診療フローで患者から嫌われないためにできること_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード34全文書き起こし

Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード34全文書き起こし

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

オープニングトーク

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第34回始まりました。大西さん今回もよろしくお願いします。

(大西)よろしくお願いします。
今日のテーマは何でしょうか?

今日のテーマ:診療フローのシミュレーションの重要性


(高山)今日のテーマは診療フローについてです。

(大西)開業前に診療のシミュレーションやロールプレイング、いわゆる「模擬診療」を行う医院が多いですが、実はこれ、非常に重要です。

開業コンサルタントの方から「何日か模擬診療をしましょう。10人くらいの患者役を作ってやってみましょう。」と言われることも多いと思いますが、いきなりやっても、多くの場合、うまくいかないんです。

(高山)そうなんですか。

(大西)診療フローを整理しないまま始めると、「あれ?これ何だっけ?」とグダグダになりがちで、結局うまく終わらないんです。

(高山)よくある失敗のようですね。

(大西)まさに。今日は、シミュレーションや模擬診療をスムーズに進めるためのポイントについてお話したいと思います。

(高山)具体的には、診療フローがグダグダにならないようにするにはどうすればいいのでしょうか?

(大西)これから詳しくお話ししますね。

グダグダな診療フローに陥るクリニックの特徴:準備不足と経験不足

(高山)診療フローがスムーズにいかないクリニックには、どんな特徴があるのでしょうか?

(大西)以前の放送でも触れましたが、オープニングスタッフとして経験がない人が多いと、具体的なイメージが湧かないことが大きな原因の一つです。

(高山)なるほど。

(大西)例えば、模擬診療で患者役を割り当てても、受付業務から戸惑ってしまうケースが多いんです。

マイナンバーの確認、保険証の確認、登録方法など、一つ一つ確認しながら進めるため、1人の患者に想定以上の時間がかかってしまいます。

「10人やりましょう」と言っても、6時間くらいかかってしまうことも珍しくありません。

(高山)1人あたり30分以上かかってしまう計算ですね。

(大西)さらに、「保険証はどうやって入れるんでしたっけ?」といった質問も出てきます。これでは、実際の診療で混乱してしまうのも当然です。事前に頭の中で整理しておくことが重要ですね。

受付業務のシミュレーション方法:細かい点まで決めておく

(高山)受付業務をスムーズに行うための具体的な方法を教えていただけますか?

(大西)受付業務一つとっても、細かい点まで決めておく必要があります。

例えば、自動ドアが開いた瞬間に挨拶をする。

何時から何時の間は「おはようございます」、何時から何時は「こんにちは」のように、時間帯によって挨拶を変える。

最初の声かけも「おはようございます。今日はどうされましたか?」なのか、「マイナンバーカードはお持ちですか?」なのか、クリニックの運用に合わせて決めておく。

問診票についても、紙で渡すのか、ウェブ問診なのか、既にウェブ問診で入力済みの場合はどう対応するのか、など、想定されるパターンを網羅しておくことが重要です。

問診票の確認後、患者さんの名前を呼ぶかどうかも決めておきましょう。

シミュレーションで想定すべきケース:保険証の種類、外国人患者、システムトラブル

(大西)保険証の種類も様々です。

保険証のみの方、公費負担医療証をお持ちの方、生活保護、自立支援医療、ひとり親家庭など、様々なケースを想定して練習しておく必要があります。

最近では外国人患者も増えているので、保険証の有無や在留資格なども確認が必要です。

想定外の事態への対応:システムトラブル、イレギュラーケース

(高山)システムを導入したものの、想定外のトラブルが発生することもあると思います。

以前、オープンしたばかりのクリニックを受診した時の話をしたいと思います。

ウェブ問診、LINE予約など、システム化が進んでいて便利でしたが、子供の受診で私の名前ではなく子供の名前にて登録したため、後日私が予防接種を受けようとした際に自分の登録ができませんでした。

結局、家族追加という形で私の名前を入れて予約したのですが、「13歳ではないですよね?」と言われてしまい、戸惑ってしまいました。システム上の不具合も想定しておく必要がありますね。

(大西)おっしゃる通りです。システムを導入したからといって、全てがうまくいくとは限りません。

朝起きたら電源が入っていない、システムの操作方法を間違えて困ってしまう、インターネット回線が止まっている、電子カルテの入力が想定通りにできないなど、様々なトラブルが考えられます。

(高山)実際の診療では、患者さんがLINEの友達登録を拒否するケースもあるかもしれませんね。診察券を廃止した場合はどう対応すればいいのでしょうか。

(大西)やむを得ず診察券を発行するしかありません。

イレギュラーなケースも想定しておく必要があります。

予約システムについても、予約の有無、予約なしで来院された場合の対応、順番待ちのルール、横入りが発生した場合の対応などを決めておきましょう。

受付でクレームが発生する原因の多くは、こういった想定外の事態への対応が不十分なことが原因です。

診察時のシミュレーション:誰が患者を呼ぶのか、検査後の呼び入れ

(大西)診察が始まってからの流れもシミュレーションしておきましょう。誰が患者さんを呼ぶのか、先生、看護師、受付スタッフ、それとも院内放送を使うのか。

検査のために一旦診察室から出た患者さんを、どのようなタイミングで呼び戻すのかも決めておく必要があります。

シミュレーションの回数:2回以上実施し、本番に近い形で

(大西)よくある病気を10個くらいリストアップし、診療科ごとにシミュレーションを行うと、漏れが少なくなります。

内科であれば、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病、インフルエンザなどの感染症、風邪などを想定しましょう。

(高山)主要な10個以外の事例が出てきた場合はどうすればいいですか?

(大西)そういったケースに対応するための大まかなルールを決めておくことが重要です。

検査の有無、院内検査か院外検査か、次回来院時の予約の有無なども事前に決めておきましょう。

紹介状の発行についても同様です。シミュレーションは最低2回は行いましょう。

1回しかやらない、それも前日に行うようでは、十分な準備とは言えません。

個別指導とカルテ記載、レセプト点検:事前準備でミスの軽減

(大西)前回の個別指導の話にも繋がるのですが、カルテの記載方法、レセプト点検の流れも事前に決めておくべきです。

病名、内容確認のタイミング、カルテ記載のOK/NG、会計処理までの一連の流れをシミュレーションしておきましょう。

(大西)「病名は後回しでいいか」「とりあえず進めよう」といった曖昧な判断は、ミスの温床になります。

「とりあえず」をなくし、なぜ診察したのか、なぜ検査したのか、根拠に基づいた行動を心がけましょう。

開業準備全体:土地探し、ホームページ、スタッフ採用

(高山)開業準備は本当に大変ですね。

(大西)土地探し、ホームページ作成、スタッフ採用など、やるべきことはたくさんあります。

いい場所を見つけ、SEO対策が万全なホームページを作れば、ある程度の患者さんは来院されます。しかし、患者さんが「もう2度と来るものか」と思ってしまうようなことがあれば、せっかくの努力も水の泡です。

(大西)そうですね。システムに振り回されて柔軟な対応ができなくなるケースも多いので注意が必要です。

まとめ

(高山)大西さん、今回もありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。

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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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