クリニック経営の成否を分ける「立地」と「人」の戦略とは_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード53全文書き起こし

クリニック経営の成否を分ける「立地」と「人」の戦略とは_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード53全文書き起こし

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第53回始まりました。大西さんよろしくお願いします。

(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?

今日のテーマ:クリニック経営がうまくいく要因

(高山)今回のテーマは「クリニック経営どうやったらうまくいく?」です。大西さん、今の時代、クリニック経営で何が一番重要でしょうか?

(大西)立地でしょう。

(高山)確かに「立地」は重要ですよね。

でも、なぜ重要なのか、改めて考えてみると、はっきりとは分からない方もいるかもしれません。

(大西)マーケティングの4P、Place(場所)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)、Product(製品)の中で、Placeは一番最初に来ます。

昔から、マーケティングにおいて「場所」が最重要視され、次に価格、製品・サービス、そしてプロモーションという時代が長く続いてきました。

しかし、今は違います。

診療を取り巻く状況が変わってきた中で、Place、つまり立地の意味も変化しました。

Google マップの普及により、オンライン上での存在感が重要になっています。

オンライン時代の立地戦略

(大西)今はもう、駅の看板や道路沿いの看板を見てクリニックに来る人はいません。

誰もがスマホを持ち歩き、情報を得るための行動パターンが変わってしまったからです。

(高山)歩きスマホで看板が目に入ったとしても、すぐにスマホで検索してしまいます。

(大西)まさにその通りです。最近は、散歩中に偶然クリニックを見つけて来院する、なんてことも少なくなりましたよね。

(高山)本当にそうですね。

スマホの普及で、一人一台の時代になり、行動パターンが大きく変わりました。

情報をどこから取るか、という点において、大きな変化が起きています。

(大西)だから、今考えるべきは、Google マップ上の立地、口コミ、そして患者さんにどういう印象を与えるか、ということです。

隠れ家的な立地はあり?なし?

(高山)Google検索で上位表示されるなら、隠れ家的な立地でも問題ないのでしょうか?

(大西)飲食店を例に考えてみましょう。

隠れ家的な立地が成功するのは、客数が少なくても採算が合う場合です。

クリニックで考えると、平均単価が2万円、3万円といった世界では、客数が少ないと経営が成り立ちません。

そのため、クリニックの場合は、ある程度認知されやすい立地を選ぶ必要があるでしょう。

かつては駅前の立地が人気でしたが、その後クリニックモールが台頭し、今は郊外型のクリニックが増えてきています。

これは時代の流れを反映しており、通勤スタイルの変化に合わせた戦略と言えるでしょう。

在宅勤務が普及し、仕事帰りにクリニックによる人が減り、自宅から直接クリニックに行く人が増えています。

これからのクリニック立地戦略

(大西)郊外型の立地で、駐車場を完備するなど、患者さんが来院しやすい工夫が重要になります。

(高山)オンライン診療も普及してきていますし、物理的な立地にこだわらない診療スタイルも増えていくでしょう。

(大西)その通りです。オンライン診療のみを行うクリニックはまだ認められていませんが、外来診療と組み合わせることで、必ずしも1階である必要はなく、2階や3階でも構いません。

また、広いスペースも必要ありません。

(高山)確かに、オンライン診療メインであれば、オフィスのような綺麗な空間である必要もないですね。

在宅診療を行う先生も増えていますし、柔軟な対応が求められます。

クリニック経営における「人」の重要性

(高山)患者さんに認知してもらった後、リピートしてもらうにはどうすればいいのでしょうか?

(大西)そこで重要になってくるのが「人」です。

患者の満足度は、人間にしか判断できません。

すべてがコンピューター化された世界では、満足度に上下はありません。

人間はコンピューターと違い、感情があります。

例えば、「対応が遅い」とか「笑顔がない」といったことは、コンピューターでは問題になりません。

「システムの都合上、対応が遅いです。申し訳ございません」

「笑顔の機能は備わっていません。申し訳ございません」と言われても、患者さんは納得しないでしょう。

また、明らかにテンプレートで作成されたメールを受け取っても、患者さんは良い印象を抱きません。

こういった感情は人間にしかないため、クリニック経営においては「人」が重要な成功戦略となります。

(高山)クリニックが提供する医療サービス(役務)は、スタッフによって提供されます。

いかに「人」が大事かということですね。

スタッフの重要性

(大西)クリニックの1時間を考えてみると、医師が患者さんと接する時間は5~10分程度で、残りの45~50分はスタッフが対応しています。

患者さんが待ち合い室で30分過ごす場合、接するのはスタッフです。そのため、スタッフの対応が患者さんの満足度に大きく影響します。

「スタッフの愛想が悪い」「笑顔がない」「質問に答えてくれない」といったことは、患者さんの不満につながります。

医師の診察や処方が適切でも、スタッフの対応が悪ければ、患者さんはクリニックを変えてしまうかもしれません。

患者さんにとって、医師とスタッフの評価基準は異なります。

スタッフ育成の鍵

(高山)スタッフをどのように管理、教育していくかが、クリニック経営の重要なポイントですね。

(大西)まさにその通りです。そして、スタッフ育成の鍵となるのが「理念」です。

理念の重要性

(高山)スタッフへの教育も重要ですね。

(大西)はい。クリニック経営において、スタッフをどうコントロールし、トレーニングし、教育するかが重要です。

そして、その土台となるのが「理念」です。

開業する先生が理念をしっかり持っているかどうかは、クリニックの成否に大きく関わってきます。

スタッフが成長するかどうかは、理念に基づいた教育と密接に関係しています。

院長が理念を作成し、守り、スタッフにも守らせることが重要です。

最大の開業リスクは「人」

(大西)5年、10年、20年とクリニック経営のお手伝いをしてきて感じるのは、スタッフが定着しているクリニックと、スタッフの入れ替わりが激しいクリニックでは、院長の疲れ具合が全く違うということです。

(高山)楽に経営するためには、自分と同じ理念を共有し、共に成長していけるスタッフの存在が不可欠ですね。

個性を活かすためのルール

(高山)最近は「個性を活かす」ことが重要視されていますが、どのように考えれば良いのでしょうか?

(大西)個性を活かすためには、一定のルールが必要です。最近の傾向は「個性」ですが、昔は「集団」や「和」が重視されていました。

時代とともにトレンドは変化していきます。

今の豊かな日本では、「個性」が尊重されるべきですが、それは「わがまま」とは違います。

理念に基づいた個性の発揮

(大西)「個性を発揮したい」というスタッフには、理念とわがままを履き違えていないかを確認する必要があります。

「人と違うことがかっこいい」という考え方は、組織で働く上ではルール違反につながる可能性があります。

ルールとは理念に基づいたものであり、理念に合っていない個性の発揮は、組織にとってマイナスになりかねません。

クリニックルールと理念

(高山)理念を実現するために院内ルールがあり、その範囲内で個性を活かしていく必要があるのですね。

当たり前のことですが、クリニックの組織では、この当たり前のことができていないケースが多いように感じます。

(大西)そうです。クリニック設立時に理念をしっかり固めなかった、採用時に理念を伝えなかった、日々の教育に理念を組み込んでいない、

といったことが原因で、様々な問題が発生します。

理念の浸透

(大西)開業時には理念について一生懸命考え、採用時には理念を伝え、日々の教育や研修にも理念を組み込む必要があります。

根本的なクリニックルールは何なのか、常に立ち返ることが大切です。

クリニック経営の要諦

(高山)クリニック経営がうまくいく要因は、先生がかかげる理念、そしてその理念に近い人を採用し、共に成長していくことですね。

(大西)その通りです。

理念を共有していないスタッフを採用した場合、理念とは異なる部分で不満が爆発する可能性があります。

そのため、スタッフには理念を読み上げてもらい、「あなたの言っていることは、この理念のどこに当てはまりますか?」と確認するようにしています。

理念と異なる要求への対処法

(大西)理念に反する要求には、「それは認められません。ルールと違います」と伝えることが重要です。

組織で働く以上、個人の理念ではなく、組織の理念に従う必要があります。

まとめ

(高山)今回の話をまとめると、クリニック経営において最も重要なのは「理念」です。

理念を確立し、スタッフと共有することで、スムーズな組織運営が可能になります。

(大西)そうですね。次回以降は、ルール作りについても詳しくお話ししたいと思います。

ルールと個性の関係性、そして先生の個性を理念に練り込む方法についても考えていきましょう。

(高山)本日は、第三者承継について詳しくお話を伺いました。大西さん、ありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。

この番組への感想は「#院長が悩んだら聴くラジオ」でXなどに投稿いただけると嬉しいです。番組のフォローもぜひお願いします。

この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
クリニックの運営や医療業務の改善に関する専門知識をもとに、医療機関の実務に役立つ情報を厳選してお届けしています。