クリニック開業時に検討したいデジタルサイネージとは? 医療向け製品比較と導入ガイド

クリニック開業時に検討したいデジタルサイネージとは? 医療向け製品比較と導入ガイド

近年、クリニックの院内環境づくりや業務効率化の一環として「デジタルサイネージ」の導入が進んでいます。待合室や受付に設置されたディスプレイで診療案内や呼び出し番号を表示したり、健康情報などの専用番組を表示したりすることで、患者満足度の向上や業務効率化に役立ちます。クリニックの印象も左右するため、開業時に検討する医師が増えています。

本記事では、デジタルサイネージの活用方法から、クリニック向けの製品比較、電子カルテ・予約システムとの連携、費用感や注意点まで網羅的に解説します。

製品比較から確認したい方はこちら(ページ内へジャンプ)

なぜいま「デジタルサイネージ」が開業クリニックで注目されるのか

紙の掲示物やポスターでは情報更新の手間がかかるうえ、患者の視認性や印象にも限界があります。デジタルサイネージを導入すれば、待合室や受付で動的に情報を表示し、クリニックのブランディングにもつながります。

また、診療科目別の案内や診察の呼び出し番号表示など、クリニック特有の業務に最適化されたコンテンツを活用することで、患者の不安軽減や混雑緩和にも貢献します。特に電子カルテや予約システムと連携することで、順番表示の自動化など、業務効率化に大きく寄与します。

サイネージの活用シーンと表示コンテンツ、メリット

デジタルサイネージは「どこに」「何を」表示するかによって、効果が大きく変わります。主な活用場所と表示コンテンツ、期待される効果は以下の通りです:

設置場所 表示内容例 効果・メリット
待合室 診療科目案内、医師紹介、健康情報、生活習慣病予防、リラックス映像 待ち時間の不安・退屈軽減、信頼感向上、診療内容の理解促進
受付 受付手順、呼び出し番号、待ち人数、休診案内、診療スケジュール 問い合わせ削減、受付業務省力化、来院者の自己完結率向上
診察室前・廊下 診療中ステータス、検査案内、予防接種・健診のお知らせ 患者誘導の効率化、院内導線最適化、スタッフ業務削減

また、曜日・時間帯別のスケジュール配信に対応した製品であれば、外来休診や特別診療の告知も自動化でき、情報発信の鮮度を保ちやすくなります。

サイネージ×電子カルテ・予約・呼び出し・広告連携で拡がる業務効率と収益化

デジタルサイネージは、電子カルテ、予約システム、番号発券機と連携させることで、業務自動化と患者満足度向上を同時に実現できます。

たとえば、iPadやオンライン受付システムと連携すれば、受付番号がサイネージに表示され、自動音声や画面演出で診察室への案内が可能です。これにより、スタッフの案内負担が軽減され、患者も自分の順番や待ち時間を確認できるため、ストレスが減少します。

さらに一部の製品は、広告プラットフォームと連携し、健康啓発コンテンツや企業広告を配信することも可能です。これにより地域の医療情報提供、クリニックの認知向上、広告収益による一部コスト回収といった展開が期待されます。

費用と運用負担の実態—導入前に知っておきたいコスト構造

費用は機器構成やサービス形態により異なりますが、おおむね以下のような構成です。

・初期費用:ディスプレイ、スタンド、STB(再生端末)、設置費用などで10万円~50万円程度

・月額費用:配信管理サービス、コンテンツ提供、保守を含めて5,000円~20,000円程度が相場

また、コンテンツの自動更新機能がある製品や、業者によるコンテンツ運用代行があるサービスであれば、スタッフの運用負担を最小限に抑えられます。

開業準備で押さえる導入スケジュールとベンダー選定のポイント

サイネージの導入は開業直前でも可能ですが、以下のようなポイントを早期に意識しておくことで、内装や他システムとの整合性が取りやすく、結果的にスムーズな導入と運用につながります。

導入タイミングの目安

  • 内装設計時に「設置場所・電源・LAN配線」の位置を決めておく
  • 電子カルテや予約システムとの連携を想定し、導入ベンダーと事前に調整
  • 開業1ヶ月前までに機器設置・テストを終えるのが理想
注意点 対策のヒント
設置場所に電源やLANが足りない 内装業者と早めに相談し、電源・ネット回線の引き込み位置を決定
診察システムとの連携ができない 電子カルテ/予約システムとの連携実績があるベンダーを選定
コンテンツが更新されず形骸化する 更新代行付きプランや自動更新CMSを選ぶ
院内広告と医療広告ガイドラインの衝突 表現規制のある医療広告は避け、コンテンツ監修付きベンダーに相談
保守やトラブル時の対応が不安 クリニック向けサポート(リモート対応・交換保証など)が整っているか確認

クリニック向けデジタルサイネージ製品比較・導入事例

医療特化型と汎用型サイネージのコスト・機能比較

製品カテゴリ 主な機能 連携実績 月額費用目安
医療特化型 診療案内、順番表示、健康啓発、自動更新 予約・呼出対応など 5,000~20,000円程度
汎用型 広告表示、スケジュール配信、汎用CMS 一部医療導入実績あり 3,000~15,000円程度
特徴
特徴・動画制作とデジタルサイネージを提供。
・レイヤード社が制作する番組あり。自動更新し通院患者が飽きないコンテンツを提供。BGM、ニュース、天気予報あり
・医院オリジナルの動画コンテンツ制作可能。
費用要問合せ(放映機一台分料金込み)
機能・導入事例“サイネージ上で舌下免疫療法、睡眠時無呼吸症候群などの疾患について動画で説明し、患者さんに啓蒙することで、病気の早期発見につなげたいと考えました。”
”作成した動画はLINE公式アカウントと併用することができるなど幅広い活用ができる点にもメリットを感じた”

(株式会社レイヤード公式HP:https://layered.inc/medicastar/)

特徴
特徴・25年で 1,500施設の導入実績。保守サポートサービス「総合メンテナンスサービス」でディスプレイ・配信用PCを6年間保証
・発信したい情報を連絡するだけで、制作~校正・配信までお任せ
・オリジナルコンテンツ制作、600を超える多彩な番組を選択可能
費用要問合せ
機能・導入事例

(株式会社メディネット公式HP:https://mdnt.co.jp/ms/)

特徴
特徴・病院・クリニック・薬局の患者向け、また施設内情報共有のサイネージシステム
・医療情報共有サービス「MEDIP」で患者向けの情報や医院情報など、飽きないコンテンツを配信
費用要問合せ
機能・導入事例”患者様が当院の特徴を理解しやすいようです。好評です。”

(長野テクトロン株式会社公式HP:https://www.medip.co.jp/medip_p_basic/)

特徴
特徴・オリジナル番組の制作、日経BPマーケティングとの業務提携により「待合くん」の放送が可能
・病気豆辞典、健康コラム、医療ニュース、環境映像など600本を超える豊富な医療番組、週更新番組も多数
・インターネット回線とディスプレイ(テレビ)のみの準備でOK
費用初期導入費用:10万円台~
(制御用パソコン、配信管理ソフト、訪問設置工事、画面レイアウト調整、各種ケーブル類含む。)
月額1万円台から放映が可能。無料お試しキットあり要問合せ
機能・導入事例

(株式会社アイアンドシー公式HP:https://i-and-c.jp/)

特徴
特徴・A.Bプラン:テレビ放送を同一画面上に表示することで「患者さんの視線を強力に集める」タイプ
・C.Dプラン:テレビ放送を表示せず「情報発信力を強化する」タイプ の選択が可能
費用初期費用100,000円(税別)+モニター代、
月額システム利用料10,000円(税別)
機能・導入事例

(株式会社メディココンサルティング公式HP:https://www.medip.co.jp/medip_p_basic/)

特徴
特徴・休診案内、インフルエンザ予防接種などのお知らせに加えて、待ち時間の有効活用を目的として、
患者さんのヘルスリテラシーの向上、クリニックのブランディング、地域連携の推進等の発信が可能
・独自のコンテンツ作成も可能。検査や疾患の解説、クリニックのイメージ動画等に対応
費用初期費用65000円、月額13500円 (税別)
TVモニター(要HDMI入力端子)別途
機能・導入事例

(株式会社ブロードメッド公式HP:https://broadmed.co.jp/)

特徴
特徴・日本全国 約1000の病院(クリニック・診療所)の待合室でデジタルサイネージを放映。
・健康情報・子育て情報・お知らせ等配信コンテンツの選択可能
費用要問合せ
診療予約システム「iTICKET Smart Cloud」契約で、iTICKET TVを無料活用できるプランあり
機能・導入事例

(エムスリーソリューションズ公式HP:https://corporate.iticket.co.jp/ads/)

特徴
特徴・クリニック向けクラウド式共同配信システム。故障率の低さが特徴(5年で約1%の故障)
・健診センター・診療所などの院内モニターなど受付番号や待ち時間、多彩なコンテンツを配信
・備付テレビ併用可能、WIFIによる接続
・タブレットの導入もサポート(月額2,500円~)
費用月額5,000円 〜(新規開院特別価格、導入より12ヶ月間)
月額10,000円(動画制作有、ニュース・天気予報有、テロップ有)
機能・導入事例番号表示システムとの連動可能。
”事務員や看護師からの説明や薬の飲み方等の10分動画をYouTubeでも見れるようにしております。
これにより、クリニックへのお問い合わせが減り、日帰り入院への患者さまの不安解消も可能となっております。”

(メディアネットワークス公式HP:https://medianetworks.co.jp/mncloudservice/mncloud-for-clinic/)

他業種汎用型システムでクリニックへの導入事例がある製品

特徴
特徴・情報発信から演出、広告、業務支援まで用途に合わせて幅広く活用可能
・タッチパネル案内やプロジェクションマッピングやLEDビジョンも対応
・Wi-Fiが利用できない環境において手動で更新する「スタンドアローン運用」も可能です。
費用1台からの利用可能、要問合せ
機能・導入事例クリニックの事例”営業日時やご案内を中心に放映しています。紙媒体を使用した情報発信から
デジタルサイネージ運用に切り替えたことで、ポスター等の張り替えに要していた時間を削減することができます”

(株式会社クラウドポイント公式HP:https://cloudexa.cloudpoint.co.jp/)

特徴
特徴・利用者が自身でコンテンツを追加できるセルフインサート機能あり
・コンテンツの更新や保守、運用サポートをワンストップで提供
費用待合室システム10,800円~
機能・導入事例

(株式会社三電社公式HP:https://sanden-display.com/signage/)

特徴
特徴・掲示板CLOUD、掲示板NEXT(オンプレミス型)、「じぶんでサイネージ」など多彩なプランを選択可能
・24h365日稼働の安定した稼働をサポート
・全体一括、店舗、端末個別配信と、それぞれのスケジュール再生が可能
費用1台あたり月額2,500円~(個別見積もり)
機能・導入事例”お客様への告知物などがバラバラのフォーマットで掲示されていて、なんとか集約できないかという声が現場から上がっていました。~中略~ 紹介しているオプション検査を依頼される方も増えました”

(エレコム株式会社公式HP:https://www2.elecom.co.jp/business/custom-pc/embedded/elecom_signage/)

医療広告ガイドラインと運用上の注意点

医療機関の院内表示であっても、医療広告ガイドラインに準拠する必要があります。

禁止されている表示例

  • 治療実績や他院との比較
  • 体験談・ビフォーアフター写真
  • 優良誤認を招く表現

また、音声・画面演出が強すぎると患者に不快感を与える恐れがあるため、字幕付き映像や静音設計も重要です。

運用上の課題として注目すべき点は以下です。

  • コンテンツが更新されず放置されることで、信頼性が損なわれるリスク
  • 機器故障への迅速なサポート体制の有無
  • スタッフが直感的に使えるCMSの設計

こうした点を考慮し、コンテンツ監修付き、更新代行付き、保守込みの製品を選ぶと安心です。

サイネージは「合理化・信頼性・収益性」を支えるインフラへ

デジタルサイネージは単なる電子掲示板ではなく、クリニック運営における業務効率、患者満足度、法令順守、収益化までを担うインフラです。

開業時にこそ、他の設備とあわせて導入を検討することで、合理的で持続可能なクリニック経営に近づくことができるでしょう。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
クリニックの運営や医療業務の改善に関する専門知識をもとに、医療機関の実務に役立つ情報を厳選してお届けしています。