
全国医療情報プラットフォームとは
全国医療情報プラットフォームとは、患者の診療情報・健診情報・処方情報など、保健・医療・介護にかかわる多様な情報を、安全かつ効率的に共有・連携するための全国的な情報基盤です。
政府(医療DX推進本部)が中核となり、オンライン資格確認等システムを拡張する形で整備が進められています。
主な目的と構想
- 医療機関、薬局、自治体、介護事業者など多様な主体が情報を安全に共有できるようにする。
- 本人の同意を前提に、医療従事者が患者の診療歴や処方歴などを確認可能に。
- 患者は自身の医療情報をマイナポータル等で一元的に把握できるようになる。
- 災害時や緊急受診時も含め、全国どこでも切れ目ない医療提供が可能となる体制を構築。
共有対象となる情報
- 資格情報(保険証、公費負担、介護認定など)
- 診療情報(入退院、処方、アレルギー、検査、画像診断など)
- 処方箋情報・薬剤情報
- 特定健診・自治体検診情報
- 電子処方箋情報(2023年1月〜対応開始)
- 電子カルテ情報(今後拡充予定)
- 予防接種情報、介護情報(ケアプラン、ADL等)
- 難病認定・感染症届出など行政手続関連情報
これらは、オンライン資格確認等システムやマイナポータルと連携して提供・閲覧されます。
現状と課題(2025年時点)
全国医療情報プラットフォームは、オンライン資格確認等システムの整備を基盤として、全国の医療機関および薬局のほとんどが安全なネットワーク上で接続されています。マイナポータルを通じて、患者本人が自らのレセプト情報や健診情報、予防接種履歴などを確認できる仕組みも既に提供されています。
また、2023年1月には電子処方箋の情報共有がスタートし、将来的には電子カルテ情報や自治体の検診情報、介護サービスに関する情報まで、段階的に共有範囲が拡大される計画となっています。
一方で、課題も明確になっています。現時点で情報の共有が可能な主体は医療機関と薬局に限定されており、今後は自治体や介護事業者など、より多くの医療・福祉関連機関への拡張が必要です。また、共有される情報の種類も限定的であり、電子カルテを含む広範な情報の標準化と共有に向けた技術的・制度的整備が求められています。
さらに、全国医療情報プラットフォームの運用主体の明確化や、持続可能で効率的な運用設計も今後の検討課題とされています。
将来的な意義
国民の生涯にわたる医療・健診データを一元的に管理・活用できるようになり、個別最適化された診療や重複検査・投薬の回避が期待されます。
保健医療データの二次利用によって、創薬・治験・AI医療などの研究にも活用され、健康寿命の延伸や医療費の適正化にも貢献します。
参考
- 厚生労働省「全国医療情報プラットフォームの全体像」(2024年)
- 内閣府規制改革推進会議 医療WG(2023年2月13日)資料
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DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)
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