施行まで約1年後に迫る「医師の働き方改革」に関するアンケート調査を実施

プロフェッショナル・エージェンシー事業を展開する株式会社クリーク・アンド・リバー社(本社:東京都港区、以下「C&R社」)の医療分野の子会社である株式会社メディカル・プリンシプル社(以下「MP社」)は、「医師の働き方改革」に向けたアンケート調査を、医療機関と「民間医局」の医師会員を対象に実施した(調査期間:2022年11月8日~11月23日)。なお、調査結果の詳細は、若手医師向け情報収集サイト「民間医局コネクト」内の記事にて確認できる。

民間医局コネクト
・医師の調査結果: https://connect.doctor-agent.com/article/column422/
・医療機関の調査結果: https://connect.doctor-agent.com/article/column423/

背景

2024年4月から順次施行される、「医師の働き方改革」を目的とした改正医療法により、医療機関は一般企業と同様に、雇用する医師の労働時間の徹底した管理を求められ、上限時間を超過した際の罰則も適用されるようになる。本調査では「医師の働き方改革」について、「民間医局」の医師会員228名と医療機関134施設を対象にアンケートを実施し、現状や今後の対応について回答をもらった。

調査結果サマリー

【医師】
・5割以上の医師が「働き方改革の進行を感じていない」という結果に。
・働き方改革へ期待することは「休日・休暇が十分に取れること」「メリハリのある勤務ができること」。
・働き方改革で懸念することは「収入の減少」「副業の禁止」。

【医療機関】
・約6割の医療機関が「働き方改革が進んでいる」と回答。
・7割以上の医療機関が「宿日直許可を申請予定・準備中・承認待ち」との結果に。
・半数以上の医療機関が「医師の人材確保」「宿日直許可の取得」に困っている。

医師の調査結果

1.5割以上の医師が勤務先の「働き方改革が進んでいない」と回答
勤務先での「働き方改革の推進度は進んでいるか」という質問に対して、「あまり進んでいない」「全く進んでいない」の回答を合わせると、54%の医師が働き方改革の進行を実感していないという結果になった。病院へのアンケートの回答と比較すると、「進行している」という実感が少ない傾向があった。

2.働き方改革に期待することは「休日・休暇が十分に取れること」、次に「メリハリのある勤務ができること」という結果に
「働き方改革に期待することはあるか」という質問に対して、「休日・休暇が十分に取れること」、次いで「メリハリのある勤務ができること」が他の回答よりも僅差で多い結果となった。自由回答では、現状負担に感じている業務が軽減することへの期待や、働き方改革によるマイナス面が生じることへの懸念があった。

3.働き方改革で懸念していることは「収入の減少」、次いで「副業の禁止」という結果に
「収入が減少すること」や「副業が禁止されること」を危惧する意見が多くあった。自由回答では、医療の質の低下や、 一般則よりも大幅に多いA水準での時間外労働の上限(年960時間)が恒久化することへの懸念も寄せられた。

医療機関の調査結果

1.約6割の医療機関が「働き方改革が進んでいる」と回答
病院内での「働き方改革の推進度は進んでいるか」という質問に対して「進んでいる」、「ある程度進んでいる」との回答を合わせると、60%の医療機関が働き方改革の進行を実感している結果になった。一方で「全く進んでいない」との回答もあり、うまく進められている病院が多くある中で、なかなか進捗していない病院があることも伺える。

2.7割以上の医療機関が「宿日直許可を申請予定・準備中・承認待ち」と回答
宿日直許可(※)の取得状況について質問したところ、「申請予定・準備中」との回答が37%と最も多く、次に「取得済み」が31%、「申請予定・準備が進んでいない」が19%となり、「承認待ち」を含めると、7割を超える医療機関で宿日直許可取得の動きが進んでいる傾向となった。

※「宿日直許可」
労働基準法第41条において、実質の労働量が少なく、時間規制を適応せずとも労働者保護にかけることのない宿直・日直の勤務で断続的な業務(寝当直等)は、労働基準監督署長の許可を受けた場合に労働時間規制を適用除外とし、労働者の健康を害さない範囲の勤務を特例として認めるための許可。
申請手続きは、厚生労働省にて制度概要や手続き等に関する相談窓口が設けられている他、都道府県の医療勤務環境改善支援センターでの相談受付も行われている。

3.半数以上の医療機関が「医師の人材確保」「宿日直許可の取得」に困っているとの回答
「働き方改革に関して困っていること」についての質問に対しては、「医師の人材確保」「宿日直許可の取得」に困っているとの回答がともに半数以上と多く、その他「医師の副業・兼業の管理」「医師以外の人材確保」との回答も約2割に上った。

まとめ

【医師の調査結果】
医療機関へのアンケートと比較して、医師の働き方改革の全体的な対応策の進捗等は病院と医師の認識の間でずれがある印象。そのため、働き方改革は現状、勤務されている医師が実感を持てるほど進んでいないことが伺える。特徴的な意見としては、収入面に関するものが多く、働き方改革により収入減となることや現在行っている副業ができなくなることを案じる回答が多くあった。また、自由回答では、医療の質や医療システムの安定性が崩れることへの懸念もあった。

【医療機関の調査結果】
約6割の医療機関で、「働き方改革が進んでいる」と回答がある一方で、困っていることに関しては「医師の人材確保」「宿日直許可の取得」が半数以上と医療機関によって対応がうまく進められている病院と進められていない病院があることが伺えた。

MP社では、契約医療機関数17,000施設、登録会員数約153,000人のネットワークを活かして、今後も医療現場の課題解決に向けて様々な取り組みを行っていく。

【調査概要】
調査期間:2022年11月8日~11月23日
対象 : 医師会員 15,923名・医療機関 3,350施設
回答数 : 医師会員 228名・医療機関 134施設

本件に関するお問い合わせ先

株式会社メディカル・プリンシプル社
電話番号:03-4565-6100
E-Mail: pr@medical-principle.co.jp
URL:  https://www.medical-principle.co.jp/