ミニマム開業で成功するには?医療DXツール段階的導入のススメ【クリニック向け2025】

ミニマム開業でも導入しやすい医療DX特集

医療DXサービスを時短で比較できます

ミニマム開業とDXは両立する時代に

開業資金をなるべく抑えたい。でも効率的に運営したい……」

「開業後に様子を見ながら、スモールステップでDX化したい」


そんな開業希望の医師が増えています。
コロナ禍を経て医療のDX(デジタル・トランスフォーメーション)が急速に進むなか、「小規模なスタートでもDXを取り入れる」という選択肢が現実的になってきました。
この記事では、ミニマム開業でも導入可能な医療DXの入り口である受付無人化・省人化ツールについて具体的に解説します。

ミニマム開業の実態と課題

近年、医師とスタッフ1人だけという最小体制での開業=”ミニマム開業”が増えています。
初期投資と月々の固定費を最小限に抑えられる反面、受付や電話対応が属人的になりやすく、「誰か1人欠けると回らない」という不安も尽きないスタイルです。
特に医療業界では慢性的な人手不足が深刻で、本当に信頼できるスタッフを採用する難しさも課題です。

解決のカギは「受付無人化」×「段階的DX導入」

こうした課題を補完するのが、DXツールの活用です。一度にすべてを導入する必要はありません。
ミニマム開業では“必要なものから段階的に”導入していくことで、経営負担を抑えつつ、無理なく効率化を実現できます。

ここでは、少人数体制でもクリニック運営を可能にする具体的なツールをご紹介します。

診療予約システム:24時間対応と電話削減

Web予約システムは、少人数運営において最初に導入すべき業務効率化ツールの一つです。
電子カルテや問診と連携するシステムを選ぶことで、医療DX化に役立ちます。
電話対応の手間が減ることで、事務スタッフが他の業務に集中できるようになります。AI電話代行と併用すれば、実質的に”電話番なし”の受付体制も可能になります。月額1万円前後のサービスも多く、導入ハードルは低めと言えるでしょう。

診療予約システムを比較する

ドクターズ・ファイル アポ レジタス/株式会社ギミック

ドクターズファイルアポレジタス 株式会社ギミック

対応予約日時指定・順番呼び出し
予約方法LINE、メール/SMS/LINEで通知可能
連携
金額
サポート専門の部署によるサポート
付加機能簡易問診機能

出典:ドクターズ・ファイル アポレジタス公式サイト(https://reserve.doctorsfile.jp/)

ドクターズ・ファイル アポ レジタスは、LINE予約が標準機能として利用できるWEB予約システムです。患者さんが日常的に使い慣れているLINEで予約・リマインドやお知らせ配信が可能で、再診率の向上やスタッフの負担軽減が見込めます。

コノヒ /ハヤレジ株式会社

コノヒ ハヤレジ株式会社
対応予約日時指定・順番呼び出し
予約方法LINE(デジタル診察券機能あり)
連携電子カルテ・レセコンとの連動オプション
金額初期導入費用税込330,000円~、月額18,000円~
サポート専門の部署によるサポート
付加機能オプションに問診機能

出典:コノヒ公式サイト(https://conohi.com/)

「コノヒ」はクリニックの公式LINEアカウントと連携する予約システムです。
LINEを活用し、休診情報やワクチン接種のご案内など患者ごとに個別のメッセージを配信することができます。また、予防接種、オンライン診療時間予約の予約も可能です。

アポクル予約/カルー株式会社

アポクル予約 カル―株式会社

対応予約順番呼び出し・時間予約・予防接種
予約方法WEB・LINE(予約・通知・診察券)
連携
金額月額1万円〜初期費用無料・3ヵ月間無料
サポート専任担当者による安心のサポート体制
付加機能アポクル問診・決済と連携可能

出典:アポクル予約公式サイト(https://apokul.jp/)

アポクル予約は、時間帯予約・順番待ち予約を選んで使える医療機関向けのネット予約システムです。アポクル問診との連携で予約完了からシームレスに問診に誘導が可能です。

SmileyReserve(スマイリーリザーブ)/株式会社スマイリーマム

Smiley Reserve 株式会社スマイリーマム
対応予約日時指定・順番呼び出し・併用、
院内表示、複数台での同時利用などすべて標準装備
予約方法WEB
連携電子カルテやWEB問診との連携
金額初期費用104,500円(税込)月額費用16,500円(税込)
サポート導入時は必ずスタッフが直接訪問。
お問い合わせフォームまたはお電話
付加機能WEB問診連携オプション

出典:スマイリーリザーブ公式サイト(https://www.smiley-reserve.jp/)

15年の運用と120万人の患者様利用実績がある、小児科分野に強い株式会社スマイリーマムの予約システムです。
現在では全国のあらゆる診療科医で導入されています。予約枠の追加、インフルエンザシーズンのみの予約などへも基本料金で対応でき、コストの見通しが立てやすい点もポイントです。

WEB問診システム:情報の事前取得で診察効率UP

診療前に患者情報を収集できるWEB問診は、医師の診療準備をスムーズにし、待ち時間の短縮にもつながります。
カルテや予約システムと連携することで、データ入力が不要となり受付業務の効率化に役立ちます。
iPad1台での運用も可能で、電子カルテと連携すれば入力業務の効率化にも貢献します。患者の利便性も高く、再診率アップにもつながるとされています。
患者層によっては、来院までにスマートフォンで問診を完結してもらうクリニックもあり、診療スタイルに合った活用が可能です。

WEB問診システムを比較する

アポクル問診  /カル―株式会社

アポクル予約・問診
  • アポクル予約と連携可能、予約完了画面からスムーズに問診に移行します。
  • 問診機能:内容のカスタマイズ自由自在、作り放題、回答で質問が変わるドリルダウン型問診、画像をアップロード、シェーマ入力
  • お電話・メール・LINE・Zoomサポート
  • 連携:電子カルテ連携、アポクル予約・決済と連携
  • 料金:1万円/月~

(出典:アポクル公式サイトhttps://apokul.jp/)

アポクルは、問診作り放題でリーズナブルな価格を実現した問診システムです。また、予約と問診のシームレスな連携が特徴です。自然な流れで問診に誘導され、高い回答率が見込めます。アポクル決済との連携で、会計までを一元化することが可能です。事前のクレジットカード登録で、院内での会計無しで帰宅していただくことも可能です。

≪インタビュー記事≫
もう「古い」とは言わせない!進化を続ける予約・問診システム「アポクル」が医療現場にもたらす革新とは?

ユビーAI問診  /Ubie株式会社

ユビ―AI問診
  • 導入数1,800施設以上、症状検索エンジン「ユビー」にクリニック掲載しマッチング支援
  • 問診機能:AIにより患者の主訴から最適化された質問を自動生成、回答は医師の言葉へ即時翻訳、問診内容追加可能
  • 3省2ガイドラインに準拠したクラウドサーバー
  • 使用場所:来院前/来院後
  • 連携:全電子カルテ・予約システムと連携相談可
  • 料金:要お問い合わせ(6か月間無料)

(出典:Ubie株式会社公式サイトhttps://intro.dr-ubie.com/clinics)

ユビ―AI問診は、症状検索エンジン「ユビ―」を手掛けるUbie株式会社による、医療機関向けAI問診です。

必要な問診内容は任意で追加可能で、AIのサポートで重要性の高い情報を得ながら、医師が知りたい情報を追加できる点が魅力です。

POSレジ・自動精算機:会計業務も段階的に自動化

自動精算機は高額な場合が多く、やや開業前に導入を決めるのはハードルが高く感じることもあるかもしれません。
そういった場合は、最初はPOSレジから始めて、必要に応じて釣銭機付きの自動精算機にアップグレードするのが現実的な導入ステップと言えるでしょう。

また、自動精算機は大型で置き場所に悩むという意見もありますが、最近では小型・低価格モデルも登場しており、キャッシュレス決済にも対応。受付業務の最後の属人化ポイントを解消できます。

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Clinic POS  /株式会社APOSTRO

医事会計データ連動型POSシステム「Clinic POS」	株式会社APOSTRO
特徴医事会計データ連動型POSシステム。
95%以上のレセコン、電子カルテや予約システムなど多くの院内システムとの連携が可能。
リアルタイムで支払情報を管理し、物販・返金処理・新紙幣対応。沖電気製自動釣銭機
支払い方法キャッシュレス端末連携可能
連携電子カルテ・レセコン連携
費用・料金体系要問合せ
サイズW490 × H135 × D530 mm
サポート全国に支店あり、不具合や修理が必要な際は、専任スタッフが対応

(出典:株式会社APOSTRO公式HPhttps://apostro.co.jp/pos/)

自動精算機「Clinic KIOSK(クリニックキオスク)」を提供する株式会社APOSTROのPOSレジです。自動釣銭機標準装備で、セルフレジでの運用が可能です。

ハヤレジR08セミセルフ  /ハヤレジ株式会社

ハヤレジR08シリーズpos
特徴80%以上の電子カルテレセコン連動が可能。
セミセルフレジからスモールスタートし、将来的な自動精算機の導入も可能
支払い方法オンライン決済端末連動オプション(クレジット・電子マネー・QRコード決済)
連携電子カルテ・レセコン連携/バーコード運用選択可能
費用・料金体系要お問い合わせ
サイズW435×D540×H184
サポートソフトウェアサポートは電話とリモートメンテナンス対応、自動釣銭機サポートは保守プラン選択可能

(出典:ハヤレジ株式会社公式HPhttps://hayaregi.com/product/hayaregi/)

ハヤレジ株式会社でも、セミセルフ(自動釣銭機)POSレジから自動精算機までを提供しています。
セミセルフから開始し、将来的な自動精算機の導入を想定した戦略的なスモールスタートが可能です。

卓上・自立選択OK!直観的操作が可能な自動精算機

【自立型・卓上型】セルフォート /日立チャネルソリューションズ

セルフォート/日立チャネルソリューションズ
特徴「現金装填/回収時の自動計数」「全金種のリサイクル」を実現(2千円札を除く)、安心のサポート体制
支払い方法日本医師会員向けキャッシュレスサービス対応
連携電子カルテ・レセコン連携
費用・料金体系要お問い合わせ
サイズ560mm×659mm×580mm
サポート全国に約300の保守拠点があり、高いスキルの保守員が待機

(出典:日立チャネルソリューションズ公式サイトhttps://service.hitachi-ch.co.jp/medical/checkout)

日立チャネルソリューションズが提供する高齢者でも使いやすい設計の自動精算機です。
日本医師会ORCA管理機構が提供する、手数料が低価格なキャッシュレスサービスを利用できます。

チャットボット:受付不在でも問い合わせ対応を

ホームページに設置するチャットボットは、よくある質問に自動応答する”仮想受付”として活躍します。LINE連携などにより、患者とのコミュニケーションを取りつつ、人件費をかけずに対応窓口を広げられます。受付スタッフが対応できない時間帯の問い合わせや、多言語の対応にも有効なツールです。

ClinicAI(クリニックAI) /Saishin Technologies株式会社

ClinicAI Saishin Technologies株式会社
特徴・HPやLINE、その他のプラットフォームにも簡単に導入可能
・問い合わせ・予約対応可能
・多言語対応
・対話データを分析し業務改善が可能
セキュリティChatGPTに準拠し、最新セキュリティ技術と厳格なデータ管理体制
費用・料金体系複数のプランあり、要お問い合わせ
サポートAIを駆使したDXサービスやコンサルティング支援も可能

(出典:Saishin Technologies株式会社公式サイトhttps://clinicai.studio.site/)

クリニックAIは、クリニックや歯科医院向けのAIチャットボットです。HPなどに設置することで、問い合わせや予約をはじめ、営業活動や啓もう活動にも貢献します。

 業務効率化ツールの導入に使える クリニック向け補助金・支援金情報(2025年度)

IT導入補助金

  • 目的:中小企業・小規模事業者のITツール導入費用を補助し、業務効率化と売上アップを支援
  • 対象者:中小企業・小規模事業者(医療法人は従業員300人以下)
  • 補助金の種類
    • 通常枠
    • インボイス枠(企業間取引のデジタル化対応用)
  • 申請方法:登録・IT導入支援事業者とのマッチングが必要

働き方改革推進支援助成金

  • 目的:特定業種(建設業、運送業、病院等、砂糖製造業)の働き方改革を支援
  • 対象者:以下のいずれかに該当する中小企業事業主
    • 従業員300人以下
    • 資本金・出資額が3億円以下(病院等は5,000万円以下)
  • 支援対象となる取組
    • 労務管理担当者・労働者への研修
    • 外部専門家によるコンサルティング
    • 就業規則・労使協定等の作成・変更
    • 人材確保に向けた取組
    • 労務管理用ソフトウェア・機器の導入・更新
    • デジタコの導入・更新
    • 労働能率向上のための設備・機器導入(POS装置、自動車リフトなど)
  • 重要事項
    • 成果目標の達成状況に応じて支給額が決定
    • 上限額は目標内容、賃上げ実施状況、事業規模により異なる
    • 2025年度申請期限:2025年11月28日(金)

まとめ:小さく始めて、大きく育てるクリニックへ

ミニマム開業は、開業医にとって”最小のリスクで最大の自由”を得られる手段です。そしてDXツールの活用は、それを現実的な選択肢に変えてくれます。
すべてを一度に導入する必要はありません。まずは予約や問診といった負担の大きい業務から始めて、会計や問い合わせまで段階的に無人化を進める。こうした戦略的ステップこそが、これからのクリニック経営に求められる力と言えるでしょう。

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よくある質問

ミニマム開業でもDX化は可能ですか?
はい。Web予約やWEB問診、POSレジなどを段階的に導入することで、少人数体制でもDXを進めることが可能です。初期投資を抑えつつ、効率化が図れます。
受付業務を無人化するには何から始めればいいですか?
Web予約システムの導入がおすすめです。電話対応が減るため、事務スタッフの負担軽減につながります。AI電話との併用も効果的です。
WEB問診システムはどのような効果がありますか?
診療前に患者の症状を事前に把握でき、医師の診察準備がスムーズになります。また、待ち時間短縮や再診率の向上にもつながります。
会計の無人化には何を導入すればいいですか?
最初は自動釣銭機付きPOSレジ(セミセルフ)から始めて、将来的に自動精算機へ移行するステップが現実的です。小型・省スペース型の製品もあります。
補助金や助成金は利用できますか?
IT導入補助金や働き方改革推進支援助成金が対象となる場合があります。2025年度も申請受付が行われています。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
クリニックの運営や医療業務の改善に関する専門知識をもとに、医療機関の実務に役立つ情報を厳選してお届けしています。