スタッフに不満はあるが、離職を考えるとやたらと気を遣ってしまいます
この連載では、組織を成長させるマネジメント方法のベストプラクティスとして2000社以上が導入し、クリニックにも多数導入されている「識学」を解説していきます。識学の視点で「上司」と「部下」の人間関係に悩む全ての院長に対処法や予防法をお伝えします。
今回のテーマは、スタッフの離職を恐れてしまうがあまり、院長がやたらと気を遣ってしまう問題を取り上げます。
プロフィール>
株式会社識学 識学講師
早川拓幹
https://corp.shikigaku.jp
株式会社識学にて組織マネジメントのコンサルティングに従事。日々、経営者に組織マネジメントの原理原則を伝え、実践を支援。
前職では、営業部長として寄り添い型のマネジメントを実践するも、組織の成長や部下の成長という観点で疑問を抱き、苦しんだ経験から日々経営者に識学の重要性を伝えている。
法政大学社会学部卒業。
相談内容:スタッフに不満はあるが、離職を考えるとやたらと気を遣ってしまいます
そもそも離職は悪いことなのか?
「スタッフの離職」と聞くとかなりネガティブなイメージを抱く院長も多いと思います。
確かに長年創業時から一緒に働いてきた仲間が離職してしまったら、大きな痛手と感じるでしょう。しかし、組織の輪を乱していた人が辞めるとなったら「正直よかった」と思うこともあるのではないでしょうか。
ということは、離職は人が辞めるということが問題なわけではなく、組織全体のパフォーマンスが下がる、戦力が下がるということが問題ということになります。
そんなことはわかっていても、「離職したい」と言ってきたら、「新たな人を採用する費用もかかるし、面接する時間も作らなければいけないし」などと手間やコストの考えると、極力スタッフが離職しないようにと気を遣ってしまう、という院長も多いと思います。
「離職したい」とスタッフから言われないように、「どんな環境だと働きやすい?」「早く帰れるような環境にしようか?」などと過剰にスタッフの個別要望を聞いてしまう。
そんなことをすると組織にとって大きな弊害が出てきてしまいます。
離職を恐れるがあまり起こる弊害
個別調整が続き、組織のルールが破綻
離職を恐れて個別調整を続けると何か要望すれば何でも聞いてもらえるとスタッフが勘違いを起こしてしまい、どんどん要求がエスカレートしていきます。
そうならないために必要なことは、組織のルールを明確にして、そこに合わせるのが当たり前の状態を作っていくことです。
そして、離職の中にも組織にとって気にしなくて良い離職と、発生させてはいけない離職を理解しておくことで過剰に気を遣わずに組織運営できるようになってください。
気にしなくていい離職
組織のルールを守れない人の離職
組織のルールを守ることが組織の構成員として求められる最低限の役割です。
それが守れない人の離職は致し方ありません。
ましてや院長という立場で組織の方向性を決め、それを体現するような誰でもできるようなルール、例えば、あいさつ、身だしなみ、時間を守るなど、能力不要のルールを守れない人であれば、この先組織にいても戦力にはなりえないでしょう。これらのルールを守っていない人は、わざと守っていないだけなので、組織にいたくない気持ちが表れている状態となります。
このような人の離職は気にする必要はありません。
発生させてはいけない離職
ルールを守り、役割を全うしている人の離職
逆に、ルールをしっかり守り、自分に課せられた役割もしっかり全うする人の離職。
これは、組織の成長スピードが鈍化していて、個人の成長の方が早く、「この組織にいても成長できないな」と思われた証拠です。この状況を放っておけば、どんどん優秀な人は辞めていき、組織は弱体化していくでしょう。
このような離職を防ぐために、院長ができることは何でしょうか?
解決策
経営者の仕事は、現場で仕事をすることではなく、組織の成長にとって必要なことが何なのかを考え、実行すること
クリニックの院長は、医師ではありますが、もう一つ重要な役割があります。
それは経営者でもあるということです。
つまり現場の仕事だけが院長の仕事ではありません。スタッフとは違う大きな責任があります。
組織全体の将来を見なければいけない責任が院長にはあります。
組織を常に成長させ続けることが求められます。なぜなら、それ以外で従業員を繋ぎとめることは限界があるからです。
ですので、スタッフ個人の成長スピードよりも速く組織を成長させ、スタッフにこの場所にいれば新たな経験ができて、自分が成長できる場所だと思わせることが重要です。
「そんなこと言ったって、うちのスタッフはそんなに成長意欲がある人ばかりじゃないよ。」そう思う院長もいらっしゃるでしょう。
人は成長意欲がなくても、成長を実感できれば勝手に成長意欲が出てきます。
ですので、院長として大事なことはとにかく全スタッフに成長を実感できる仕組みを組織の中で用意することです。
それをどのように構築すればいいのか?と疑問に思われた方はぜひ「DOC TOKYOを見た」とご相談ください。