「自分は開業医に向いていない?」と思った医師が読む”調整力”で補う開業適性の考え方【クリニック開業見通しサポートガイド】

「自分は開業に向いていない?」 と思ったら読む、 “調整力”で補う開業適性の考え方

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はじめに

「開業してやっていけるのか、自分には向いていないのではないか」

開業を考える多くの勤務医が、最初に直面するこの問い。しかしこの問いに対して、性格や性質の”向き不向き”で判断しようとすると、かえって不安や迷いが大きくなることもあります。
本記事では、巷でよく語られる「開業に向いている人・向いていない人」の特徴を整理しつつ、
クリニック経営を「自分に向いているか」ではなく、「どう設計し、どう補完するか」の視点で合理的判断をサポートします。

一般に語られる「開業に向いている人、向いていない人」

一般的によく語られる「開業適性」の解釈は、以下のように表にするとわかりやすくなります。

向いている人・向いていない人の比較
項目 向いている人 向いていない人
コミュニケーション能力 スタッフや情報との
コミュニケーションが強い
チームマネジメントが苦手
決断力 スピード感のある
決断ができる
決断を先送りしがち
統合力 多職種をまとめる
マネジメント能力が高い
元の職種の背景に
気を使いすぎる
性格 前向きで、
試行錯誤ができる
リスクを
回避しがち

このような指標は、ある程度のメタにはなりますが、これだけで判断するのは危険でもあります。

「向いていない人」は開業するのをやめたほうがいい?

答えは「ノー」です。
上記の指標はすべて「一人で開業を完結するとしたら」という前提の下の評価ですが、実際の開業は「チームを組んで構築するビジネス」です。

  • 優柔不断 → 信頼できる専門家(会計士・内装・ベンダー)に判断フレームを委ねる
  • 経営が苦手 → 経営管理は事務長や外部支援に委託する
  • 患者との距離感 → 自分の専門性で勝負し、サポートスタッフとの連携で補う

他者の力を借りることで補っていける場面は多数あります。
実際に、性格的に「経営者らしくない」タイプの院長も多数存在しています。

大切なことは、院長自身が「どんなクリニックにしたいか」という方向性と理念をしっかり持っていることです。
理念さえ明確であれば、方向性がぶれることはありません。

そして、理念を実際の診療体制や経営に反映させていくには、周囲との「調整力」が欠かせません。
スタッフや外部の専門家、さらには患者ニーズとの間でバランスを取りながら、理念を現実の形にしていく。
この調整力こそが、開業適性を語るうえでの核心部分です。

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構造で補える「適性」──外注と院長の役割を切り分ける

「経営が得意でない」「集患に自信がない」「マネジメントが苦手」といった不安は、必ずしも“向いていない”ことを意味しません。
むしろ、これらの多くは構造で補える要素です。以下の表は、開業後に発生する代表的なタスクを「外部に任せられること」と「院長が担うべきこと」に切り分けたものです。

院長と外部スタッフの役割分担
領域 外注・スタッフで対応可能 院長が調整すべきこと
集患・マーケティング ホームページ制作、SEO対策、リスティング広告運用など 自院のターゲット患者像や診療方針を明確化する
経理・財務 税理士・会計士への業務委託 支出・収入のバランス感覚、意思決定への責任
人材採用 採用媒体運用、応募対応、紹介会社の活用 最終的な人物選定と医院理念とのマッチング判断
受付・会計業務 自動精算機・レセコン・予約システム導入など 患者体験に合ったオペレーションの設計
内装・機器 ベンダー、施工会社による設計・導入 予算内での優先順位付け、診療スタイルとの整合性
運営全般 事務長や看護師長に一部業務を委任 院内文化の形成、ビジョン共有の場づくり

このように見ると、開業の適性とは「すべてを自分でこなす力」ではなく、「何を任せ、何に自分が関与すべきかを判断できる力」であることが分かります。

診療科によって異なる“適性の現れ方”

開業における適性は、診療科によって重視される能力のウェイトが異なります。

たとえば、整形外科や皮膚科は一定の自費診療や施術導入が想定されるため、収益設計の視点や導線設計のセンスが求められます。一方で、内科や小児科は近隣との連携や通院しやすさの工夫がより重要になります。

以下は診療科ごとに強く求められる視点の一例です。

診療科ごとの重視視点と調整ポイント
診療科 特に重視される視点 調整すべきポイント例
内科 生活習慣病患者の通院継続性 診療圏特性/アクセス性/継続通院の仕組み
小児科 家族単位での信頼形成 受付体制/予防接種計画/感染症対応のゾーニング
整形外科 高齢者とスポーツ層への多面的な対応 リハビリ導線設計/機器選定/紹介先病院との関係性
皮膚科 自費診療とのバランス 価格設計/施術メニュー選定/ブランディング
眼科 高額検査機器の選定と運用 ROIシミュレーション/診療単価設計/スタッフ教育

こうした違いは、「向いている/向いていない」という評価ではなく、「どこに重点を置いて設計すべきか」という観点で捉えると合理的です。

まとめ──“適性”は、単独ではなく構造で支えるもの

医師が「自分に開業は向いているのか」と悩む背景には、「すべてを自分でやらなければいけないのでは」という誤解があります。

しかし実際には、

  • 理念を明確に持ち
  • 外部の支援やチーム体制を活用し
  • 自ら調整すべき要素にだけ集中する

この3点が整えば、多くの医師が自分らしい形でクリニックを成立させることができます。

開業の適性とは、生まれ持った才能ではなく、「方向性の明確さ」と「調整の力」、そして「支援を得ることをいとわない柔軟性」にあります。

迷いのある医師ほど、支援先とともに一つずつ構造を整えていくことで、着実に“自分に合った開業”を形にしていけるでしょう。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

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