この記事はこんな方におすすめ
- 在庫管理をノートやエクセルで行っている
- 特定のスタッフ任せになっており、急な退職や休職時に困る
- 医薬品・医療材料の発注ミスや重複発注を減らしたい
- 「どこに何があるか」が曖昧で、探し物に時間を取られている
- 在庫管理システムを導入したいが、何を選べばいいのかわからない

はじめに:在庫管理は「経営課題」である
クリニック運営において、「在庫管理」は意外と見落とされがちな経営課題です。
医療材料や医薬品、処置用品、検査資材など、日々使用される院内在庫を適切に管理できなければ、診療の質にも経営効率にも大きな影響を及ぼします。
実際、とある診療所ではノートで在庫を管理しており、在庫数の把握が困難だったため、「多めに仕入れる」「欠品したら慌てて注文したりスタッフに取りに行かせる」など非効率な状況が発生していました。
「在庫がどこにあるのか」「いつ発注すべきか」「誰が何を管理しているのか」――こうしたことが属人化しており、結果として発注漏れや二重発注などの問題に直面していたのです。
よくある課題:在庫管理がもたらすムダとリスク
クリニックでよく見られる在庫管理の課題には、次のようなものがあります。
- 院内に1人だけの在庫管理担当者がいて、他のスタッフは把握していない。特定のスタッフの業務負担が大きい
- 管理は紙ベースやエクセルで行われており、情報更新や検索が困難
- 在庫を直接数えるため、ヒューマンエラーや発注ミスが発生
- デッドストックが増え、廃棄や無駄な仕入れが経営を圧迫
- 月に1度の棚卸し作業が重荷で、業務時間や人件費がかさむ
- 処方出庫がレセコンと連動していないため、リアルタイム管理が困難
クリニックに人気なのは「誰でも使える」在庫管理システム
これらの課題を根本から解決するのが、在庫管理システムです。
最近では、クラウド型の在庫管理アプリや、iPad・スマホで使えるモバイル対応システムなど、クリニックでも使いやすいツールが増えています。
実際の体験談・導入成果の例
- クラウド保存により、「発注漏れ」や「重複発注」が激減した
- 発注点管理(在庫が◯個以下になったら発注)によるリアルタイム通知で、発注ミスや落ちがなくなった
- スタッフ全員が在庫を把握できることで、タスク分散と残業削減を実現。属人化が解消した。
- 物品の置き場所を統一し、探し物時間の短縮に成功
- 「誰でもできる運用(シール貼付や剥がし)」で属人化解消
- 管理効率が向上し、月に一度の棚卸し作業が1/10まで減少し残業が解消された
中には「重さで在庫を管理する」システムを導入し、引き出しやキャビネットの中でもリアルタイム把握を可能にした例もあります。
属人化からの脱却:チームで在庫を管理する仕組みへ
特定のスタッフだけに頼った運用では、産休や退職などで突如業務が滞るリスクがあります。
在庫管理を標準化し、誰でも理解・操作できる仕組みを整えることが、今後の組織運営の安定に不可欠です。
たとえば、あるクリニックでは15名のスタッフ全員がシステムにアクセスし、発注は専任担当がタブレット操作で実施。
「どこに何があるか」「どのタイミングで発注するか」が可視化され、現場の混乱が一掃されました。
こうした業務フローの改善によって、スタッフの定着率向上や医療の質向上にもつながっています。
在庫管理システム選定のポイントと注意点
病院の物流管理システムと異なり、クリニックにおける在庫管理システムは「高機能」であること以上に、「導入しやすさ」「運用の簡単さ」が重要です。
継続して管理できることを第一に、以下の点に注目して選定しましょう。
- 初期設定や教育の手間が少ないか(専門知識不要)
- スマホやタブレットで完結できるか(モバイル対応)
- バーコード/QRコードの読み取り機能の有無・重量計対応の有無
- 電子カルテや部門システムとの連動性があるか
- 仕入れ価格や回転率を管理・分析できるか
クリニック向け在庫管理システムのメーカー・製品情報詳細
特徴 | ・その日に使った物品のQRコードを読むだけで在庫管理が可能。 ・発注が必要な物品が自動でわかり、物品ごとに使用期限やLOT番号も管理可能。 ・現在の取引業者を変更することなく導入可能、ボタンを押すだけで必要なものを全て自動発注 |
発注 | 発注はメールやファックス不要、ボタンを「ピッと」押すだけで必要なものを全て自動で発注 スタッフの経験にかかわらず、誰でも数分で発注作業を正確に実施 |
分析 | 月ごと・直近など選択した期間の発注履歴を絞り込みができ、誰がいつ発注したのかをすぐに確認できる |
費用 | 初月完全無料、標準プラン20,000円 /月(税別) 機器をはじめにご購入いただくコース:初期費用として30万円(税別) グループ医院オプションあり |
サポート | カスタマーサポート、専任担当者によるサポートあり |
(出典:mappin株式会社公式HPhttps://pitto.mappin.jp/)

zaico/株式会社ZAICO
特徴 | ・導入実績170,000社以上 ・初心者でもPCやスマホから直観的に操作可能、リアルタイムで最新の在庫情報を共有、一括管理 ・カメラに商品やバーコードをかざすだけで、入出庫処理、データの登録・検索が可能 ・AI・IoT技術で業務を自動化。紙の表をシステム反映、重量計で数えない在庫管理(オプション) |
発注 | (Proプラン)発注から発送まで一連の業務を効率化、発注点切れ在庫データの一覧表示、発注点の提案 zaico内で発注書を作成、ボタン1クリックで発注書をメール・FAX送信、ピッキングリストの発行 |
分析 | 在庫データのロットや期限違いなどのデータを管理、将来の在庫見込み量の計算も可能 登録した入庫データを分割し、分納に対応 |
費用 | ミニマム¥3,980/月(税込 ¥4,378)、ライト¥9,800/月(税込 ¥10,780)(どちらのプランも31日間無料でお試しあり) 自動化・省人化できる在庫管理がしたい方pro¥49,800/月(税込 ¥54,780) |
サポート | (Proプラン)最大6ヶ月、専門スタッフが導入から運用までを伴走サポート。 オンラインミーティングで相談(1回〜 / 60分)、チャットやメールで気軽に相談、資料の共有 |
(出典:株式会社ZAICO公式HPhttps://www.zaico.co.jp/)

スマートマットクラウド/株式会社エスマット(旧:株式会社スマートショッピング)
特徴 | ・重量設定:ケースに入った商品も柔軟に重量で管理が可能。在庫の管理単位(個、g、mなど)も自由に設定可 ・合算管理:同一の商品コードを複数登録・合算表示 ・計測頻度を柔軟に変更可能 ・冷蔵・冷凍庫内での稼働実績。高い耐久性+防沫(IPX3) ・在庫単価の登録・自動計算、タグやグルーピング機能 |
発注 | 定量・定期発注で自動発注が可能、提携EC発注連携(infomart・Medicode・オータスカリPro・アスクルなど) 発注サイクル、発注頻度や回数を設定可能、送料のかかる発注を回避 |
分析 | 在庫金額の推移を自動で可視化・グラフ化、不足気味・過剰気味の在庫を特定可能 不動在庫の特定 |
費用 | – |
サポート | – |
(出典:株式会社エスマット公式HPhttps://www.smartmat.io/case/hospital/7747)

クラウド型医薬品在庫管理システムODSS/ 鍋林株式会社
特徴 | ・有床診療所向け、クラウド型で専用サーバーの設置不要。 ・ユーザーID追加無料、カスタマイズ対応、機能の追加、これまでの運用ルール継続など、柔軟なカスタマイズに対応 ・有効期限付きの納品データを用いて入庫、出庫時に有効期限付きバーコードで在庫の期限管理が可能 ・払出は棚卸にも役立つハンディーターミナル運用、外部システムとの自動連携、シール運用など選択可能 ・入荷は卸からのロット・有効期限付きデータ受信/スキャン入荷対応 ・部署連携、システム連携可能 |
発注 | 発注点/スキャン/納品場所指定/納品日指定など対応 |
分析 | 卸への返品のための不動品管理可能 |
費用 | 初期導入費用¥300,000〜 月額利用料¥20,000〜 ユーザー追加無料、更新料なし |
サポート | 導入目安:約1~2か月 導入前の運用構築~安定稼働まで専任担当者がサポート、導入後も電話やオンラインを活用したサポート体制あり |
(出典:鍋林株式会社公式HPhttps://www.nabelin.co.jp/business/medical-system/odss/)

Mediboard/株式会社サザンウィッシュ
特徴 | ・医療機関・介護施設の様々な課題を解決する統合プラットフォーム。 ・各種申請、契約管理のデジタル化。承認プロセス・発注・在庫管理・棚卸の標準化 ・メール通知機能や承認時コメント機能等を組み合わせてカスタマイズ可能 ・GS1バーコード対応の在庫管理 |
発注 | 発注のデジタル化が可能 |
分析 | 分析ダッシュボードで、購買情報を常に可視化し、部署別や時系列など様々な観点での購買分析を実現、 予防経営をサポート |
費用 | – |
サポート | 専任担当を中心とした強固なサポート体制” |
(出典:株式会社サザンウィッシュ公式HPhttps://www.southernwish.com/mediboard/)
まとめ:在庫管理の「見える化」がクリニック経営を変える
在庫管理の課題を放置しておくと、医療安全のリスクや経営上のロスにつながりかねません。
しかし、在庫の見える化と標準化されたシステム運用を取り入れることで、安心かつ効率的な診療体制が実現できます。
- 属人化を解消し、誰でもわかる仕組みへ
- 発注ミスや欠品を防ぎ、患者への影響を最小限に
- コスト削減・残業削減で経営改善とスタッフ満足度の両立へ
医療DXが進む中、スタッフの業務が集約される傾向や、少人数体制ゆえの人手不足に悩むクリニックも少なくありません。
こうした状況においては、在庫管理を「誰でも」「簡単に」行える業務へと進化させることが、働きやすく風通しの良い職場づくりにつながります。
長期的な経営戦略の一環として、在庫管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)
DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
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