梅華会は、兵庫県と東京都に計7院を展開しています。今回は、マネージャーを務める角 映里奈氏に、組織でクリニック運営をするためのポイントについてお話を伺いました。
角様には、現在公開中の診療所マネジメントEXPOにご登壇いただきます。
診療所マネジメントEXPO講演内容をお聞かせください
講演タイトル『12年、院長とスタッフの橋渡しをしてきたマネージャーが伝えるスタッフマネジメント3つの重要ポイント』
講演では、院長先生とスタッフの橋渡しを行ってきた経験から、スタッフマネジメントのポイントについてお話します。スタッフマネジメントで重要なのが、「目的ゴールの共有」「プロセスの承認」「フィードバックの環境と伝え方」の3つです。
特に、最後の伝え方に関しては、先生が1人で頑張りすぎて、スタッフとの距離がある方も少なくありません。また、院長先生の言葉遣いや立ち居振る舞いで、ご自分でも気づかないうちに、スタッフを傷つけていることがあります。
スタッフとの溝を埋めたい先生や、相手に響く伝え方を知りたい先生に聞いていていただければと思います。
私自身も12年間、理事長と共に仕事をしてきたので、経営者の考え方が把握できるようになりました。先生だけがクリニック運営を頑張るのではなく、スタッフも一緒にチームで組織作りをしていくためのサポートができれば幸いです。
医療事務からリーダ―への就任に戸惑いはありましたか?
チャレンジできる環境が背中を後押し
最初は積極的にリーダーを務めたいという気持ちはありませんでした。私自身、表に出て物事を進めるタイプではなく、陰ながらリーダーを支えるタイプであるためです。
ただ、周りからの勧めもあり、負けず嫌いの性格も影響して、「自院で初のリーダーをやってみよう」という気持ちで始めました。
特に、当法人は自分がやりたいことにチャレンジできる環境です。理事長もスタッフがまずはトライすることを重視しており、リーダーとしてのやりがいや成長にもつながっています。
長く続けられた秘訣は医療理念への共感
自分でもここまで長く働けるとは思っていませんでした。12年も続けられてきたのは、理事長の梅岡が掲げた医療理念に共感したことです。
どの職場にも言えることですが、社員が組織の方針に共感していないと、どこかで違うと感じて離職することになります。
当法人の医療理念は、社会貢献・感謝・笑顔・礼儀・自己研鑽といった内容ですが、人として大事にすべき内容が挙げられていると感じることが、ここまで働き続けられた理由になっています。
組織でクリニック運営するのに大切なことは何でしょうか?
院長先生ではなくクリニックの方針を軸にする
私が自院に医療理念に共感して働いているように、クリニックがどこを目指しているか明確にした上で組織運営をする必要があると思います。
クリニックでよく起こりやすいのは、院長先生が方針の軸になることです。先生にもよりますが、ワンマンタイプの方だと、先生の意見が絶対的になるので、スタッフの意見や考えが通りづらくなります。
こういった状況は、院長先生だけでなく、在職歴の長いスタッフでも起こりえます。特定の人の意見ばかりが強くなると、その人ありきの組織の運営に陥りがちです。
例えば、1つのテーマで話し合っているときも、誰による発言かどうかではなく、クリニックの方針に合っているかどうかを、皆で決められます。意見の強い立場の人ではなく、クリニックの方針を軸にすれば、スタッフ全員で話し合いができるようになり、組織として飛躍できるはずです。
角さんの今後の展望や理想の医療を教えてください
お互いに理解し合い、チームでクリニック運営を
院長先生とスタッフが一方通行ではなく、双方向でコミュニケ―ションを取れることが理想です。お互いに理解し合えば、先生だけが一人で奮闘しなくても、スタッフを巻き込みながらクリニックを運営できます。
当法人は、チームでクリニック運営をしていますが、このようなクリニックが日本全国にも広がっていければと思います。院長先生ではなくクリニックの方針を軸にすることで、皆が一丸となり目標達成していけると思います。
そのためにも、内外問わず私が橋渡し役となり、院長先生とスタッフをつないでいく活動も続けていきたいと考えています。
プロフィール
医療法人社団梅華会
マネージャー 角 映里奈氏
医療法人社団梅華会のマネージャーとして、兵庫県内の6院を中心にクリニック運営を担当しています。私は新卒で医療事務として入職し、2023年で12年目を迎えました。
入職当時は2院目の開院準備をしている時期で、スタッフ数が20名ほどの小さなクリニックでしたが、分院数が増える中でリーダー制度が導入されました。3年半のリーダー経験を経て、現在はクリニック6院を統括するマネージャーとして従事しています。
現在の業務は、当法人の組織運営に必要な仕組みづくりや、各分院のリーダー育成です。最近では、外部から依頼を受けることもあり、講演やクリニックのスタッフ向けの研修会の実施、コラム連載も行っています。
クリニック運営については、歯科に続いて医科の先生も学ぶ意欲が高まってきていると感じていますが、院長の学びを理解して一緒に取り組もうとするスタッフはまだまだ少ない印象です。私が架け橋になれれば幸いです。