クリニック収益アップに不可欠なスタッフの巻き込み方―Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1エピソード46全文書き起こし

Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード46全文書き起こし

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第46回始まりました。大西さんよろしくお願いします。

(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何ですか?

今日のテーマ:クリニックの収益アップ

(高山)今日のテーマは、クリニックの収益アップです。

(大西)収益アップ。

(高山)まさに、開業医の先生方みんなが知りたい内容ですよね。これから開業を考えている先生も、知っておいて損はない情報だと思います。

クリニックの収益アップについてお話していきます。

収益アップに営業は必須?

(高山)収益を上げるというと、色々な項目が考えられますが、クリニックの場合、新しい収益源を増やすことに抵抗があったり、患者さんへの影響を懸念してなかなか踏み切れない先生も多いのではないでしょうか。

収益アップを目指すなら、営業活動が必要になってきますが、どうでしょう?

(高山)営業活動には抵抗を感じる先生も多いですし、具体的な方法もわからないという方もいらっしゃると思います。

営業研修の落とし穴

(大西)最近、「営業研修をしてほしい」という依頼が増えてきました。

(高山)そうなんですね。

(大西)ただ、多くの場合、「営業研修」という言葉ではなく、オブラートに包んだ表現で依頼されるんです。

医療業界特有の事情かもしれませんね。

ストレートに「営業研修」というと、スタッフは身構えてしまうようです。

ですから、私は研修の名称を変えています。

(高山)そんな名前でしょうか?

(大西)「物が売れる仕組み」というタイトルで、そもそも物がどのように売れるのか、そのメカニズムを解説しています。

物の売れる原理ですね。普段私たち人間は、無意識に営業やマーケティング活動を行っているんです。

例えば、自分が美味しいと思ったレストランを誰かに紹介するのも、一種の営業活動ですよね。

ただ、それでお金が発生するかどうかがポイントです。無償の紹介と、リターンが発生する紹介の違いですね。

抵抗感をなくすには?

(高山)なるほど、面白いですね。

(大西)売ることに抵抗がある人に、「売ろう」と意識させるのは難しい。そこで、ペルソナ設定が重要になります。

ターゲットとなるペルソナを設定し、そのペルソナに合わせた仕組みを作れば、自然と売れていくんです。

例えるなら、罠を仕掛けるようなものです。

(高山)「罠」というと少し語弊があるかもしれませんが…。

(大西)確かに少しネガティブな響きですね。

仕組みを構築することが重要なんです。

例えば、AGA治療薬。これは、薄毛に悩む男性向けの薬ですが、内科や皮膚科以外の診療科でも処方されているケースがあります。

専門外の診療科でなぜこの薬が処方されるのか、患者さんもスタッフも疑問に思うかもしれません。

(高山)「先生は儲けたいだけなのかな?」と勘違いされる可能性もあります。

(大西)そこで、内科、皮膚科、そして自由診療それぞれのメカニズムを整理し、患者さんに正しく説明することが大切です。

例えば、ストレスが原因で脱毛に悩む患者さんがいたとします。

精神科を受診するのはハードルが高いので、まずは内科に相談してみようと思うかもしれません。

脱毛の原因がストレスであり、その悩み自体もストレスになっていることを説明し、「治療を始めてみませんか?」と提案することで、患者さんは「相談してよかった」と感じ、治療に進む可能性が高まります。

しかし、受付スタッフは診察室でのやり取りを直接見ていないため、「なぜ内科で薄毛の相談をするのだろう?」と疑問に思うかもしれません。

問診と情報収集の重要性

(高山)受付では患者さんの悩みを把握しきれない場合もあるということですね。

(大西)診察の中で、医師は患者さんの話を聞いて初めて繋がりが見えてくるんです。

薬を飲むこと、病気になること、そして薄毛や肥満で悩むことさえも、すべてストレスに繋がります。

そして、そのストレスを最初に相談する窓口が内科医であることが多い。

だからこそ、内科でも自由診療を行うべきだと私は考えています。

国の制度としても、先進医療や混合診療は制限されていますが、保険適用外の診療は推奨されているんです。

医療費の増加を抑えるためですね。

(高山)OTC医薬品と同じ流れですね。

(大西)厚生労働省が認めていない薬を処方する場合は、医師の責任において行う必要があります。

痩身目的でGLP-1受容体作動薬を処方するケースもありますが、これは本来、BMI32以上の高度肥満症の患者さんに使用される薬です。

BMIがそれほど高くない患者さんに処方する場合は、自費診療となります。こういった薬剤の特性を理解している医師ほど、安易に処方することはありません。

(高山)なるほど。こういった情報は、スタッフにも共有されているのでしょうか?

(大西)もちろんです。ただ、医師が直接伝えるのは難しい部分もあるので、私が研修という形で伝えています。

ストーリーで納得感を

(高山)医師から伝えるのが難しい内容を整理して、ストーリー仕立てで説明することで、スタッフの腑に落ちるんですね。

(大西)まさにその通りです。ペルソナ設定ワークショップを行い、設定したペルソナへのアプローチ方法を検討します。

医師が提案するのか、受付スタッフが提案するのか、ポスターで告知するのか、チケットを発行するのかなど、様々な方法を話し合います。

(高山)自由診療を導入しても、告知だけでは売れない。仕組みづくりが重要ということですね。

(大西)売る気がないスタッフばかりでは、うまくいきませんからね。スタッフの協力が不可欠です。

(高山)どのように協力を得ればいいのでしょうか?

(大西)協力したくなる雰囲気づくりが重要です。

例えば、「この取り組みによって収益が向上し、スタッフの皆さんにも還元しました」と伝えることで、モチベーションアップに繋がります。

仕組みだけでなく、こういった配慮も大切です。

スタッフへの還元も忘れずに

(高山)内部的な仕組みづくりも重要ですね。

(大西)多くのスタッフは、「先生の収入が増えるだけでしょ」と考えてしまいがちです。

だからこそ、収益目標を達成したら、何パーセントかをスタッフに還元するといったルールを設けるのも良いかもしれません。

(高山)スタッフも一緒に頑張ろうという気持ちになりますね。

(大西)収益アップとスタッフの給与アップは、セットで考えるべきです。

(高山)モチベーションが大きく変わりますね。

(大西)残業が当たり前だった時代から、残業を削減する流れになり、給与が減少しているスタッフも多いはずです。

限られた時間の中で、どのように収益を上げていくか。

自費診療は、そのための重要な手段となります。

アップセル・クロスセルで収益アップ

(大西)アップセルやクロスセルも効果的です。

ある病気の患者さんには、関連する別の病気の治療も提案できますし、予防的な検査を勧めることもできます。

患者さんとの接点を増やすことで、様々な提案が可能になります。

風邪で来院した患者さんに、他の潜在的な病気の可能性や悩みについてまで考え、自費診療につなげることもできます。

(高山)医師の役割も、コンサルティング寄りになっていくということですね。

(大西)1人当たりの診察時間を長くすることで単価は上がりますが、待ち時間も長くなり、クレームに繋がる可能性も出てきます。

コンサルティングやカウンセリングの時間をどのように確保していくか、ジレンマですね。

(高山)患者さんの悩みをじっくり聞き、適切な提案をすることが重要ですが、必ずしも成果に繋がるわけではないという難しさもありますね。

(大西)もちろん、空振りもあります。

患者さんの様子を見ながら、バランスを取っていくことが大切です。そのためには、ある程度の経験が必要かもしれません。

事前準備で効率化

(大西)問診票などで事前に情報を集めてもらえると、スムーズな提案に繋がります。

(高山)なるほど。誰が担当するのでしょうか?

(大西)受付スタッフや看護師ですね。今日のテーマは、収益アップにはスタッフの協力が不可欠だということです。

(高山)スタッフが事前に情報を集め、医師に伝えることで、効率よく診察を進めることができるんですね。

(大西)内科では、栄養指導を行う管理栄養士も重要な役割を担います。

患者さんと20~30分かけて会話する機会があるので、その中で自費診療の提案をすることも可能です。

看護師であれば、採血中や問診時に患者さんのニーズを探ることができます。

受付スタッフの役割

(高山)受付スタッフにも自費診療の提案をしてもらうことは可能でしょうか?

(大西)もちろん可能です。

ただ、受付業務で忙しい場合は難しいかもしれません。2回目、3回目の来院時であれば、比較的余裕があるかもしれません。

例えば、AGA治療薬を処方された患者さんが、2回目、3回目と来院された際に、受付スタッフが「今日は薬の処方ですね」と声をかけるだけでも、診察がスムーズに進みます。

(高山)リピート率向上にも繋がりますね。

(大西)アップセルというよりも、アップセル後、クロスセル後の効率化ですね。

受付スタッフの対応は、リピート率にも大きく影響します。

同じクリニックに通い続ける理由の一つは、受付スタッフとの良好な関係性です。

「また来た」と思われたくないですからね。

(高山)確かに、大事にされていないと感じると、他のクリニックに変えようかなと考えてしまいます。

(大西)AGA治療薬やED治療薬を処方してもらう際に、「また来た」という顔をされたら、もう二度とそのクリニックには行きたくないですよね。

(高山)そう感じてしまう患者さんもいるかもしれません。

(大西)患者さんの立場に立って考えれば、当然の感情です。「冷たいな」「何でこの薬を飲んでいるんだろう」と思われたら、不快ですよね。

メカニズムの説明で納得感を

(大西)なぜこの薬が必要なのか、そのメカニズムを丁寧に説明することで、誤解を防ぐことができます。

「このような症状でお悩みの方のために、このような治療法があります」と伝えることで、患者さんも納得して治療を受けることができます。

チームワークで収益アップ

(高山)知らないと怖い話ですね。

(大西)内科、皮膚科、サプリメント、化粧品など、自由診療は様々な分野で導入されていますが、医師だけがその知識を持っていても意味がありません。

スタッフ全員が「私たちが提案する価値がある」と理解していなければ、収益アップは難しいでしょう。

(高山)重要なポイントですね。

(大西)高山さんが提唱する「4つの不」不信、不要、不要、不急。私は、この中で「不要」という点が最も重要だと考えています。

本当に必要な治療かどうか、患者さんと一緒に考えていく必要があります。「信頼」は医療機関にとって当たり前のこと。

その上で、「不信」「不要」「不要」「不急」といったハードルを越えていく。これは医師の役割です。

しかし、その前段階である情報収集や患者さんとのコミュニケーションは、スタッフが担うことができます。急いでいない患者さんを急がせる必要はありません。

患者さんが「もう少し後で良いかな」と思っている治療を、「今やった方が良い」と思わせるように導いていく。

そのために、事前のヒアリングが重要になります。

医師が適切なタイミングで提案できるように、スタッフが情報を整理し、準備しておく必要があるのです。

クリニックの未来はチームワークで決まる!

(高山)今回のテーマである収益アップについて、重要なポイントを整理していただきました。

今後、収益アップを目指す上で最も大切なことは何でしょうか?

(大西)チームワークです。

医師が考えていることをスタッフが理解し、共有する。医師だけが考えていても、それは机上の空論に過ぎません。

アウトプットして、スタッフに認識させることで、初めて成果に繋がります。

多くの医師は、「自分がやりたいから」という理由で治療を行っていますが、本当に大切なのは、患者さんのニーズに合わせることです。

そのことを、時間をかけてスタッフに説明する必要があります。

(高山)スタッフにもストーリーを共有し、なぜその治療が必要なのかを理解してもらう。

(大西)スタッフは患者さんに近い存在です。だからこそ、自分の家族に話せるように、わかりやすいストーリーで説明する必要があります。

(高山)患者さんにアレルギー反応を起こさせない話し方が重要ですね。

(大西)「自分の家族に提案できますか?」という問いかけは効果的です。

「うちのお父さんにも勧めてみようかな」と思えるような提案であれば、患者さんも受け入れやすいでしょう。

(高山)本日は、収益アップについてお話を伺いました。

先生方が収益アップを目指す上で、チームワークが重要であることを改めて認識しました。

スタッフを巻き込み、ストーリーを共有することで、患者さんに価値が伝わり、収益アップに繋がる仕組みづくりが大切ですね。

(大西)その通りです。

(高山)大西さん、今回もありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。

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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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