江東区医師会、デジタル化で在宅医療を支援

江東区医師会、デジタル化で在宅医療を支援

このニュースの要約

東京都の江東区医師会は、東京都在宅医療推進強化事業を江東区内で推進する。
株式会社レイヤードが提供する電話自動応答システムIver、WEB問診Symview(オンライン診療機能を含む)を導入することを決定した。システム導入により江東区の医療機関での医療DXを推進し、主治医が対応できない夜間休日等に副主治医が夜間休日当番医師として患者を往診代行・オンライン診療等で診療できる体制づくりを目指している。

導入の背景

東京都は、今後の高齢化の進展による在宅医療の需要増加に加え、オンライン診療などコロナ禍で受療行動が変容したこと、また、24時間診療体制など切れ目のない在宅医療の提供体制の構築に向けた取組状況は、区市町村により差があることを課題とし、在宅医療提供体制の充実を図ることを目的に、在宅医療推進強化事業を進めている。
在宅医療推進強化事業では、地域における24時間診療体制の構築を支援するため、オンライン診療等を活用した医療DXを推進していく。

江東区の高齢化率は、2022年時点で21.5%と、東京都22.8%、全国28.8%(※)と比較するとやや低い割合であるが、江東区医師会では近い将来の高齢化率の上昇に備え、在宅医療体制を強化し、区民が住み慣れた地域で医療を受けられる体制の構築を進めている。その一環として、東京都の事業に応募し採択された。
※江東区福祉部介護保険課 地域包括ケア「見える化システム」を活用した地域分析(令和4年度)より

江東区の医療DX化構想、主治医・副主治医体制の構築

東京都に採択された江東区医師会の医療DX化構想は、レイヤードが提供する電話自動応答システムIver(アイバー)、WEB問診Symview(シムビュー)を活用して、主治医だけでなく、副主治医が夜間休日当番医師として平日夜間や、休日の緊急時に対応し診療できる体制を構築するというもの。

電話自動応答システムIverは、コールセンターのように用件ごとにメニューが設定でき、メニューごとに電話の転送やSMS送信、自動音声案内などの対応が可能。さらに、在宅医療等の課題解決のために曜日や時間帯などカレンダーを利用して転送先の電話番号を設定することが可能な機能を提供している。これにより夜間や休日の電話転送先をきめ細かく設定することができ、夜間休日当番医師等へ適切に自動転送できる仕組みの構築が可能となる。

また、WEB問診Symviewは患者家族や訪問看護師等の医療者のスマートフォンで詳細な問診の入力ができるだけでなく、ブラウザでビデオ通話ができるオンライン診療機能(※)も搭載している。
※ID登録やアプリのダウンロードが不要

江東区医師会では、各診療所で両システムを導入することを支援し、医師が無理なく24時間対応可能な在宅医療体制の構築を目指す。

体制の概要

緊急時、患者家族、または訪問看護師等の医療者が主治医の番号=Iverに電話をする。緊急の場合は、夜間休日当番医師に電話を転送、それ以外の場合はSMSでWEB問診Symviewの入力用URLを送信する。WEB問診を活用して、医療者等は夜間休日当番医師に共有したい患者サマリー情報を事前登録したり、患者家族は経過観察情報や、診察後の容態の変化を主治医に連絡したりできるようにする。これにより患者家族には、いつでも主治医とつながっている安心感を提供しながら、医師の緊急時の電話負担を最小化することが期待される。

在宅医療では、24時間、主治医が対応できる体制を構築することが課題となっているが、江東区では両システムを導入することで、地域の患者を地域全体で診られるようにしたい考え。

ゴーリー
ゴーリー

24時間対応できる体制づくりは小規模なクリニックにとって、無理がありますよね。

このような取り組みで主治医をサポートできることはとても合理的だと思います。