はじめに
多くの医師が漢方治療の可能性を感じながらも、処方経験の不足や知識の習得に時間を割けないという悩みを抱えています。
VARYTEX株式会社が開発した「KAMPO365works」は、過去2000年の歴史を持つ漢方医学と最新テクノロジーを融合した漢方診療支援ソフトウェアです。 KAMPO365worksは、医師の経験の有無にかかわらず、質の高い漢方治療の提供を支援します。その診療現場にもたらす効果や特長について、代表の平野さんにお話を伺いました。
※掲載当時のインタビューに基づきます。
本日は、「漢方業務支援ソフトウェア KAMPO365works」についてお話を伺います。
代表の平野さん、よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。
KAMPO365worksの概要と特長
まず、KAMPO365worksの概要と特徴について教えてください。
KAMPO365worksは、テクノロジーの力で漢方専門家のパフォーマンスを再現する診療支援システムです。
約40項目のデジタル問診表に患者さんが回答することで、その人の体質や状態を漢方医学的に分析し、適切な治療法や漢方薬を自動的に提案する画期的なシステムです。
このシステムのアルゴリズムは、日本東洋医学会が編纂する公知情報や、数千年前から伝承されてきた漢方医学の古典に基づいた「漢方理論」をもとに開発されています。そのため、メーカーが表示する漢方薬の情報に比べ、本来の漢方医学に基づいたより詳細な情報を提供することができます。
月額6,600円(税込)で利用でき、医師が漢方医学の専門知識を習得しなくても、患者さんの体質や症状に基づいた最適な漢方治療を行うことが可能です。
保険診療内で処方の選択肢が広がり、改善しにくい諸症状に悩むストレスが軽減されることで、患者満足度や診療効率の向上が期待できます。
プロダクト誕生のストーリー
まず、KAMPO365worksの医師があまり自信がない部分をサポートして、正しく安心に医療を提供できるというのは素晴らしいサービスですね。
この画期的なKAMPO365worksですが、どのように誕生したのでしょうか?概要と特徴について教えてください。
漢方に興味を持つ医師は多いものの、その難しさから離れてしまう方が多い……
そんな状況を目にしてきたことが、私が前職で痛感した課題感の原点です。
漢方薬は、正しい漢方医学や理論に基づいて使用しないと、効果がないばかりか、副作用のリスクもあります。しかし、漢方理論を学び、「証」を理解するには多くの時間と労力が必要です。
現在、32万人いる医師のうち約9割が漢方薬を使用していますが、そのうち84%が使い方に悩んでいるというデータ1があります。
「証」がわからない、どの漢方薬が適しているのかわからない、自信が持てないといった状況で、漢方薬を使っている医師も多いのが現状です。 私が大手漢方薬メーカーに在籍していた際にも、多くの医師が漢方薬に興味を持ちながらも、その複雑さに戸惑い、適切な処方に悩む姿を目の当たりにしました。
「もっと簡単で正確に漢方薬を処方できるツールがあれば」という医師の声が、このプロダクト開発のきっかけです。
そんな中、日本東洋医学会から共同開発協定締結の提案を受け、漢方医学の知識と最新テクノロジーを融合した信頼性の高いシステムを構築することが可能になりました。
そんな背景から誕生したのがKAMPO365worksです。
医師に長年求められてきた「漢方業務支援ツール」が、ようやくテクノロジーの進化により実現しました。
KAMPO365worksの具体的な活用事例と評判
医師や東洋医学学会の長年の願いが実現したのですね。
次は、実際にKAMPO365worksを導入したクリニックの、具体的な活用事例を教えてください。
はい。ご紹介します。特に婦人科の先生が多いです。
体調の周期による不調や女性特有の疾患は漢方の得意分野です。女性患者の方が漢方を好む傾向もあります。
丸の内の森レディースクリニック様
主に更年期の諸症状に漢方を処方していらっしゃるクリニック様です。 不定愁訴が多い患者さんに対してどの漢方薬を使用するか迷った際に、KAMPO365worksをご活用いただいています。患者さんの服薬の継続率も高いとのことで、満足度向上や診療の効率化にお役立ていただいています。
医療法人社団ルーチェ会 Bene浅草 健診クリニック様
プレ更年期でホルモン補充療法の一歩手前の患者さんや、更年期で多愁訴の患者さんの漢方選びにご活用いただいています。 問診40問というのは一見多く思えますが、診察で伝えきれない困りごとや体質を共有できることは患者満足度の向上に繋がるのではというお話を伺っています。 また漢方の診療を支援することで、
・改善しない症状に悩むストレスが軽減された
・処方の選択肢が増えた
・システムを使うことで漢方を学べる
といったご評価もいただいています。
また、芝大門いまづクリニックの院長を務め、漢方専門医である今津医師からは
「病名や症状だけでなく、体調や生活スタイルなど、『証』という視点で診断から治療へと進む、全く新しい視点の漢方支援システム」として、専門医でなくても正しい方向に導かれる、漢方医学の考え方を身に付けるのにも最適なシステムであるというお言葉を頂戴しています。
こんなクリニックにおすすめ
KAMPO365worksはどのようなクリニックにおすすめですか?
MUS(不定愁訴)や複合的な症状を持つ患者さん、広範な患者層に対応する医師の方に特におすすめです。
西洋医学では捉えきれない微妙な症状の違いや体質の差異を、漢方医学の視点から解析し、適切な治療法を提案することができます。
特におすすめなクリニックの診療科は
・婦人科
・内科/総合診療科
・メンタルクリニック
などですね。
かかりつけ医となるクリニックと相性がよいと考えています。
西洋医学的な所見がない「冷え」や「イライラ」「だるさ」といったMUSは、漢方が得意とする分野ですので、是非ご活用いただきたいです。
また、もともと漢方薬を使いたいと思っていたけれど、勉強する時間がなく、少し試してみたものの使い方がよくわからないと感じている方。
適切な治療法が見つからずに患者さんの治療に悩んでいる方。
そういった医師の方々に、KAMPO365worksを使っていただければ、安心して正しい漢方治療を選択していただけると考えています。
今後の展望と目指すビジョン
今後の展望や会社としてのビジョンについて教えてください。
長期的には、漢方データを活かした未病対策やウェルネス分野への展開を視野に入れています。
漢方医学と未病はとても相性が良さそうですね。
そうですね。
2024年9月6日から、無印良品で弊社のKAMPO X(エックス)というドラッグストア用システムを使った漢方相談が始まりました。薬剤師にも「漢方がわからない」というニーズがあります。
他にも、専門医向けに問診票などをカスタマイズできるKAMPO365customがあります。また現在は医療機器承認を目指したシステムの開発と申請をおこなっています。
更に今後は、蓄積された「証」データに基づいて、患者一人ひとりに最適な生活習慣や食事の提案をするといった、セルフメディケーションのサポートも計画中しています。
誰もが自身の健康状態や体質(証)を理解し、漢方を通じて健康を保てるよう、予防医療にも貢献していきたいと考えています。
ありがとうございました!
クリニック医師の診療を漢方の視点からサポートする、御社の今後のご活躍に期待しています!
- 診療所/クリニックに勤務する日本東洋医学会非専門医/非認定医における漢方処方への意識とソフトウェアのニーズ調査,メドピア株式会社,2024年3月 ↩︎