
DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。
(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、第109回始まりました。大西さんよろしくお願いします。
(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?
(高山)今日のテーマは、レセプトの自動化になります。
(大西)おそらく悲願のレセプト自動化だと思います。
診療所の先生も病院の先生も日頃から実現したいと思っている内容だと思いますので、いかに人をかけずに、返戻査定がなくなるレセプトを作れないか、これは結構大事なテーマだと思います。
(高山)今回は、レセプトの自動化に取り組むベンチャー企業の起業家さんをゲストでお迎えしております。
特に後半になるかと思いますが、具体的なお話をお聞きして、クリニックのレセプト業務がどうなっていくのかを深掘りしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
(大西)お願いします。
煩雑なレセプト業務の現状
(高山)今回テーマとするレセプトの自動化というと、いろいろ包含してしまうのですが、レセプト業務全体が自動的に人の力を頼ることなく、最初から最後までいけたら非常に素晴らしいと思います。
そこまではいかないにしても、だんだんAIツールが発展してきていますので、だいぶ近しいことが実現できていくのではないかという期待を持っています。
現状、クリニックでのレセプト業務はどれくらい煩雑なのでしょうか?
(大西)基本的には毎日の業務として、レセプトを作る前段階として、正しいカルテの作成、あるいは正しい請求を行うということをしています。
そのために会計係や事務係という人が存在しています。
これは病院も同じだと思います。
月に1回レセプト点検と言いながら、月に3日、4日はかかっているかと思います。
当然業務時間内にはできないので、業務の合間にやったり、業務時間外に残業してやったり、お休みの日にやっているような業務です。
ですので、3人の人間が20時間ほどかけているのではないかと思います。
(高山)なるほど。診察時間以外でそういう作業をしているので、当然残業代などもかかっているわけですね。
(大西)そうですね。ですので、先生たちは残業代を抑えなければいけないというか、働き方改革の影響から、イメージとしては1人レセプト点検用に人材を確保しておいて、その人がずっとやっているケースもあります。
(高山)なるほど。そういったレセプトチェックは自動化してきているイメージはあるのですが、知識がないと最終チェックはできないですよね。
どういう人が担当しているのでしょうか?
(大西)医療事務の専門学校を出た人が担当しているケースが多いです。
私も長らく医療事務の専門学校の先生をしてきたのですが、やはり診療報酬という枠組みや点検のポイントというのは、現場で学んでいくものなので、経験が大事になるという感じがします。
(高山)経験ですか。知識だけではダメということですね。
経験を積み重ねて、返戻がどれくらい出てくるかとか、自分のクリニックの先生の癖などを把握していくということでしょうか。
(大西)そうですね。基本的には病名をつけるという行為と、加算をとるという行為、これが重要なポイントになります。
当然病名が間違っていればレセプトは切られますし、加算が漏れていれば算定漏れになりますし、取りすぎていればとりあえず返戻になるというような状況です。
ただ、国の政策のおかげで、返戻自体は減りましたね。
(高山)オンライン請求によって減ったということでしょうか。
(大西)そうです。保険番号が間違っていることによる返戻というのは、ほとんどなくなってきています。
昔に比べると、返戻よりも「一発査定」と言われるような、もう直しようがない間違いに関しては、一発で消えるという状況です。
レセプト業務の課題と国の動き
(高山)なるほど。現状のクリニックにおけるレセプト業務というのは、どのあたりが課題なのでしょうか?
(大西)まず最初に、専門の人が必ず一人かいるわけですよね。
その人が辞めると途端にレセプト業務が滞るというのが、一つ大きな問題です。
要は属人化しているということです。
(高山)属人的なので、人がやる業務ということで固定化されているのですね。
(大西)それともう一つ大きな問題は、それを伝播していく、要するに教育ですよね。
これが院内にあまり体制がないケースが多いです。
代々職人芸を引き継ぐのですが、体制がないと難しいという現状があります。
(高山)こういった課題というのは、厚労省としてはどのように捉えているのでしょうか。
診療報酬改定が結構頻繁にあるので、どうしても人が対応しなければいけなかったり、アップデートが必要なものなので、自動化は難しかったと思うのですが。
厚労省としては、ルールを作る側として「ついてこいよ」という感じなのでしょうか。
(大西)厚労省は裏で現在、標準型レセコンというか、レセプトデータベースのようなものを作ろうとしています。
レセプト業務が問題であることは、厚労省が一番わかっています。
それを無人にするかしないかはさておき、どこの病院でも診療所でも、同じ請求プロセスを経てほしいと思っているんですよね。
(高山)そうですよね。行政としては同じフォーマットで、同じルールで、きっちりと出してくれれば一番すんなり行くわけですよね。
(大西)行政も返戻査定をしたいわけではなくて、正しいレセプトが全員から来たら、返戻査定はゼロになりますよね。
そうすればその分の事務コストが行政側もかからなくなるので、大きなスリム化になります。
支払基金などの審査側の業務削減がここ10年で非常に進んでおり、やはりそこにもAIが入ってきています。
(高山)そうですよね。審査支払機関側にそういった自動チェックが入ることによって、昔は都道府県によって少し査定の具合が違ったりしていましたが、今は全国でだいたい一律になっているのでしょうか。
(大西)まだ少し差はありますが、減ったという感じはします。
とにかく統一していきたいというのが国の大きな流れです。
国の流れとして、まず都道府県別をやめて、ブロック別に変更しました。
点検の仕組みを、厚生局単位のブロックにすると、全国で7つや8つくらいになります。
そのブロックチェックから、今度は全国チェックに切り替えていくというのが一つです。
そして、国保と社保の違いを統一するために、レセプト点検フォームを一本化し、基本的には社保側に寄せる形で進んでいる状況です。
(高山)省力化に向けて、国はもう舵を切って20年くらい経っているのでしょうか。
(大西)そうですね。2000年代に入ってからずっと取り組んでおり、審査支払側の改革は財務省からメッセージが出ていて、それを着々と進めてきました。
どちらかというと、行政側のチェックの方が効率化されていて、病院や診療所の方がまだ効率化されていないというのが現状ではないでしょうか。
クリニックのレセプト自動化を阻む要因
(高山)なるほど。そうした現状の中で、特にクリニックの業務はできるだけ省力化したいわけですが、
電子カルテ情報を全国統一化していくという流れもあって、レセプト業務というのは何もしなくても、だんだん簡素化されていくものなのでしょうか?
(大西)これには大きく2つ問題があります。
一つは、レセプト業務を経営者である院長が知らないことです。
だから簡素化したくても口を挟めない。
これがまず1つ目の課題です。
経営者が知らない業務を事務がやっているというとんでもないプロセスになっていて、介入ができないんですよね。
もう一つの問題は、事務スタッフたちがシステムを信用していないことです。
(高山)システムを信用していない。
(大西)レセプトチェッカーを入れても、念のためもう1回レセプト点検をしている人が多いです。
要は、レセプトが返戻査定になると事務の責任になります。
(高山)なるほど。
(大西)だからシステムがもし間違えても、「どうせ私たちの責任になるんでしょう」という、リスク思考型の考え方なんですよね。
(高山)今後、人材不足や、そういった職人芸ができる人自体が減っていく中で、またクリニックの点数が削られていく中で、
経営をよりスリムに、簡素化して余計なコストを減らしていかなければいけません。
取るべき点数はしっかり取らなければいけないという状況の中で、クリニックが今後AIツールをどう活用していくのかというのは、ポイントになってくるかと思っています。
ただ、まだまだそういったツールで「これだ」という決定版は出てきていないような気がします。
(大西)これまでのレセプトチェッカーというのは「ロジックツール」という言い方をしていて、レセプト点検のロジックを登録して、それに基づいてチェックをしていくものでした。
そのため、ロジックを育てる必要があったんですよね。
例えば「AとBをチェックしてください」という指示をするのですが、クリニックによっては「Cまでチェックしてください」という指示に切り替える必要があり、オーダーメイド感が強かったのです。
そこをAIが使うことによって、クリニックや病院に特化したチェックではなく、ロジックを自由にAIが考えてくれると、非常に効率化するのかなと思います。
簡単にいうと、チェックシステムはあるけれども、チェックを育てないと機能しないという問題がありました。
(高山)では、そのチェックロジックを育てていく作業をAIがやってくれれば、非常に勝手に成長するものになるということですね。
(大西)そうですね。もう少しプロセスを言うと、電算ファイルに変更してチェックをかけるのですが、
チェックをかけた後にまたその電算ファイルを直し、請求した後に返戻査定があったらまた修正をかけるという作業を、相変わらず人間がずっとやっています。
チェックそのものはAIの可能性がすごく高いですが、本当に無人化する時は、この修正部分までAIが入ってくるとすごくいいなと思います。
株式会社mutex 代表取締役 CEO 熊澤 洸平様 紹介:生成AIでレセプト業務を自動化
(高山)ありがとうございます。クリニックのレセプト業務全体を省力化していくという取り組みについてお話しいただきましたが、
実はAIを使ってそこに切り込んでいき、改革を目指しているベンチャー企業がいらっしゃいます。
本日はゲストとして、その熊沢社長にお越しいただいております。熊沢さん、おはようございます。
(熊沢)熊沢です。よろしくお願いします。
(高山)よろしくお願いします。
(大西)お願いします。
(高山)前半でクリニックのレセプト業務の状況を少しお話ししてきましたが、
実際にそういった課題に対して、何を使ってどういう風に解決していくのか、
また今後のクリニックに限らず病院や医療業界がレセプト業務をどうすべきかについて、
いろいろとお考えをお持ちかと思いますので、この後お伺いしていきたいと思っております。
その前に、一旦熊沢さんの自己紹介をしていただけますでしょうか。
(熊沢)承知しました。株式会社ミューテックスの熊沢と申します。現在、「レゼ」という、レセプト業務を生成AIで自動化するというコンセプトのサービスを開発しております。
最初は主に病院向けでスタートしているところではありますが、病院向けのレセプト業務について、先ほど大西様におっしゃっていただいた点検だけではなく、レセプト業務全体の一貫した修正や、返戻査定対応なども含めて自動化していくというコンセプトでサービスを開発しております。
当然、このサービスができればクリニックでも使えますし、クリニックさんの方が電子カルテなどのデータとの連携のしやすさといった体制が、すでに病院よりも整っている部分もあります。
そういった意味ではクリニック向けも今後は提供していく予定ですので、その辺りも含めてお話しできればと思っております。よろしくお願いします。
(高山)よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
それでは後半にじっくりとお聞きしていきたいと思いますので、今回はここまでとしまして、続きは次回にしたいと思います。
(高山)少しでも気に入っていただけましたら、番組のフォローをぜひお願いします。新しいエピソードがいち早く届きます。
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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。
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DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)
DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、クリニック運営・医療業務・医療ITに関する情報を中心に、複数の医療機関やサービス提供事業者への取材・情報整理を通じて、医療現場と経営の実務に即した情報整理・比較を行っている編集チームです。
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