はじめに
近年、訪日外国人患者数の増加に伴い、医療現場における多言語診療のニーズが急増しています。
しかし、言語の壁は医師と患者のコミュニケーションを阻害し、誤診や医療事故のリスクを高める可能性もはらんでいます。
そんな課題を解決する救世主として注目を集めているのが、医療翻訳サービス「メディフォン」です。
今回は、メディフォンの友久甲子氏を迎え、サービスの内容から導入のメリット、医療提供体制や患者、開業医への影響、そして社会的意義まで、幅広くインタビューしていきます。
※掲載当時のインタビューに基づきます。
メディフォンは多言語診療を支える革新的なサービス
友久さん、本日はお時間をいただきありがとうございます。
早速ですが、メディフォンについて簡単に教えていただけますでしょうか?
はい、もちろんです。
メディフォンは、音声や映像での医療通訳・A I翻訳の3つの方法で、24時間365日、最大107言語に対応した医療通訳サービスです。
医師と患者間のコミュニケーションを円滑化し、質の高い医療を目指したサポートツールです。
107言語ですか! 非常に多くの言語に対応していますね。
はい。医療現場で特にニーズの高い言語はもちろん、マイナーな言語にも対応しておりますので、多くの外国人患者さんに安心いただけるサービスとなっています。
訪日外国人が増加していますが、それに伴って、多言語対応の必要性を感じるクリニックも増えているのですか?
そうですね。コロナ後のインバウンド急回復に伴い、医療機関における外国人患者の数は増加傾向にあります。 特に、東京の品川、新宿、港区といったホテル密集地や、北海道、京都、大阪、沖縄などの観光地では、多くの外国人旅行者が医療機関を受診する行動が見られます。
さらに、地方都市でも外国人観光客は増加しており、予想外の場所で医療ニーズが発生するケースも少なくありません。
訪日客が観光中に体調を崩した場合、特に夜間救急の受診が多い傾向がみられます。日中は観光で体力を消耗し、夜になって症状が悪化するケースが多いためと考えられます。
また、自宅に持病の薬を置いてきてしまったために受診するなどです。
別のケースとしては、わざわざ日本の医療を体験したいといったアジア圏からの観光客も増加しています。健康診断や人間ドック、美容系の処置などを受けるために日本の医療機関に訪れるケースも増えています。
急病の観光客の場合は、日本語が全く話せないのはもちろん、突然の受診となるため日本語話せる人が付き添ってくれるケースも少なく、通訳などのサポートがなければ医療機関での対応は困難を極めます。
それから、外国人居住者の増加も、医療現場に変化をもたらしています。
都市部ではIT企業のエンジニアや研究者など、比較的日本語や英語を話せる住民が多い一方で、地方を中心に技能実習生や特定技能外国人など、日本語も英語もコミュニケーションが難しい住民が増加しています。外国人の居住者は、仕事や日常生活の日本語がある程度話せても、臓器の名前など医療に関する日本語がわからない場合が多く、医療機関を探すのも、漢字で検索するのはハードルが高いと感じています。
また、会話に比べて読み書きを苦手とされており、ウェブサイトなどを見てもどんな診療科があるのかなどわからない、院内で渡される資料が読めない、というケースも少なくありません。
クリニックの予約を電話で行う際に、コミュニケーションがうまくいかないケースも多く見られます。
クリニックの診療現場ではどのような課題があるのでしょうか。
外国人患者とのコミュニケーションについて言えば、大きく3つの課題あります。
一つめは、医療用語の壁です。臓器の名前や病気の症状など、医療用語は日常生活では使わないため、外国人患者にとって理解が困難です。
二つめは、医療機関についての情報収集です。日本語での検索や電話予約はハードルが高く、適切な医療機関を見つけにくくなっています。
そして、三つめは、文化・習慣の違いに関するものです。症状や治療方針に関する認識の違いにより、言葉が通じていても意図が伝わらないケースも多く、文化や習慣などの背景を理解した上でのコミュニケーションが必須になっています。
これらの課題は、誤診や医療事故のリスクを高めるだけでなく、診療時間の増加や医師・スタッフの負担増加にもつながりますので、各クリニックでも対応が迫られている状況です。
診療の質と患者満足度の向上だけでなく、職員も安心できる職場に
なるほど、そういた課題があるのですね。
具体的に、メディフォンを導入するとクリニックにとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
はい。医療情報の正確な伝達による、誤診・医療事故のリスク低減、患者との信頼関係構築による患者満足度の向上、診療時間の短縮による業務効率化のメリットがあると考えています。
沢山ありますね。誤診や医療事故のリスク低減は、医療従事者にとって非常に重要です。
患者にとっても、正確な医療情報に基づいた治療を受けられることは大きな安心につながります。
はい。特に、文化や習慣の違いによる誤解を防ぐことは、医療の質向上に大きく貢献します。
また、患者さん自身が病状を理解し、治療に積極的に参加できることで、治療効果の向上にもつながります。
実際に、メディフォン導入によって、診断に必要な情報量が飛躍的に増加したという医師の声も多数聞かれます。
患者満足度の向上は、リピーター獲得や口コミによる評判アップにもつながりますね。
さらに、診療時間の短縮による業務効率化は、医師やスタッフの負担軽減にもつながります。
はい。メディフォンは、医師・スタッフと患者の双方にとってメリットのあるサービスです。
患者さんが自分の言葉で医師とコミュニケーションを取れる安心感は、患者満足度の向上に直結します。
また、文化や習慣の違いを理解した上での丁寧な説明は、患者との信頼関係構築にも役立ちます。
さらに、診療時間の短縮や業務効率化にも役立つと。
そうですね。カタコトの日本語や簡単な英語などを使うような不確実なコミュニケーションから、通訳を使って確実に伝わる言語での円滑なコミュニケーションに変わることで、診療時間の短縮にもつながります。
これにより、医師やスタッフの負担を軽減し、より多くの患者に対応することが可能になります。
言葉が伝わっているかどうかの不安など精神的なストレスからも解放されるという声も聞かれます。
その意味では、職員が安心して働ける職場環境づくりにも役立つのではないでしょうか。
かんたんに使えるメディフォン
メディフォンを実際に利用する場合の流れについて教えて下さい。
はい、導入は非常に簡単です。電話一本で申し込みでき、最短で当日に利用を開始できます。
利用方法は、以下の3通りからお選びいただけます。
1.電話通訳
専用電話番号にコールあるいはアプリから音声通訳を選択して、電話越しに医療通訳者が通訳してもらえます。
2.ビデオ通訳
アプリからビデオ通訳を選択して、医療通訳者に現場の状況を見せながら通訳をしてもらえます。
3.AI翻訳
アプリから音声やテキストを入力すると、AIが会話を翻訳してくれます。
状況に合わせて使い分けられるのは便利ですね。導入後は、すぐに利用できるのでしょうか?
はい。すぐに利用可能です。
事前に簡単なオリエンテーションを受けることで、スムーズにご利用いただけます。導入時のオリエンテーションや運用中のサポート体制も充実しており、安心して利用できます。
どのようなクリニックでメディフォンが役立つのか
メディフォンは、どのような医科診療所で役立ちますか?
予約なしで多言語に対応することができるようになりますので、多くの外国人患者を受け入れるクリニックはもちろんですが、希少言語に対応する必要があるクリニック、飛び込みや一次救急の受入れもされているクリニック、また、訪問診療を行うクリニックにお役立ちできればと思います。
外国人患者対応に不安を感じているスタッフがいらっしゃったり、外国人患者は少なくても、より質の高い医療サービスを提供したいと考えていたり、医療安全対策を強化したい先生方にも役立つと思います。
特に自由診療分野では、保険診療とは異なり診療価格を医療機関が任意で設定できますので、近年需要が増えてきた医療ツーリズムを受け入れたり、観光客や健診などの自由診療の外国人患者を積極的に受け入れて収益につなげたいと考えている先生にも有用です。
導入事例
こうした状況に当てはまるクリニックでは、メディフォンがちょうどよさそうですね。具体的な導入事例も教えていただけますか。
沖縄県内の産婦人科クリニックでは、以前から県の事業でメディフォンを活用していましたが、コロナ禍を経て外国人患者の増加に伴い、本格的な導入を決定しました。 コロナ禍で一時的に減少した外国人居住者も、現在は増加傾向にあるため、医療現場におけるメディフォンのニーズはますます高まっています。
費用面や運用面は?
メディフォン導入の際に必要な費用や検討すべきことはありますか?
月額利用料が発生する点と、運用面では、アプリを利用される場合はタブレットやスマートフォンまたインターネット環境の準備が必要です。
費用面は、導入の壁となる可能性がありますね。
はい。しかし、メディフォンの導入によって得られるメリットを考えると、費用対効果は十分にあると考えております。また、利用頻度やニーズに合わせてプランを選択できますので、ご予算に合ったプランをお選びいただけます。
運用面についてはどうですか?
はい。メディフォンでは、運用サポート体制も充実しておりますので、安心してご利用いただけます。端末やインターネット環境については、SIM付きの端末の貸し出しなどにも対応しています。また、電話回線でお使いいただくことも可能ですので、タブレット等のご準備がない場合もぜひご相談ください。
医療通訳の導入による社会的意義
メディフォンのような医療通訳ツールが日本のクリニックに広がる社会的意義について、お聞かせいただけますか?
はい、まず外国人患者の医療へのアクセスのしやすさが格段にあがります。言葉の壁を解消することは、医療格差の解消につながります。
また、異なる文化を持つ人々との相互理解が促進されることで、多文化共生社会を実現できればと思います。それから、医療ツーリズムの推進は、日本の国際競争力の強化にも寄与できるのではないでしょうか。
医療通訳の存在は、まさに社会的な課題解決につながるのですね。
はい。今後の日本に滞在または居住する国籍別人口を見ると、日本人は減少傾向です。反対に、外国人は増加傾向です。今後のクリニック経営の上でも、外国人患者は見過ごせない存在となる可能性があります。
そのため、文化や言語の違う患者が来院しても、診療時間が長引かないようにするのは大事な取り組みだと思っています。
メディフォンは、医療を通して人々をつなぎ、より良い社会の実現に貢献していきたいと考えています。
まとめ
本日は、詳しくお聞かせいただき、ありがとうございました。
ありがとうございました。
メディフォンは、開業医、患者、社会全体にとって重要な役割を担うサービスであることがわかりました。多言語診療の壁を乗り越え、すべての人が安心して医療を受けられる環境づくりに、メディフォンは大きく貢献していくことでしょう。
医療通訳サービスを導入することで、言葉の壁を乗り越え、すべての人が安心して医療を受けられる社会を実現できます。
医療通訳の導入を検討されている先生は、ぜひ一度サービス内容の詳細をご確認ください。