【2025年最新版】クリニック向けPACS比較|クラウド型とオンプレ型の違いと選び方

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クリニック開業時、レントゲンやエコーなどの画像診断機器を導入するにあたり、画像の保存や管理方法にも目を向ける必要があります。
とくに電子カルテとの連携画像の長期保管を考えると、画像管理システム=「PACS(パックス)」の導入は検討必須です。

この記事では、開業医や開業を目指す先生方に向けて、

  • PACSの基本知識
  • クラウド型とオンプレ型の違い
  • 製品選びのポイント
  • 製品情報詳細

などを、わかりやすく網羅的に解説していきます。

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PACS(医療用画像管理システム)とは?画像管理に欠かせない医療IT

PACS(パックス)とは、Picture Archiving and Communication System(医療用画像管理システム)の略称で、X線、CT、MRIなどの医療画像をデジタルで保存し、院内で共有・閲覧できるようにするシステムのことです。

従来は画像をフィルムで保存していましたが、PACSの導入によってフィルムレス化が進み、

  • 過去の画像と新しい画像を並べて比較
  • 医師同士で画像を瞬時に共有
  • スペースを取るフィルム保管が不要になる

といったメリットが得られるようになりました。

なお、「画像ファイリングシステム」という呼び名もありますが、現在ではPACSとほぼ同義と考えて差し支えありません。

なぜ今、クリニックにもPACSが求められているのか

PACSはかつて、大病院向けの高機能システムという印象がありました。
しかし近年では、中小規模のクリニックでも検査件数が増加し、画像診断の重要性が一段と高まっています。

たとえば整形外科では術前・術後のX線画像の比較、循環器内科では心エコーの読影、さらに耳鼻科・眼科・内視鏡領域でも、PACSと連携して画像データを活用する機会が増えています。
こうした診療スタイルにおいては、画像の保存・管理体制が診療効率に直結するため、PACSの導入は大きな意味を持ちます。

加えて、医療法により画像データは最低2年間の保存が義務付けられていることに加え、地域医療連携や遠隔読影への対応も求められるようになりました。
こうした背景から、保存業務の省力化や物理スペースの削減、スムーズな情報共有といった点でも、PACSはクリニックにとっても今や不可欠なITインフラとなりつつあります。

クラウド型とオンプレミス型の違い

クリニックでは導入・運用のしやすさから、近年はクラウド型を選ぶケースが増えています。以下にクラウド型・オンプレミス型PACSのそれぞれの特徴をまとめました。

比較項目 クラウド型PACS オンプレミス型PACS
データ保存先 クラウド(データセンター)に保存。外部アクセスが可能。 院内サーバーに保存。ネットワークは院内完結。
導入初期費用 低コスト(数万円~)。専用機器不要なことも。 高コスト(数十~数百万円)。機器・サーバ構築など工事が必要。
月額料金 あり。データ量や機能に応じて変動。 基本なし。ただし保守費用は別途。
画像の閲覧性 インターネット経由で院外からも閲覧可能。 院内限定。高速通信が可能。
システム更新 自動アップデートで常に最新版。 更新作業は手動または業者依頼。
表示速度 通信環境により左右されるが、年々改善。 LAN経由で高速安定表示。
セキュリティ 暗号化・多重バックアップなど外部対策が必要。 物理的に院内完結できる分、制御しやすい。
カスタマイズ性 制限がある場合が多い。 自由度が高く、院内仕様に合わせやすい。

クラウド型PACSのメリット・デメリット

クラウド型PACSは、院内にサーバーを置かず、インターネット経由で画像データをクラウド上に保管します。

メリット
  • 導入初期費用を抑えやすく、ハードウェア保守が不要
  • 院外からも画像閲覧可能(在宅医療・遠隔読影に便利)
  • 自動アップデートで常に最新バージョンを利用


デメリット
  • 月額利用料が発生し、データ量が増えるとコスト増
  • 通信障害やセキュリティリスクへの対策が必要

オンプレミス型PACSのメリット・デメリット

オンプレミス型は、院内に専用サーバーを設置して運用します。

メリット
  • 通信環境に左右されず、画像表示が高速
  • カスタマイズ性が高く、院内システムとの連携に優れる


デメリット
  • 初期費用が高額(機器購入・設置工事など)
  • 定期的なメンテナンスや更新コストがかかる

PACSの費用相場・料金体系を比較【クラウド vs オンプレ】

PACSの価格体系は製品や方式によって大きく異なります。以下は参考例です。

費用項目 クラウド型PACS オンプレミス型PACS
初期費用 0~30万円程度(設置支援や端末費用を含む) 100万~300万円以上(機器購入・設置工事費を含む)
月額料金 15,000円~30,000円前後(画像容量・機能による) 基本的に発生しない(※保守費は別途)
保守・サポート 月額料金に含まれることが多い 年間契約が多く、費用は10万~50万円程度
拡張性・追加費用 保存容量無制限プランあり。予測しやすい モダリティ追加時に再構築・機器追加が必要
TCO(総保有コスト) 初期投資は抑えられるが、月額課金が継続 導入時の投資は大きいが、長期利用で割安になることも

運用期間中のトータルコスト(TCO)を試算したうえで、予算と将来運用のバランスを考慮することが選定のポイントです。
クラウド型では初期費用無料でも、機器は自身で購入することになります。また、PCやタブレット端末が電子カルテと共有が可能かどうかなど、総合的なコストの比較が必要です。

PACS選定のポイント:選び方と注意点

  • モダリティ対応と拡張性
    CT、MRI、エコー、内視鏡、眼科機器など、多様な画像形式に対応しているかを確認します。今後の導入拡張も見据え、柔軟な連携性がある製品が望ましいです。
  • 電子カルテや他システムとの連携
    電子カルテから画像を呼び出す、画像とレポートを統合管理する、といったシームレスな連携機能は業務効率に直結します。連携実績が豊富なPACSを選ぶことが重要です。
  • 操作性とDICOMビューアの快適さ
    読影や画像比較、拡大縮小といった日常操作が直感的かつスムーズにできるか、導入前にデモなどで確認しましょう。
  • セキュリティとサポート体制
    クラウド型であればデータセンターの安全性、オンプレ型であればバックアップやウイルス対策などのリスク対策が求められます。万一の際の保守対応体制も要確認です。

クリニック向けのクラウド型PACS製品情報詳細

ClimisクラウドPACSサービス/株式会社ジェイマックシステム

ClimisクラウドPACSサービス株式会社ジェイマックシステム
特徴保存容量無制限、端末・ライセンス数の制限なし。
画像および読影レポートのメール配信、遠隔読影依頼(オプション)に対応
環境Webブラウザベース
連携電子カルテ連携
費用・料金体系初期費用275,000円(ゲートウェイPC2台)、機器設置サービス費330,000円
月額16,500円(税込)。オプションの遠隔診断機能利用代金は1,100円/月。
サポート無料デモあり。導入後サポートは月額費用に含まれる

(出典:株式会社ジェイマックシステム公式HPhttps://www.j-mac.co.jp/expansion/climis/pacs/)

WATARU/株式会社スリーゼット

クラウド型PACS WATARU株式会社スリーゼット
特徴創業以来20年にわたり全国1,000以上のクリニックに導入。自社開発による豊富な開発事例・実績。
電子カルテメーカーの同意があればパソコンを共有可能。オプションでスマホやタブレットでの写真記録、健診画像の一括出力、帳票レイアウトでのレポート作成が可能。
環境WEBブラウザ。国内東西2拠点のデータセンターにて二重保管。暗号化・秘密分散による機密漏洩防止対策を実施。
連携電子カルテ連携
費用・料金体系初期費用0円
月額費用は要お問い合わせ
サポートライト保守プラン(リモート対応のみ)、 バランス重視プラン、 手厚さ重視プランを選択可能

(出典:株式会社スリーゼット公式HPhttps://3zweb.co.jp/product/wataru.html)

LOOKREC(ルックレック)/株式会社エムネス

LOOKREC(ルックレック)株式会社エムネス
特徴専用設備不要、低ランニングコストで導入可能。現役放射線科医が必要な機能だけに絞り、Google クラウド出身の技術者を中心に直感的に使いやすいシステムを開発。
オプション機能である「コンサル機能」や、遠隔画像診断のパイオニアとしての実績あり、システムを通して読影依頼が可能。
環境クラウド(WEBブラウザ)
連携電子カルテ連携、国際規格に準拠しているGoogle Cloudのシステム
費用・料金体系初期費用0円、更新費0円
月額費用は要お問い合わせ
サポートご利用中の保守対応電話サポート・出張サポート・パーツ交換※・年1回の点検

(出典:株式会社エムネス公式HPhttps://mnes-lookrec.com/)

SonicDICOM PACS Cloud/フジデノロソリューションズ株式会社

SonicDICOM PACS Cloudフジデノロソリューションズ株式会社
特徴アカウント毎にボタンの順番やレイアウトなどをユーザーの好みに合わせてカスタマイズ可能。医療機器ソフトウェア認証取得済み。往診先で撮影した写真をPACSにアップロードすることも可能。
環境Webブラウザベースのビューア
連携電子カルテ連携、Amazon Web Service利用
費用・料金体系初期費用0円、月額料金制。20日間の無料トライアルあり。
サポート

(出典:フジデノロソリューションズ株式会社公式HPhttps://ja.sonicdicom.com/md-cloud/)

NOBORI/PSP株式会社

クラウド型PACS NOBORIPSP株式会社
特徴さらに費用は月々の使用料のみで、初期投資は不要です。設置するのは“NOBORI-CUBE”と呼ばれる、コンパクトな専用アプライアンスサーバのみ。“NOBORI-CUBE”の種類と数を調整するだけで、大規模病院からクリニックまで、様々なスケールのシステムが構築可能です。
環境WEBブラウザ、データセンター二拠点、二重に保管することでデータを安全保管
連携院内システム連携
費用・料金体系初期投資無料、月額使用料のみ
サポート

(出典:PSP株式会社公式HPhttps://www.psp.co.jp/service/nobori_cloud.html)

クリニック向けのオンプレミス型PACS製品情報詳細

XTREK STATION/株式会社ジェイマックシステム

オンプレ型PACS XTREK STATION株式会社ジェイマックシステム
特徴直感的で分かりやすく、多彩なオプション機能を備えたクリニック向けコンパクトPACS。整形外科、脳神経外科など、画像保存容量が多く必要な診療科でも快適に使用可能。オプションでマンモグラフィ専用ビューアも搭載可能。
環境オンプレミス
連携要相談
費用・料金体系初期費用(機器購入+設置)
月額費用(ソフトウェア使用料+保守費)
サポート

(出典:株式会社ジェイマックシステム公式HPhttps://www.j-mac.co.jp/product/xtrek-station/)

Caps-Web/株式会社スリーゼット

オンプレ型PACS Caps-Web株式会社スリーゼット
特徴鼻咽喉科向け画像ファイリングシステム「EZCap」、眼科クリニック向け「EZCap Eye」、健診PACS「らくだ」など、診療科に特化
したシステムを提供するスリーゼットのオンプレPACS 。ユーザー毎に画面表示カスタマイズが可能で、職責ごとにロールを設定し
閲覧・編集・削除・出力などの権限を制御。マンモビューアは標準搭載。他院からの持込み画像も簡単に登録可能。
環境オンプレミス
連携要相談
費用・料金体系
サポート

(出典:株式会社スリーゼット公式HPhttps://3zweb.co.jp/product/capsweb.html)

Xronos/ライフサイエンスコンピューティング株式会社

オンプレ型PACS Xronosライフサイエンスコンピューティング株式会社
特徴ソフトウェアのみの提供が可能で、初期費用を抑えた導入が可能。
画像診断の専門医による画像診断報告書を提供する読影サービスあり。
環境オンプレミス、VPNを使用することによりセキュリティの安全を確保し、遠隔での画像閲覧が可能。
連携周辺システムとの柔軟な連携に対応
費用・料金体系120万円(年間保守料36万円~)※画像診断プログラム含む ※ハードウェア別途必要
※セットアップ、トレーニング等別途
サポート

(出典:ライフサイエンスコンピューティング株式会社公式HPhttps://www.lscc.co.jp/product/xronos.html)

モダリティも一緒にチェック

ポータブル超音波診断装置MUS-P0303

ポータブル超音波診断装置MUS-P0303

・簡単接続、起動で、迅速に観察開始
・画像の送信、遠隔地で活用も
・軽量、コンパクトで院内でも院外でも
・コンベックスプローブ(2.8 – 4.0 MHz)、リニアプローブ(6.7 – 12.5 MHz) ・Windows、Android両対応

PACS 選びのよくある疑問

PACSとは何ですか?
PACSとは「Picture Archiving and Communication System」の略で、レントゲンやCTなどの医療画像をデジタルで保存・管理・共有するシステムです。
クリニックにPACSは必要ですか?
はい。画像診断を行うクリニックでは、画像の保管義務や診療効率向上、患者説明のためにPACSの導入が重要です。
クラウド型とオンプレミス型の違いは?
クラウド型は月額制で初期費用が抑えられ、院外からのアクセスも可能。一方オンプレミス型は高速表示やカスタマイズ性に優れますが初期費用が高めです。
PACSの導入費用はどのくらいかかりますか?
クラウド型は初期費用0〜30万円、月額1.5〜3万円前後。オンプレミス型は初期費用100万円以上が目安です。
どのPACSが自院に合っているか、どう選べばよいですか?
診療科・モダリティ・電子カルテ連携・保守体制・費用感をもとに、比較検討・無料デモで使い勝手を確認することをおすすめします。

まとめ

PACSは、画像診断を伴うクリニックにとって、もはや必須のシステムです。
保存義務や診療効率だけでなく、患者とのコミュニケーション強化にもつながります。

「何から選べばよいかわからない」という方は、まずは電子カルテや検査機器との連携実績があるサービスを比較し、
無料デモや資料請求などで実際の使い勝手を確かめてみるのがおすすめです。DOCWEBのサイト内から無料で資料をダウンロードいただけますので、ぜひご活用ください。

本記事が、先生方のPACS選びの一助になれば幸いです。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
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