クリニックを発展させる組織づくり#3

自分以外が女性でうまくマネジメントできる自信がありません…

「理念経営を行えば、社員はついてくる、成長すると聞いていたのに、ここ数年、なんだかただ忙しいだけになっている気がする…」
「女性スタッフに常に気を遣っていて、常に孤独…」
「指示をするも、スタッフの離職を恐れて、強く指示できない…」
「部下が全く成長せず、院長の私がトッププレイヤーで居続けなければいけない」

など、クリニックの院長に付きまとうマネジメントの問題。実は、上記のような問題は、リーダーである院長のマネジメントのやり方を変えるだけで解決する問題であるとご存じでしょうか。
この連載では、組織を成長させるマネジメント方法のベストプラクティスとして2000社以上が導入し、クリニックにも多数導入されている「識学」を解説していきます。識学の視点で「上司」と「部下」の人間関係に悩む全ての院長に対処法や予防法をお伝えしていきます。

プロフィール>

株式会社識学 識学講師
早川拓幹
https://corp.shikigaku.jp
株式会社識学にて組織マネジメントのコンサルティングに従事。日々、経営者に組織マネジメントの原理原則を伝え、実践を支援。
前職では、営業部長として寄り添い型のマネジメントを実践するも、組織の成長や部下の成長という観点で疑問を抱き、苦しんだ経験から日々経営者に識学の重要性を伝えている。
法政大学社会学部卒業。

相談内容:自分以外が女性でうまくマネジメントできる自信がありません

今回のテーマは女性特有のマネジメント手法が存在するのか?という点です。
結論から申し上げると、「性別によってマネジメントのやり方を変える必要はない」というのが答えになります。
ところが、女性だから誕生日にプレゼントを贈る、女性だから「いつもありがとう」と院長から積極的に声がけしてしまう等、院長が過剰に女性スタッフに気を遣っているケースを見てきました。
また、女性のマネジメントに派生して出てくるのが、いわゆる「お局様」という存在です。「お局様」つまり古くから在籍しているという理由だけで自分の責任範囲外のことにも首を突っ込み、自分の配下に女性陣を率いるタイプのことを指します。「お局様が怖くて新人が集中して仕事に取り組めていない」ということに頭を抱えている院長も見てきました。
それでは、こうした問題に対し、絶対やってはいけない日々の言動を挙げていきます。

やってはいけない

1.求める成果を明確にしないほうが頑張れると思い、求めていることを明確に提示しない

「女性だから厳しいことが言えない」「厳しいことを求めてしまうと辞めてしまうのではないか」と恐れて、女性スタッフに求めている成果を明確に提示できないというケースを見てきました。これをやってしまうと、組織として求められているものが明確にならず、院長とは違う方向を向いて「仕事をやった感」が出てしまいます。また、優秀な人ほど求められる成果が不明確な状態の中で「良かれ」と思って様々なことに取り組んでいきます。ですが、それらが本来の院長の求めている成果とズレてしまうため、やったことに対して評価に繋がらないということが起こります。すると、評価に対する不満が出てきて、「突然離職する」なんていうことも発生しかねません。
ですので、すべてのスタッフに対して求めている成果を明確にすることが重要です。

2.「私が新人教育します」と頼りになる発言をする人に教育を頼ってしまう

これもついついやってしまいがちですが、明確な教育責任がないのに、古くからいるという理由だけで管理職でない人に教育を任せてしまうケース。(このケースがお局様を生んでしまう典型例です。)「私が新人さんの教育担当しましょうか?」と管理職でもないスタッフから言われるとついつい「頼りになるな、お願いできる?」と頼ってしまうケースがあります。これをやってしまうと、責任がないにも関わらずやりたい放題やれる状態を作ってしまい、さらには、その影響で組織の中での影響力が高まっていくということが起きてしまいます。そして、知らないうちに入ってくるスタッフがお局様の顔色を窺って仕事をするようになるなんてことが起きてしまいます。

3.プレゼントをあげれば会社を辞めないだろうと思い込んでしまう

これは院長だけでなく、院長の奥さんが組織に入っている場合にも発生する傾向があります。人材確保が難しい業界、働いてくれている社員が辞めないようにプレゼントをあげて感情的につなぎ止めようという発想です。あくまで制度として用意しているのであればいいのですが、プレゼントをあげたからやめないだろうというのは勘違いです。感情的につながっている会社だから辞めないのではありません。離職の要因は他にあります。
以上の3点が、代表的な女性特有のマネジメントが必要と思いやってしまいがちなことですが、実際にどうすれば、立て直しが可能になるでしょうか。

解決策

①役割を定義し、責任範囲を明確にする

そもそも各スタッフは何をすべき存在なのか?院長が、スタッフに何を求めているかをスタッフとの認識のズレがないように設定してください。ここがズレていると、院長が戦略を実行しようとしても、誰が責任をもって院長が決めた役割を実行するのかが明確にならず、役割の認識がズレてしまったり、抜け落ちてしまったりして、戦略が絵に描いた餅状態になってしまい、全く機能しない組織状態になってしまう危険性があります。

②評価が下がると給与が下がる評価制度を用意する

スタッフには「ストレスがない環境を用意しなければいけない」と考え、給与が下がる仕組みを用意していないことがほとんどです。ですが、成果を上げられない恐怖は「余計なストレス」ではなく「必要な恐怖」です。死につながらない恐怖は不必要といえますが、死(倒産・解雇)につながる恐怖は「必要な恐怖」としてスタッフに捉えさせなければなりません。その一環として、制度として評価が下がれば給与が下がるという評価制度を用意して、スタッフの集中力が上がる環境を用意しましょう。

以上のように、女性であっても、役割や責任を明確にし、何をしたら評価されるかを認識させ、感情で繋ぎとめることをしないように意識して、マネジメントしていただきたいと思います。
改めて、自社の役割定義、評価制度の中身を確認してみてください。自組織の役割定義、評価制度がスタッフが集中できるものになっているかが不安な方は、ぜひお問い合わせください。「DOC TOKYOを見た」と言っていただけたら私がチェックさせていただきます。

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