個性を生かし、団結して理念に向かうクリニック経営とは_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード55全文書き起こし

個性を生かし、団結して理念に向かうクリニック経営とは_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード55全文書き起こし

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第55回始まりました。大西さんよろしくお願いします。

(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?

今日のテーマ:「個性」~個性をどう生かすか~

(高山) 今日のテーマは、前回に引き続き「個性」です。個性をどう生かしていけばいいのか、その後半です。

どんな個性があるのか、類型化しながら詳しく見ていきたいと思います。よろしくお願いします。

(大西)お願いします。

個性の類型化とリーダーシップ

(高山) どんな個性があるのか?類型化できるんでしょうか?

(大西) 個性の類型化は難しいですね。
今回は、個性がぶつかった時にどう解決していくか、つまりリーダーシップの話に少しスライドさせて話したいと思います。

(高山) 個性を類型化するよりも、様々な個性を集めた院長として、どのようなリーダーシップを取っていけばいいのか、という話ですね。

(高山)そうですね。前回の話では、個性が違うとぶつかりやすいという話でした。

(高山) そうですね。

(大西)院長はリーダーとして、個性のぶつかり合いを収めなければなりません。

(高山) まとめ役ですね。

(大西)まとめ役です。そのためには、どのような人がいるのか、類型化してみるのも有効かもしれません。

(高山)どういうリーダーがいるのか、ということですか?

(大西) 経営学では様々なリーダーの類型化がされていますが、今回は私なりに考えたクリニックのリーダーの類型について話していきましょう。

リーダーシップの類型

(高山)リーダーシップ論ですね。

(大西) 個性をまとめるリーダーシップ論ですね。いくつか例を挙げます。

まず「ビジョン型」です。アップルの創業者のスティーブ・ジョブズのような、かっこいいリーダーです。

彼はビジョン型ですが、一方で強制型でもあったようです。

ビジョンを示し、「ついてこい」と引っ張っていくのがビジョン型ですが、ついてこない人がいると強制力が必要になります。

その反対が「民主型」です。皆の意見を尊重し、みんなで決めていくタイプです。会議好きの先生に多いですね。

ボトムアップでアイデアを出してもらい、その場で答えを出さず持ち帰って検討するような感じです。

極端な例として「仲良し型」は、何も決めません。「まあまあ、こんなもんでいいんじゃない?」というタイプです。

組織がふわっとしていて、それが心地良い場合もあるでしょう。サークル型とも言えます。

最近は「コーチング型」も注目されています。ビジョン型より少し弱めで、ヒントを与えながら、マイルストーンを置いて皆で拾っていくように導くタイプです。

関係重視型は、スタッフの性格や個性を考慮し、常に調整を図るタイプです。

民主型とは異なり、一人ひとりと対話して細かく調整していきます。

(高山)調整型、強制型、関係重視型、民主型、仲良し型と、様々なタイプが出てきましたね。

リーダーシップの類型も多いですね。

(大西)これに当てはめなければいけない、ということではなく、自分にどれが近いのかを考えることが大切です。

自分ではこう思っていても、外から見ると違うケースもあります。

色々なフローチャートがあるので、試してみると良いでしょう。

クリニックに合うリーダーシップとは

(高山)クリニックに合うリーダーシップ、合わないリーダーシップがあるのでしょうか?

理念を達成するために、達成しやすいリーダーシップのタイプはありますか?

(大西) ビジョン型はクリニックにはあまり向きません。

パートタイムや主婦が多いクリニックでは、「ついてこい」型のリーダーシップは響きにくいからです。

少人数のクリニックでは、一段階下のリーダーシップが良いでしょう。

(高山)一段階下というと?

(大西) コーチ型ですね。寄り添うことが重要です。

考える手助けをする、というイメージです。そこまで降りて来ないと、クリニック経営はうまくいかないでしょう。

(高山) そこまでしないといけないんですね。

(大西)クリニックには、国家資格を持つ看護師、医師、そして資格を持たない事務スタッフがいます。

学習意欲や使える時間も、知識レベルも違います。全員が院長と同じレベルではありません。

全員が同質の集団であればビジョン型でも良いですが、クリニックは違います。だからこそ、個性のぶつかり合いが起きるのです。

(高山) なるほど。ビジョン型、コーチ型が良いという話でしたが、強制型はどうでしょうか?「言うことを聞け」というイメージですが。

強制型リーダーシップの功罪

(大西)強制型はクリニックの先生にも多いです。手っ取り早く成果が出ますが、長期的にはあまり良くありません。

軍隊のように短期的に成果を出すには良いですが、そうでなければ逃亡者が出てしまいます。

(高山)離職が増え、定着率が低くなり、それでも回っていれば良いという考えで繰り返すと、負のループに陥ります。

これからのクリニック作りにおいては、ビジョン型、コーチ型に近いリーダーシップの方が良いのでしょうか?

(大西)ビジョン型とコーチ型は似ています。ビジョンを掲げ、寄り添うのがコーチ型です。今の時代に合っていると思います。

(高山) 今風というと、関係重視型、調整型、仲良し型、民主型などに近いのでしょうか?

(大西)多くの院長先生方がそう考えて取り入れていますが、うまくいかないことが多いようです。

うまくいくケースもあるでしょう。スタッフ一人ひとりがプロフェッショナルで、レベルが高い場合は自主性に任せるのも良いでしょう。

しかし、ありがちなのは医師と看護師だけ、あるいは事務スタッフもいるがプロ意識が低いというケースです。

美容外科などは、個性が強いスタッフが集まりやすいので、コーチ型やビジョン型は効果が薄い場合があります。

関係重視型が良いでしょう。

(高山)面白いですね。確かにイメージできます。

クリニックのリーダーシップと個性のマネジメント

(大西)美容クリニックの看護師は、高い専門性と技術力に裏打ちされた自信を持っていることが多いですね。

コーチング能力が高い人が美容系の看護師になっているケースも多いです。高収入という魅力も大きいでしょう。

医師も看護師の専門性を頼りにしていることが多く、施術の大半を任せているため、頭ごなしに指示するような雰囲気にはなりにくい。

一方、保険診療を行うクリニックでは、医師が全責任を負うというルールがあるので、指示系統はトップダウン型になります。

(高山)ルール上は美容クリニックも同じだと思いますが、実際には異なる雰囲気ですね。

(大西)そうですね。診療科によってもリーダーシップのあり方は違います。

皮膚科は美容寄りの診療科なので、医師と看護師が多く、美容クリニックに近い雰囲気です。

内科などはピラミッド型の組織で、医師、看護師、事務スタッフという構成です。

規模が大きくなると、検査技師やORTなど、国家資格を持つ職種も増えるので、関係重視型のリーダーシップが求められます。

(高山) 診療科目によって、組織構造や求められるリーダーシップが違うというのは興味深いですね。

リーダーシップは後天的に習得できる

(大西)自分の組織にはどんな人がいるのか、を考えることが重要です。

リーダーシップを発揮できるスタッフが複数いれば関係重視型、院長しかいなければコーチ型やビジョン型が良いでしょう。

リーダーシップは後天的に身につけることができます。

個性を大きく変えるのは難しいですが、リーダーシップはやり方なので、学ぶことができます。

個性のぶつかり合いをどう解決するかがリーダーシップの鍵です。

(高山)リーダーシップは方法論であり、状況に応じて適切な方法を「演じる」ことも必要なんですね。

(大西)その通りです。リーダーシップとは、個性のぶつかり合いを解決する方法です。

リーダーシップの類型と組織運営

(高山)個性は変えられない、性格も変えられない。

しかし、どのようなリーダーシップを発揮するかは、方法次第ということですね。

(大西)私は色々なリーダーシップを試しました。どれが良い悪いではなく、組織によって合う合わないがあります。

(高山)個性豊かなスタッフの中で、リーダーのタイプは、スタッフの個性を見ながら柔軟に変えていく必要があるということですね。

(大西)個性の集め方については、以前に話したように、自分と似た個性を集めるのが理想です。

しかし、どうしても異なる個性を持つ人がいる場合、ぶつかりが生じます。それをどう収めるかがリーダーシップです。

個性の違いを活かすリーダーシップ

(高山) 個性の違いをどうまとめていくか、が重要なのですね。

(大西) 個性のぶつかりを解決するには、共通点を探し、すり合わせていく関係重視型、民主型、仲良し型が良いでしょう。

あるいは、コーチ型のように寄り添いながら、自分の目指す方向へ導く方法もあります。

(高山) 院長は様々なリーダーシップの引き出しを持っておく必要があるということですね。

(大西)スタッフの年齢層も考慮する必要があります。年齢層によって、組織運営は変わってきます。

年齢層に合わせたリーダーシップ

(高山) 年齢層とリーダーシップにはどのような関係があるのでしょうか。

(大西) 年齢の幅が広い組織では、上下に配慮する必要があります。

年齢層が近い場合は、コーチング型のリーダーシップが有効です。

年齢層に関わらず、リーダーシップについて悩むのは当然のことです。

リーダーシップに悩む院長先生へ

(高山)院長はリーダーシップについて悩むものなのですね。

(大西)「これでいいのか?」と自問自答するのは当然です。正解はなく、状況に応じて柔軟に変えていくことが重要です。

色々なリーダーシップを試す中で、最適な方法を見つけていくしかありません。

(高山)状況に応じてリーダーシップを変えていく、ということですね。

(大西)リーダーシップがブレているのではなく、理念がブレていると、リーダーシップもブレているように見えてしまうのです。

強制型リーダーシップの使い分け

(高山)先月は親身になって話を聞いてくれたのに、今月は強制的な態度になった、などと感じられることもあるかもしれませんね。

(大西)状況によっては、強制型リーダーシップも必要です。

譲れない部分、例えば事故に繋がるような場合には、強制型を使うしかありません。

状況に応じて適切なリーダーシップを使い分けることが重要です。

(高山)リーダーシップの使い分け、取捨選択がうまくできる院長は、リーダーとして優秀ということですね。

優しさという究極のリーダーシップ

(大西)究極のリーダーシップは「優しさ」です。

(高山)「優しさ」とは、どういう意味でしょうか?

(大西)「優しさ」は「憂う」と書きます。親が子供を心配する気持ち、それが優しさです。つまり、思いやりです。

(高山) なるほど。

(大西)リーダーは常にスタッフを思いやり、心配する、それが理想的なリーダーシップです。型にはまらず、優しさを発揮することが大切です。

(高山) 優しくない人はどうすれば良いのでしょうか。

(大西) 優しい優しくないは個性ではなく、リーダーシップのスタイル、方法です。

優しくない人は、優しさの必要性を感じていないのかもしれません。

優しさを発揮するためには、優しさの必要性を感じることが重要です。

優しさは余裕から生まれる

(高山)優しさは必要ないと思っている人は、優しさを発揮できないということですね。

患者に優しくても、スタッフに厳しい人もいると思いますが。

(大西) それは未熟です。優しさは必要です。

余裕がないと優しさは出せないものです。

若い頃は、先輩にはなかなか勝てません。

部下でも年上だったり経験が豊富だったりするからです。強制型やビジョン型ではうまくいかないでしょう。

関係重視型や民主型で接していくしかありません。

年齢を重ねるにつれて、最終的には優しさに行き着くことに気づくでしょう。

寛容性と包容力

(高山) 優しさ、思いやり、そして寛容性、包み込むようなイメージですね。

個性の違う人を受け止め、認め、共に同じ目的を目指せるかが重要です。

個性のぶつかり合いで、それぞれが「自分は正しい」と思ってしまうとうまくいきません。

(大西) まったく同じ個性の人を集めるのは不可能です。

個性の違いを許容する寛容さが必要です。

(高山)似た個性の人を集めるのが理想ですが、どうしても違いは出てきます。

その違いを認め、「それもOK」と考えられるかどうかが重要です。

一緒に働く人も、受け入れてもらえている、排除されないという安心感を持つことができます。

美点凝視のすすめ

(大西) 最後に「美点凝視」について話します。

美しい点に注目する、という意味です。

人の悪いところにばかり注目していると、寛容さは生まれません。

「あの人はここがダメだ」ではなく、「あの人にはこんな良いところがある」と考えるようにしましょう。

リーダーになったら、美点凝視を心がけてください。

(高山)私も大変勉強になりました。

(大西)恐縮です。

(高山)今回は個性をテーマにお話しました。次回も様々なテーマでお話したいと思います。ありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。

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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
クリニックの運営や医療業務の改善に関する専門知識をもとに、医療機関の実務に役立つ情報を厳選してお届けしています。