤務やシフト変動、曜日ごとの稼働差などがあると管理の手間は一気に増すからです。
また、小規模クリニックでは勤怠管理が院長の責任範囲に含まれることも多く、事務負担が増すほど診療や経営判断への集中が難しくなります。さらに、有給や残業など法令対応の複雑さは人数ではなく勤務体系の多様さに依存するため、業務の煩雑度を左右する本質的な要素は「人数」よりも「構造」なのです。

勤怠管理システム導入タイプ別の特徴と選定ポイント

勤怠・シフト管理を仕組み化する方法は、主に3タイプに分類できます。
それぞれの特徴と向いているクリニックの条件、導入時の注意点を以下の表にまとめました。

各勤怠管理システム詳細情報

タイプ 向いているクリニック 特徴・注意点
アナログ管理(紙・Excel) 職員3名以下/固定勤務/業務分担が明確 ミスの温床になりやすく、情報の蓄積や分析ができない
タイムカード型勤怠管理 過去に紙運用していたが、客観的記録が必要な場合 シフト作成や給与との連携は別作業。部分的な効率化に留まる
クラウド型勤怠・シフト管理ツール パート・時短・交代勤務が混在/申請・承認フローの標準化が必要 シフト作成、打刻、有給・残業管理、給与連携までを一元化。スマホ対応でスタッフも使いやすい。月額料金と初期設定の学習コストは考慮が必要

表からもわかるとおり、クリニックの規模や運営スタイルに応じた柔軟な選択が重要です。
どれかが絶対というよりも、自院にとって「業務が破綻しない方法かどうか」が判断の軸になります。

クリニックの導入実績がある勤怠管理システム詳細情報一覧表

クリニック勤怠管理システム:打刻方法マトリクス表

サービス名 PC打刻 スマホ/GPS ICカード 顔/指紋認証 QRコード ビーコン LINE/Slack
ジョブカン勤怠管理顔/指静脈LINE
ジンジャー勤怠
KING OF TIME顔/指紋
マネーフォワードクラウド勤怠
AKASHI顔/指紋
CAERU勤怠 医療
Vicsell 病院向け勤怠管理Ⅱ
Linkit メディカルGPS
OLude(オルデ)顔/指紋
Dr.オフィスLookJOB2GPSSuica顔認証
ICタイムリコーダー顔/虹彩
Touch On Time顔認証
HRMOS勤怠LINE/Slack
freee人事労務Slack
レコルGPS顔認証
Dr.JOY

各勤怠管理システム詳細情報

特徴
特徴医師の働き方改革対応(36協定アラート等)、シフト作成機能
費用医療向けセットプラン 初期費用0円、月額800円/ID
打刻方法顔認証・ICカード・指静脈・LINE・スマホ等
給与ソフト連携連携可(労務HR等ジョブカンシリーズ)

(株式会社MICIN公式HP:https://jobcan.ne.jp/medical)

特徴
特徴低価格で多様な働き方に対応。スマホアプリ・AIチャットサポート充実
費用初期費用0円、月額300円~/人
打刻方法PC・スマホ・ICカード・タブレット等
給与ソフト連携連携可(jinjer給与・SmartHR等)

(jinjer株式会社公式HP:https://hcm-jinjer.com/kintai/vertical-hospital/)

特徴
特徴利用者370万人超の実績。豊富な打刻方法や、シフト・残業・ワークフロー管理機能も充実
費用初期費用0円、月額300円~/人
打刻方法PC・スマホ・ICカード・生体認証(顔/指紋)
給与ソフト連携CSV/API連携(各種給与計算対応)

(株式会社ヒューマンテクノロジーズ公式HP:https://www.kingoftime.jp/)

特徴
特徴多様な雇用形態対応、カスタム集計・シフト管理など。
費用初期費用0円、スモールビジネスプラン4,480円/月~(3名まで)
打刻方法PC・スマホ・ICカード・iPad等
給与ソフト連携他のMF製品(給与・会計)と高い互換性

株式会社マネーフォワード公式HP:https://biz.moneyforward.com/attendance/)

特徴
特徴変形労働制・フレックス対応。必要機能に応じ3プランから選択可
サポートサイト・ヘルプ充実、全国多数導入実績あり。
費用初期費用0円、月額200円~/人
備考CSV連携等(MF・給与奉行等対応)

(株式会社マネーフォワード公式HP:https://admina.moneyforward.com/jp/integrations/akashi

特徴
特徴勤怠・給与・年末調整まで一元管理。夜勤手当・訪問手当等の柔軟設定も可能
医療機関向け柔軟カスタマイズを提供。
費用初期費用0円、ミニマム:月額2,600 円/、スタンダード:月額5,200円/ 5名まで基礎料金に含む
打刻方法PC・スマホ・ICカード・Slack等
給与ソフト連携freee給与と密連携

(freee株式会社公式HP:https://www.freee.co.jp/hr/industry/medical-care/)

特徴
特徴医療現場特化型でクリニックから大病院に対応。
タブレット型タイムレコーダーを無料レンタル。
費用初期0円、月額7,500円/1拠点、アプリ利用料月額150円/1ID
打刻方法PC・スマホ・ICカード・Slack等
給与ソフト連携CSV連携・電子カルテ連携可能

(CAERU株式会社公式HP:https://japanpt.org/medical/)

特徴
特徴ビーコンによる自動打刻機能で打刻漏れを防止。複数拠点勤務の際も、指定エリア滞在時間で管理が可能
在宅・直行直帰勤務の管理に適した機能群を用意。
費用初期費用0円、月額要見積
打刻方法ビーコン・スマホGPS打刻
給与ソフト連携API/CSV連携可(他システム連携)

(株式会社ACCESS公式HP:https://linkit.access-company.com/medical/)

特徴
特徴勤怠管理から月次情報まで一括管理。
医師の自己研鑽時間・インターバル・代休など医療特有項目も計測
費用要問合せ
打刻方法QRコード・ICカード・生体認証・スマホGPS等
給与ソフト連携CSV連携可(給与システム連携)

(株式会社東計電算公式HP:https://tcc.olude.jp/)

特徴
特徴登録人数無制限の定額制。打刻はモバイルSuica等にも対応
徹夜機能・二重打刻防止機能を搭載。無料サポート充実。小規模クリニックで幅広く活用
費用初期0円、月額10,780円定額(従業員数無制限)
打刻方法PC・スマホ(GPS)・ICカード(Suica)・生体認証
給与ソフト連携連携可(給与計算ソフト連携)

(株式会社庚伸公式HP:https://lookjob.jp/price.html)

特徴
特徴小~中規模クリニック向け。
AI虹彩/顔認証打刻対応でマスク着用でも認証が可能。
、QR/Web打刻、各社給与連携にも対応
費用初期費用0円、月額220円~/人
打刻方法ICカード・スマホ・QR/WEB・PC・虹彩/顔認証など
給与ソフト連携CSV連携可

(株式会社インテック公式HP:https://web.ic-tr.jp/)

特徴
特徴独自開発のパソコン不要/3通りの打刻方法が選べるタイムレコーダー。
顔認証含む多様な打刻端末を組み合わせ可能。医療機関導入実績多数
費用初期0円、月額300円×打刻人数(従量課金制)
打刻方法PC・スマホ・タブレット・顔認証端末
給与ソフト連携API連携(MoneyForward・freee・SmartHR・OBCなど)

(株式会社コインタイム公式HP:https://www.kintaisystem.com/)

特徴
特徴人材領域大手の勤怠ツール。スタートアップ向け無料プランあり低コストで利用可能。
ICカードやチャットツール打刻も可能
費用利用者30名以下無料(有料プラン月額100円~)
打刻方法PC・スマホ・ICカード・Slack/LINE等
給与ソフト連携CSV連携可(給与ソフト出力)

(株式会社ビズリーチ公式HP:https://hrmos.co/kintai/)

特徴
特徴1人100円の低価格でフル機能利用可(最低利用料金設定あり)
複雑シフト対応、アプリGPS打刻・法令遵守機能
費用初期費用0円、月額100円/人(最低3,000円)
打刻方法PC・スマホ(GPS)・ICカード・生体認証
給与ソフト連携CSV連携可(PCA/弥生/JDL等)

(中央システム株式会社公式HP:https://www.recoru.in/)

特徴
特徴岡山大病院共同開発のビーコン打刻システムで自動出退勤管理し打刻率100%を実現
時間外申請はスマホで自動入力。大学病院多数導入実績。
費用初期要問合せ、月額要問合せ
打刻方法ICカード打刻・スマホ・ビーコン
給与ソフト連携要確認

(Dr.JOY株式会社公式HP:https://drjoy.jp/)

まとめ|合理化の第一歩は「仕組みを選ぶ」ことから

クリニック経営における勤怠・シフト管理は、見落とされがちですがミスが起これば運営に直結する重要な業務です。院長がすべてを背負うのではなく、業務の仕組み化によって効率よく、安全に管理することが、開業後の安定運営を支えます。

本記事が、自院の規模と体制に合わせた最適な管理方法を見つける一助となれば幸いです。

よくある質問(クリニックの勤怠・シフト管理)

Q. 勤怠管理システムはスタッフが少なくても必要ですか?

A. 勤務時間が不規則だったり、シフト調整が煩雑な場合には有効です。人数ではなく「業務の複雑さ」で判断しましょう。

Q. 勤怠管理ツールにはどんな機能が必要ですか?

A. シフト希望の収集、ICカードやスマホ打刻、有給・残業の集計、給与ソフトとの連携などが代表的な機能です。

Q. 無料で使える勤怠管理システムはありますか?

A. 一部のサービスで無料プランやトライアル期間がありますが、医療機関向け機能を使うには有料プランが必要になることが多いです。

Q. 勤怠システムを選ぶときの比較ポイントは?

A. 導入コスト、使いやすさ、医療業務との相性、サポート体制、セキュリティ対応などがポイントです。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
クリニックの運営や医療業務の改善に関する専門知識をもとに、医療機関の実務に役立つ情報を厳選してお届けしています。