株式会社アルム(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:坂野 哲平、以下「アルム」)は、日本赤十字社 北見赤十字病院(以下、「北見赤十字病院」)と広域紋別病院企業団 広域紋別病院(以下、「広域紋別病院」)が開始した実証に、アルムが開発・提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」を提供し、新しいWeb会議機能を活用した「D to P with D」型オンライン診療をサポートする。
このWeb会議機能は一般的なWeb会議システムと異なり、セキュアな環境下でDICOM規格の医用画像を共有しながら多拠点間のWeb会議が可能であり、医療機器プログラムでの実現は世界初(アルム調べ)となる。
D to P with D型オンライン診療とは
Doctor to Patient with Doctorの略で、患者がかかりつけ医などの医師同席のもと行われるオンライン診療を指す。オンライン診療は、医師が電話やビデオ通話等により直接患者を診察する「D to P」型が一般的だが、2020年度の診療報酬改定では「D to P with D」型を評価する診療報酬が新設されている。「D to P with D」型は、患者はかかりつけの医療機関にいながらも、遠隔地の専門医が情報通信機器を用いて診療することが可能となるため、医師および患者の移動負担軽減及び専門治療の継続率向上に寄与するとして期待が集まっている。
今回の実証実験と今後の展開について
今回の実証は、アルムが開発・提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」のアップデートにより追加されたWeb会議機能を活用し、北見赤十字病院にいる脳神経外科専門医と、広域紋別病院にいる内科医師(主治医)および脳卒中の患者(治療後、経過観察中)をオンラインで繋ぎ、遠隔での検査画像の確認および患者への説明を行った。
従来、紋別に在住する患者は、脳神経外科領域の専門的治療を受けた脳卒中センター病院である北見赤十字病院を退院後、定期的な専門医による診察や血液、画像検査、処方を受けることを目的に、年に数回、車で片道2時間以上をかけて通院する必要があった。脳卒中の患者は高齢であることが多く、移動そのものが身体に負担をかけることや通院に付き添う家族の負担が大きいことが課題となっていた。
さらに一部の患者においてはその移動負担の大きさから、自ら希望して通院を中止することもあり、継続的な専門的診療ができないことも大きな問題となっていた。
本実証では、画像撮影を患者の居住地に近い広域紋別病院で行い、Joinを用いてその画像を北見赤十字病院の専門医に共有することで、北見赤十字病院の専門医による遠隔でのフォローアップを行った。さらに、両病院の医師間での事前の情報共有の上で、北見赤十字病院の専門医による診断結果の説明を、Joinで繋いだ広域紋別病院にいる患者に対し、かかりつけ医同席のもと行った。本実証により、Joinを活用することで、患者の長距離移動を伴わずに専門診療を遠隔地で受けることのできる体制構築が可能であることが示された。
尚、本実証は北見赤十字病院が実施する臨床研究となる。
今後は、実臨床における「D to P with D」型オンライン診療の運用スキーム等を確認し、国内医療機関400施設以上に導入されているJoinの新しい付加価値サービスとして展開する予定。特に、専門医が不足する疾患領域や地域における、「D to P with D」型オンライン診療の普及を進めることで、医療資源の均てん化に貢献する。さらに、多分野による集学的検討 (multi-disciplinary discussion:MDD)を必要とする疾患領域における遠隔化、オンライン化を進め、ニューノーマルにおける医療関係者の働き方改革に寄与する。また、国内だけでなく、新興国への医療支援の一環として、越境でのオンライン診療支援体制構築など、海外市場での活用も目指す。
本実証の詳細および成果は、第47回日本脳卒中学会学術集会「STROKE 2022」において、2022年4月末(予定)までオンライン配信される。
Stroke 2022
URL:https://site2.convention.co.jp/stroke2022/home.html
演題名:オホーツク圏におけるICTを用いた脳卒中遠隔診療の現状と課題
演者:木村 輝雄先生
本件に関するお問い合わせ先
株式会社アルム
所在地: 東京都渋谷区道玄坂一丁目12番1号 渋谷マークシティ ウエスト16階
電話番号: 03-4361-2650
URL: https://www.allm.net/