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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。
(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第64回始まりました。大西さんよろしくお願いします。
(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?
今回のテーマ:何を学習するのか
(高山)今日のテーマは、先週に引き続き学習についてです。
学習する組織づくりの話をしてきましたが、では一体何を学習すればいいのかということを語り合っていきたいと思います。
(大西)よく学習する組織づくりのポイントの中で重要だと思うのが、今日お話しする「定着」です。
勉強を本当に成果に繋げるということが大事だと思うので、そのあたりのことをお話ししたいなと思っています。
(高山)本当に定着は皆さん課題だと思います。
全人類の課題なのではないかと思います。
(大西)そうですよね。
(高山)ということでこの後、何を学習するのか、どう学習するのかについて深掘っていきたいと思います。よろしくお願いします。
(大西)お願いします。
学習が続かない理由と、その解決策
(高山)学習する組織をさあ作ろうと決意したとします。
では次に、何を学習していけばいいのか、どうやればいいのか、誰がやればいいのか、ここでつまずいて、結局やらないことになりそうだなと思います。
やれるようになるコツ、分かればできるということも結構あると思うので、そのあたりを教えていただきたいのですが、まずは学習の原理原則についてです。
闇雲に学習していこう、学んでいこうと言っても、なかなか先ほどあったように定着しなかったり、「やって終わりで意味があるのか?」という話になってしまったりするので、その辺の学習の原理原則についてまず教えていただけますでしょうか。
(大西)私は専門学校でお話しするときにもよく言うのですが、勉強が嫌いな人の理由を確認しています。
よく確認するのは、「いつ勉強が嫌いになりましたか?」と聞くと、大体小学生の間に嫌いになっているんです。
(高山)私は中学校の数学の時間でダメになりました。
(大西)これが来ない子、つまり嫌いにならない子もいるんですよ。
要は、勉強が嫌いにならず好きになって、とことん追求できた人は、おそらく大学、大学院と進学し、ずっと勉強が好きなまま来ているということです。
では、嫌いになる理由は何かというと、「分からない」ということなんです。学習の原理原則はここにあります。
「分からない」を放置しないということです。
分からないことを放置すると、おそらくそこでつまづいて、次が全くインプットされなくなります。
だから、分からなかったら一旦戻ったり、人に聞いたりする。
まず最初の原則は、1人で勉強はできないということです。
みんなでするということが、すごく大事なキーワードかなと感じます。
(高山)なるほど。みんなでやった時に、自分だけ分からないという状況があるじゃないですか。
(大西)そうなんです。ただ、いいことに社会に出るとその辺は優しくなるんです。
「あの人は何で分からないんだろうね」というのは、子供の時だからそう起きるのであって、大人になるとある程度包容力があるので、ちゃんと待ってあげることができるんです。
できない組織もあります。
それはティーチングが強い組織です。
一方通行で教え続けると、「なんであいつは分からないんだ」となりますが、双方向性にするコーチングの中では、分かるヒントは言いますが教えません。
それに、ある時は私が先生、またある時は私が先生、というように先生が交代するので、当然このあたりは置いてけぼりが起きにくくなります。
学習定着率を高める「ラーニングピラミッド」
(高山)そのあたりの学習、つまり学ぶプロセスで定着したり、理解度が深まっていったりする、そういった過程について体系的に伝えられるものはありますか?
(大西)そうですね。アメリカの研究結果を見ていると、最近注目されているのは「ラーニングピラミッド」か、あるいは「ラーニング螺旋階段」のようなものです。
螺旋はスパイラルと言うのですが、「ラーニングスパイラル」という言い方をします。
ラーニングピラミッドの話からすると、アメリカのある研究機関が、「どうやったら人は学習が定着するのだろうか」ということを研究したそうです。
最近の研究結果によると、どうやら読書や講義、セミナーを受けるだけでは不十分で、それをずっと続けているうちに、アクティブラーニング、つまりグループで話し合ったり、自ら体験したり、他の人に教えたりしないと、劇的に学習効果が落ちることを発見したそうです。
これは、皆さんが「ラーニングピラミッド」で検索すると出てくると思いますが、一番大事なことは、1人でやるか、複数人でやるか、もっと言うと、自分で学んだことを教えることが一番成果が高いということにたどり着いたんです。
(高山)そうですよね。聞いているだけではなく、自分が人に説明しようと思うと、かなり自分の中で噛み砕いて咀嚼し、理解しておかないといけないので、すごく学習が進む感じは感覚的にあります。
(大西)そうですね。私も昔、こんなことを言われました。「セミナーは一番前で受けなさい。
受けた内容を明日誰かに説明しなさい。必ずセミナーでは質問しなさい」と。
恥ずかしいから質問したくないし、一番前で受けたくないし、受けたら受けるだけで精一杯、という自分が、言われた通りにやってみようと試してみたら学習効果が高かった、というのがその出会いです。
(高山)そのエッセンスが詰まってるのかもしれないんですけども、先ほどのラーニングピラミッド、もう少し詳しく教えていただけますか?
受動的な学習(講義・読書・視聴覚・デモンストレーション)
(大西)まず最初に、学校の授業と今回の授業を比較しながらお話ししたいのですが、学校の授業は「講義」にあたります。
50分間講義をして終わりなので、半年も経つと5%しか定着しておらず、大体全部忘れてしまうんです。
(高山)95%忘れてしまっているということですか。
(大西)そうです。内容のことです。下手したら0%です。
「右から左へ抜ける」と言うじゃないですか。ほとんどの人間は、半年もすれば右から左なんです。
次に「関連図書を読む」、つまり教科書を読むというプロセスがあります。
僕のように置きっぱなしにする人は、例えば読書をやっていないですよね。
ですので、教科書を読まなければなりません。
読むと、なんとか10%まで定着率が上がります。
90%は忘れてしまいますが、10%は残るんです。
(高山)講義を受けて聞き、読書で読む。言い換えれば復習するということですね。
(大西)同じ内容であれば復習ということです。
できれば予習復習をやっている子は頭が良くなるので、まずは講義を受ける前に読み、講義が終わってからまた読むというのがいいのではないでしょうか。
次に、学校の先生も教えてくれていると思いますが、「視聴覚」です。
複数の感覚を足すと効果が倍増するという理論から来ていますが、講義では板書を取るじゃないですか。
そうすると、聞く力と手の力、そして見る力が加わることで忘れにくくなります。
だから、板書を全然しない先生はあまり良くないですし、あるいは参加型にしていない先生の授業では、おそらく生徒は置いてけぼりにされます。
(高山)この視聴覚というと、オーディオとかビジュアルとか、今で言うと動画とか。
(大西)動画いいですね。
(高山)そういうのを見るとか聞くとか、あとは触るとか。
(大西)触るとか。
(高山)そういう体験ということですかね。
(大西)視聴覚という言葉を定義するならば動画、動画学習でいいんじゃないですか。
(高山)映画見たり、テレビ番組見たりとかってことですね。
(大西)そうです。その次に「デモンストレーション」、これは定着率30%と書いてありますが、少し分かりにくいかもしれませんが、「説明する」という意味です。
(高山)デモンストレーションというのは、講義を受ける側の物ではなくて、先生が演じて見せるということですね。
(大西)そういうことです。今日授業を始めますと言って、1つテーマを決めて、それに対して先生がプレゼンテーション、デモンストレーションをするわけです。
(高山)分かりました。確かに一方通行ですね。
(大西)一方通行です。まだ受け手のままです。講義よりは増しということです。
(高山)これで30%。
(大西)講義を受ける、本を読む、映画を見る、そして説明する。ここまでで結構なレベルで、30%まで来ました。ただ、これらは全部基本的に一方通行なんです。
能動的な学習(グループ討論・実践・他者への教授)
(大西)ここから定着率が跳ね上がって50%になるのが、「グループ討論(グループディスカッション)」です。
今日勉強したことに対して、例えば10分間で周りの人と話し合ってみましょう。これをすると、自分の言語に変わるんです。
要は、聞いた話を自分の言葉に変えて相手に伝えないと伝わらないので、分からないことに気づけるんです。
この意味が分からなかったんだ、とか。
あといろんな人の意見を聞くうちに、記憶の定着が上がるみたいなんですよね。
例えば「ラジオ学習について話し合いましょう」と言うと、ラジオを聞いて何を勉強するのかを話し合うわけです。
「こんなことやってるよ」「僕はこんなことやってる」「ああ、勉強の時ってオールナイトニッポン聞いてたよね」と、ちょっと古い話ですけど、意外にあれは集中しちゃうんだよね、みたいな話をすると、「そうそうそう」となる。
これが記憶の定着に有効で、50%です。
じゃあ実際に自らやってみる、ということで、セミナーや講義を受けて実際に活動する。
(高山)はい。
(大西)例えば細かい話で言うと、僕が今度クリニックの戦略脳の話を講義しなきゃいけないのですが、その中にSWOT分析というのがあるんです。
SWOT、強み・弱み・機会・脅威ですね。これを、聞いて「ふんふん」とやった人と、聞いて実際に自分のクリニックでSWOTを組んでみた人。
確実に組んだ人は75%まで理解が広がるそうです。定着ですね。
(高山)定着ですね。
(大西)ツールを使ってみるというのが大事。これは自ら体験するということです。
例えば、お米の炊き方をビデオで見ても、実際に炊いてみなければ分からないですよね。
最後は「他の人に教える」。
これが90%だそうです。そうすると、「講義を受ける」側から「人に教える」側になるということをうまく使えば、今日は受ける側、明日は教える側、ということを交互に繰り返すのがいいのではないか、というのがラーニングピラミッドの考え方です。
(高山)なるほど。このラーニングピラミッドの最後の3つ、グループ討論、それから自ら行う、他の人に教える。
この3つを、いわゆるアクティブラーニングと言われているわけですね。
(大西)そうですね。
(高山)まずは受動的だけども、講義を受ける、本を読む、ビデオなどの視聴覚に訴えるものでビジョンで見る、それから先生や講師のデモンストレーションを聞くとか見るとか。
ここまでで終わってしまうと定着率は30%で、7割方は忘れられてしまうということですね。
ここから先のアクティブラーニング、さっきのグループ討論と、体験と、自らやることと、あと他の人に教えるということで90%まで定着率を上げることができると。
(大西)そうですね。大事なことですよね。
(高山)このラーニングピラミッドを使うと、かなり戦略的な学習ができそうだなと感じたんですけども、実際クリニックでやる場合に、誰がどういう風に、何の内容でやっていくべきなのか、みたいな話をですね、続きでやっていきたいと思いますので、続きはちょっと次回に回したいと思います。
(大西)ありがとうございました。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。
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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。
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DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)
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