ブレインヘルスケアの「Splink」、脳画像解析プログラム BRAINEER® Model Aが薬事認可を取得

ブレインヘルスケア領域の医療AIスタートアップの株式会社Splink(本社:東京都千代田区、代表取締役:青山 裕紀、以下「Splink」)が開発する「脳画像解析プログラムBRAINEER® Model A」(以下、「BRAINEER® Model A」)が、認知症診断で注目を集めているアミロイドPET画像の視覚読影を支援するプログラムとして薬事認可を取得した。(認証番号 304ADBZX00025000)
「BRAINEER® Model A」は、東京都健康長寿医療センター研究所との共同研究を通じて開発された、アミロイドPET画像の視覚読影支援ツールとして、アミロイドβ(以下、Aβ)集積の画像診断をサポートする医療機器プログラムで、アルツハイマー型認知症の原因物質の一つであるAβを画像診断により陽性・陰性として読影専門医が判定する際の見落とし防止に使われることが期待される。
なお、Splink は昨年に引き続き2年連続で自社開発プログラムにおいて薬事認可を取得している。

認知症診断の重要性の高まり

世界的な高齢化の進行に伴い、わが国では認知症患者数に対して認知症専門医の数は少なく、医師のリソース不足解消・医療負荷軽減は今後の大きな取組み課題と言える。
認知症の原因疾患は多彩であり長い経過の中で症状も変化することから、その診断は困難である。そのため、医師の経験や主観が診断に占める割合は高く、正確な診断は高度な専門性が求められる。アミロイドPET検査(※)は、アルツハイマー病を起因とする認知症の判定に使うことのできる診断技術。特にMCI(軽度認知障害)のような早期例は臨床診断が難しいため、今後診療での活用が期待される。しかし、陽性・陰性の診断においては読影専門医でも見落としのリスクがあり、2〜3割程度は判断に迷う症例と言われている。
このような背景の中、高齢化社会における認知症医療システムの構築は急務であり、認知症診断の重要性は高まっている。

※脳に蓄積されたアミロイドβを特殊なカメラでとらえて画像化し、診断する検査

認知症診断で注目を集めるアミロイドPETの視覚読影支援プログラム

医師の経験や知識のばらつきによって脳疾患が見逃されることを防ぐためには、脳の客観バイオマーカーを定量化し、再現性をもたせることがその大前提にあると考えられる。

「脳画像解析プログラムBRAINEER® Model A」は、アミロイドPET画像上で確認されるAβの集積度合いに着目し、視覚読影を支援する医療機器プログラム。アミロイドPET画像を診断薬ごとにSUVr(Standard Uptake Value Ratio:標準取込値比)と呼ばれる指標で定量し、更にセンチロイド法(※)と呼ばれる診断薬によらない標準化指標を推定することでアミロイド病理を定量的に評価する。それにより、数値的に評価することで診断に役立つ情報を提供し、診断の支援をおこなうことが可能となる。

この度、薬事認可を取得した「脳画像解析プログラム BRAINEER® Model A」は、アミロイドPET読影専門医を対象にしたアミロイドPET画像解析プログラムである。特に、MCI(軽度認知障害)に見られる(2〜3割程度)Aβ陽性と陰性の判断が難しい症例における見逃しを防ぐために使われることが期待される。

なお、Splinkは、高齢者医療の分野で最高峰の医療を提供する、東京都健康長寿医療センター研究所との共同研究契約を締結しており、この度、薬事認可を取得した「脳画像解析プログラム BRAINEER® Model A」は、同センター研究所 神経画像研究チーム 研究部長 石井賢二先生との共同研究の成果を用いて開発されたものである。

今後Splinkは、医師の適切な認知症診断インフラの一助となることを目指す。これまで医師にとっては診断に悩んだケース、患者にとっては病気の見落としが起きてしまったケースなどがなくなり、質の良い医療が平等に提供され、100歳まで自分らしく人とのつながりの中で生きられる社会の構築に貢献していく。

※異なるアミロイドPET検査用プローブで測定されたPET SUVrを統合解析するための標準化スケール

本件に関するお問い合わせ先

株式会社Splink
所在地: 東京都千代田区霞が関3丁目3−2 新霞が関ビル18階
URL:  https://www.splinkns.com/