医療法人化でメリットを得られるクリニックとは / 税理士法人青木会計 新矢健治


税理士法人青木会計 新矢健治 様に医療法人化でメリットを得られるクリニックについてお話をお伺いしました。
新矢様には、現在公開中の診療所マネジメントEXPOでもご講演いただいています。

診療所マネジメントEXPO講演内容をお聞かせください

講演タイトル『医療法人の上手な活用』
クリニックを医療法人化することで多くのメリットが得られるケースはありますが、当然のことながらどんな場合でも医療法人化によって問題が解決される、というわけではありません。

メリット・デメリットをしっかりと検証できるような内容をお話ししておりますので、個人クリニックの先生におかれては、医療法人化するか否かの判断材料として活用していただければ幸いです。
また、既に医療法人化されていても、定期的なメンテナンスがされていないと十分なメリットが得られていない可能性もあります。検証項目についてもお話しておりますので、参考になれば幸いです。


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医療経営をサポートするために現在まで取り組んできたことを教えてください

健全な価値観を持って、真の利益となるようなサポートに注力
クライアントにとって、真の利益になるような提案・サポートをしていくという点を強く意識してきました。

例えば「税金を抑えたい」というご意向がある場合、仮に収入を除外するといった方法はいわゆる脱税であり、お勧めできません。目先の税金は確かに安くなるかもしれませんが、後々税務調査が入った際に、追徴課税などの重いペナルティが課せられるリスクがあります。
もしそうなってしまった場合は、クライアントにとって真の利益とはいえません。
こういったご要望に対して、我々のノウハウを生かしながらも、健全な価値観を持って対応していくことを大切にしてきました。

クリニックからの相談ではどのような内容が多いでしょうか

税金・決算対策から設備投資のご相談まで幅広く対応しています
ご相談の種類はかなり多岐に渡りますが、基本は、税金の計算や決算対策などの税務に関する内容です。

付随するものとして、新規開業の際のご相談も多いです。
具体的には、税務のほか、事業計画の策定、設備投資額の目安、金融機関のご紹介、資金調達額や金額・期間等融資の提案などをさせていただいています。
また、新しい医療機器を導入する場合の設備投資に関して、現金で買うべきか、リースを組むべきか、銀行から融資を受けて購入すべきかなどの相談をいただくことも多いです。

税務会計の分野から少し外れた内容ですと、人事労務に関する相談も特にクリニックの先生からは多く頂戴します。
専門的な内容であれば提携している社労士事務所をご紹介することになりますが、スタッフを採用するにあたってどういった方がいいのか、給与水準をどうするか、昇給をどうするか、有給休暇の取り扱いをどうするか等も一般的な内容であれば当方にて対応可能です。
中には、プライベートの住宅購入に関するご相談をいただくこともあります。

医療法人化するクリニックは増えていますか?

課税所得金額が1,800万円を超えると、法人化メリットが大きくなる
医療法人化を検討されるクリニックはすごく増えていると感じます。
目的として最も多いのは税負担の軽減です。
個人で開業されていて、利益が増加するにつれて税負担がだんだん重くなってきている状況を何とかしたいというご相談が一番多いですね。

次いで多いのが事業承継、特に親族内承継です。
お子さんが医師になられていて、次の世代が引き継ぐことになりそうな場合への備えはどうするべきかというご相談が多いです。

その他では、組織化や分院展開を進めるために医療法人化したいというご相談も多くあります。

法人化を検討するべきタイミングは開業後何年が経過したということよりも、利益金額が重要な判断基準となります。
開業後すぐに大きな利益が出るところもあれば、5〜10年かかることもあり、時期は様々です。

一つの目安としては、個人の課税所得金額が1,800万円を超えますと、所得税・住民税負担が5割を超えることになります。
その水準になると法人化したメリットが十分に期待できる状況になりますので、細かな部分をシミュレーションしながら、医療法人化を提案させていただいています。
ただ、医療法人化すれば全ての問題を解決するのかというとそうではないので、メリット・デメリットを総合的に勘案しつつ、判断する必要があります。医療法人化のご依頼をいただくケースの中でも、デメリットの方が大きいと予想される場合には、私たちから反対させていただくこともあります。

自院にあった税理士を選ぶポイントを教えてください

税理士に求めるものを明確に提示することが重要
税金計算だけを任せたいのか、税務対策・相談・質問への対応も求めるのか、
税金以外にも医療関連の知識も持っていてほしいという考えをお持ちなのか等、税理士事務所に求めるものを、ある程度明確にお持ちいただいた方がいいでしょう。
その上で、既にされている方も多いかと思いますが、同じ質問を複数の税理士事務所に投げかけてみて、どのような対応・回答が返ってくるかを判断材料の一つとしてみても良いと思います。

プロフィール


税理士法人青木会計
医療福祉部門統括
新矢 健治 氏

税理士法人青木会計にて医療福祉部門を統括しています。
医療分野の税務・会計支援に携わって約23年経過しました。
現在注力している業務としては、通常の税務顧問の仕事に加え、最近では親族内承継や第三者承継などの事業承継のお手伝いや、認定医療法人という制度を用いた持分ありから持分なしへ移行する際のサポートも多く行っています。
また、医療法人の設立・合併・定款変更・解散といった手続きの行政対応のサポート、クリニックの新規開業の相談なども承っており、かなり幅広い業務を行っています。
病院やクリニックの先生の良き相談相手として、医療経営をサポートしていくというビジョンをもって日々の業務に当たっています。