医療機関の病院求人応募数の減少について調査を実施―首都圏では新型コロナワクチン接種の影響で「応募が減った」62%

新型コロナワクチンの自治体接種・職域接種への医師紹介を行っている、医療人材総合サービスの株式会社エムステージ(本社:東京都品川区、代表取締役:杉田 雄二)は、医師のスポット(単発)非常勤求人に占める健診求人(ワクチン接種などの予防接種・健康診断業務)と病院求人(外来や病棟管理などの臨床業務)の応募数の比較を公表した。
新型コロナウイルスワクチンの自治体接種に加え、職域接種に対応する医師の非常勤求人募集が始まり健診求人の応募が増える一方で、病院求人への応募が減少している状況について、株式会社エムステージの吉丸智子氏が解説する。

調査結果のサマリー

1.医師求人サイト『Dr.アルなび』の求人、1求人あたりの応募数の推移において、臨床に対応する病院求人への応募数が減少。ワクチン接種求人募集の影響が考えられる。

2.医療機関へのアンケートでは、ワクチン接種求人の「影響はない」が63%と全国的には影響がないが、首都圏1都3県の医療機関に限定すると、62%が「応募が減った」と回答。

3.接種の長期化は、医療機関の人件費高騰や常勤医の負担増につながる恐れも。ワクチン接種のスムーズな実施が望まれる。

■1.臨床に対応する病院求人への応募が減少している

医師アルバイト求人サイト『Dr.アルなび』に掲載された求人、1求人あたりの応募数が、2021年5月頃より病院求人(外来や病棟管理などの臨床業務の求人)において減少している。反対に、ワクチン接種等の業務が含まれている健診求人の1求人あたりの応募数は高い状態が続いている。

新型コロナウイルスワクチンの自治体接種に加え、職域接種に対応する医師の非常勤求人募集が開始されて以降、「外来や病棟管理といった病院の臨床業務求人への応募が減っている」という相談が医療機関からも寄せられるようになり、ワクチン接種への協力に手を上げる医師が増える一方で、その影響により病院の臨床求人への応募が減っていると予想される。

■2.ワクチン接種に関連した病院求人の応募減少は、首都圏での影響が顕著

全国の医療機関に「新型コロナワクチン接種の求人募集開始により、臨床に対応する非常勤求人への応募状況に影響があったか」について2021年7月26日~8月2日の期間でアンケートを実施したところ、全国的には「影響はない」の回答が63%となった。
一方で、職域接種の対象となる1000人以上の接種者を集めることのできる大企業や企業本社が多く所在する首都圏1都3県※のみを抽出した場合では、「応募が減った」の回答が62%となった。
人口が多く、また自治体接種だけでなく職域接種も多く行われている地域において、応募が減ったという実感があるといえる。

※首都圏1都3県:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県

■3.接種の長期化は、医療機関の人件費高騰や常勤医の負担増につながる恐れも

現在実施されている新型コロナワクチンの大規模な接種においては、多くの医師の動員が必要となっている。新型コロナ収束に寄与したいという思いを持つ医師が多く協力する一方で、病院求人の応募が減っている状況がみられる。職域接種では大企業の本社など、都心のアクセスが良い場所が勤務地となることや、接種に対応する医療者の給与が高騰していることも原因として考えられる。
スムーズな接種の実施により、早期に大規模接種を完了し、まだ十分ではないかかりつけ医での接種体制などを整えていくことで、首都圏の病院で非常勤医師が不足しているという状況を緩和することができる。
医療機関が非常勤医師を採用する大きな理由のひとつは、常勤医師の負担軽減。接種の遅れにより大規模接種や職域接種が長期化すれば、人件費の高騰による医療経営の圧迫、常勤医師への負担増という状況につながりかねない。一刻も早い、ワクチン接種の推進が望まれている。

<1求人あたりの応募数データ概要>
医師アルバイト求人サイト『Dr.アルなび』に掲載されたスポット(単発)アルバイト求人の求人数と応募数をもとに集計。
集計日:2021年8月3日
対象エリア:全国

<アンケート調査概要> 
実施期間:2021年7月26日(月)~8月2日(月)
有効回答:86院
対象者 :全国の医療機関
回答方法:WEBを利用したアンケート調査

解説者:株式会社エムステージ 取締役 MHR事業部 医師紹介部 部長 吉丸 智子氏

本件に関するお問い合わせ先

株式会社エムステージホールディングス
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