事業継承と多店舗化を進めるためのポイントとはークリニック経営の観点から

ヘルスケア特化型のM&A、開業、運営の支援を行っている株式会社G.C FACTORY。
医療機関M&A専門のスタッフが税務・法律等のアドバイザーとチームを組み、マッチングからM&A後の開業支援まで一気通貫の支援体制を整えています。
コロナ禍の今、事業継承や多店舗化を探る中で何が起きているのか、株式会社G.C FACTORYの代表取締役 金子 隆一氏にお話を伺いました。

<プロフィール>

株式会社G.C FACTORY
代表取締役
金子 隆一
https://ma.gcf.co.jp

株式会社メディヴァ、株式会社メディカルノート(コンサルティング事業部 事業責任者)を経て、2020年に株式会社G.C FACTORYを創業。医療機関M&A、開業支援、運営支援(事務長業務)、大型医療法人におけるバックオフィス業務の設計及び実行責任者、上場企業や金融機関のM&A顧問業務、M&Aセミナーでの講師、記事執筆などに従事。
立教大学経済学部卒業。

医療機関専門のM&A支援で後継者問題を解決

―まずは現在までに、主にどのような案件に取り組んで来られたのかお聞かせください。

弊社は医療機関を専門に幅広くサポートさせていただいていますが、主な案件としては、後継者不在のクリニックを譲渡したいという売り手様と、新規開業希望や分院展開したいという買い手様のマッチングのお手伝いというところになります。
弊社は3,500件以上のヘルスケア領域の企業との連携をしており、これらの連携先に毎月譲渡案件情報を配信することでスムーズなマッチングサービスを提供しています。

「事業継承と多店舗化」の課題は「管理医師」にある

―開業医にとって「事業継承と多店舗化」について、クリニック経営の観点からどのような課題があると見ていらっしゃいますか?

「事業継承」と「多店舗化」、どちらについてもお客様の抱えていらっしゃる課題として多く見られるのが「管理医師」です。つまり分院の院長となる適任者を見つけられるか、ということですね。
多店舗化の意向をお持ちの先生も多いのですが、この良い分院長の確保にハードルが高く、実現できている先生は2、3割ではないかと思います。

分院展開の前にまずは本院の拡大が重要

―「管理医師」の課題解決の糸口はどこにあるのでしょうか?

分院展開のケースで言うと、分院展開するよりも前に、まずは本院を着実に拡大させることに注力すべきと考えています。
本院の拡大というのは、例えば休診日をなくしたり、診療時間を延ばしたり、あるいは二診制・三診制を敷くことで、本院に複数の先生がいる体制になれば、万一分院の院長が急に辞めてしまっても休診に追い込まれることはなく、次の管理医師が見つかるまでの間、本院の先生が対応することも可能になります。
また、仮に分院の経営が赤字となった場合も、本院の拡大により医療法人全体として黒字で安定していれば致命的な問題にはなりません。
更には、本院が経営でうまくいっていない中で分院だけが軌道に乗ると本院の理事長が分院長をコントロールしにくくなる、というケースもあります。分院から見て本院が経営上リスペクトされるくらい拡大していれば分院をコントロールしやすくなりますね。
このような理由から、「管理医師」の課題解決のひとつのポイントは本院の拡大にあると見ています。

新規開業よりもM&A案件に流れている

―ドクターや患者さんの変化という点では、最近の傾向はいかがですか?

事業継承の事業は新型コロナウイルスの流行前と後で大きな差は感じません。
あくまでも弊社の実績となりますが、2020年4月を基準に、その前後でお問合せ数、取扱案件数、ホームページ閲覧数などを比較しても特に変化はないですね。
一方で、継承ではなく「新規開業」のお問合せ数は半数近くに減っていることから、コロナ禍も含めた昨今の社会環境から見て、新規開業よりも投資予算を抑えられる可能性のあるM&A案件のほうが好まれる傾向にあると捉えています。
また、M&A案件のほうが、継承前のクリニックの経営状況を確認できるという点もメリットと感じられているのではないでしょうか。

コロナ禍で患者さんが来院を控えることが増え、クリニック経営の厳しい現状がメディアなどで取り上げられています。
診療科目により集客状況が異なるなど、さまざまな情報が飛び交っていますが、実際に私どもの約100件ある顧問先の実績を見ると診療科目も一つの要素ではありますが、結局はいかに上手く需給バランスを取って経営できているか、ということによると思います。

経営者としての悩みや課題もご相談を

―最後に、コロナ禍で地域医療を支えるクリニックの先生へ応援のメッセージをお願いします。

私どもとしては地域医療を支えるクリニックの先生へ、日々利用させていただいている利用者として、まずは深く感謝申し上げたいと思います。
また、医療法人の理事長様やクリニックの院長様は、医師でいらっしゃると同時に経営者という立場で、その点では私も同じ立場です。
私自身も2020年4月1日にこの会社を設立し、その7日後に緊急事態宣言が発令されるという中で、不安や悩みを抱えながら何とかここまでやってまいりました。
同じ経営者の立場としての悩みや課題なども共有できればと思っていますので、ぜひお気軽にご相談いただきたいと思っています。

CPAカンファレンス2021 登壇決定

コロナ禍で迫りくる事業承継と多店舗化のトレンド
【株式会社ドクター総合支援センター 近藤隆二氏との対談セッション】

金子様には上記テーマにて2021年5月21日(金)より開催のCPAカンファレンス2021にご登壇いただきます。
ぜひご参加ください。

受講登録はこちら
https://doctokyo.jp/cpa2021