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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
(高山)おはようございます。パーソナリティのドックウェブ編集長、高山豊明です。
(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、第85回始まりました。大西さん、今回もよろしくお願いします。
(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?
機能する評価制度の作り方
(高山)今日のテーマは、前回の続きで、「どのようなスタッフを揃えるべきか」というお話の中から、特に「評価制度」について深掘りしていきたいと思います。
前回お話ししたようなスキルや性質を持ったスタッフを揃えるために、どのような評価制度を構築すれば良いのか、という点についてお伺いします。
(大西)なかなか機能する評価制度をどう作るか、というのは、クリニックの現場では難しいテーマです。
そのあたりを少し深掘りしてお話しできればと思います。
(高山)では、この後よろしくお願いします。
(大西)お願いします。
評価制度の基本設計と評価項目の設定
(高山)評価制度というと、かっちりと作り込まなければならないイメージがあります。
また、細かく設定しすぎて、結局続かなくなってしまう、ということも起こりがちです。
本当に機能する評価制度は、どのように作っていけば良いのでしょうか。
まずは、その考え方から教えてください。
(大西)評価制度を作る際には、まず前回お話ししたような「対人能力」「事務能力」「協調性」「ITスキル」「整理整頓能力」といった評価軸を設定します。
それらを、例えば5段階や4段階で評価していくわけですね。
ちなみに、4段階評価を採用するケースもあります。
これは、評価者がつい真ん中の評価をつけてしまうことを避けるためです。
(高山)なるほど。5段階だと、つい「3」を選びがちですからね。
(大西)全員が「3」だと、評価の意味がなくなってしまいます。
そして、評価項目を細かく設定しすぎると、評価する側の負担が大きくなってしまいます。
一つの能力に対して、評価項目は2つか3つに絞るのが良いでしょう。
(高山)例えば、「対人能力」であれば、具体的に2つか3つの項目に分解する、ということですね。
(大西)そうです。「院内でのコミュニケーション」「患者さんとのコミュニケーション」「経営者とのコミュニケーション」というように、要素を分解していきます。
誰が評価するのか?評価者の選定と育成
(大西)そして、評価制度を運用する上で非常に重要なのが、「誰が評価するのか」という点です。
(高山)基本的には院長先生でしょうか。
(大西)院長先生だけだと、どうしても自分と近いスタッフの評価が高くなってしまう傾向にあります。
(高山)気が合う人や、話が通じやすい人には、つい甘い評価をつけてしまいがちですね。
(大西)そうなると、院長先生と接点が少ないスタッフとの間に不公平感が生まれてしまいます。
ですから、できればもう一人、評価者を立てるのが理想です。
(高山)院長先生と、もう一人。例えば、部門のリーダーなどが考えられますね。
(大西)あるいは、外部の人間でも構いません。
(高山)評価シートには、評価者の欄が2つある、というイメージでしょうか。
(大西)いえ、基本的には「自己評価」「他人評価」「リーダー評価」の3つの視点を取り入れます。
評価制度の属人化を防ぐ相互評価の仕組み
(高山)クリニックのような比較的小規模な組織で、院長先生以外にも評価者を立てると、その人の権力が強くなりすぎてしまう、ということはありませんか?
(大西)その点は、相互評価の仕組みを取り入れることで解決できます。つまり、リーダーは部下から評価されるのです。
(高山)なるほど。そして、役職によって評価項目も変わってくるわけですね。
(大西)その通りです。リーダーにはリーダー向けの、新人には新人向けの評価表を用意します。
(高山)しかし、それぞれの役職に合わせた評価制度を設計するのは、かなり大変そうですね。
(大西)だからこそ、専門家に外注するケースが多いのです。
「評価表のテンプレートはありませんか?」と聞かれることも多いのではないでしょうか。
よく聞かれますが、たとえ持っていたとしても、安易にお渡しすることはできません。
評価制度の設計は、専門家のノウハウが詰まった、価値のあるものだからです。
(高山)そうですよね。クリニックの理念や目指すチーム像によって、評価の重点も変わってきますからね。
(大西)ただ、実際にはある程度、使い回しが効く部分もあります。
(高山)評価制度の構築は、フォーマットを作成して終わりではありません。
評価者のトレーニングも含めて、1年がかりのプロジェクトになることも珍しくありません。
(大西)定着させ、うまくツールとして活用できなければ、意味がありませんからね。
評価者トレーニングの重要性
(高山)評価者に対するトレーニングでは、具体的にどのようなことを行うのでしょうか。
(大西)まずは、「評価者としての心構え」です。平等とは何か、絶対評価と相対評価の違いなどを学びます。
そして、評価項目の理解も重要ですね。
そうです。「この項目で『5』と評価するのはどういう時か、『1』と評価するのはどういう時か」といったことを、具体的なケーススタディを通して学んでいきます。
評価者は、必ずしも評価制度の設計者ではないため、項目の意図を正確に理解していないケースも多いのです。
(高山)なるほど。作った人が、評価者をトレーニングする必要があるのですね。
(大西)院長先生が作ったのであれば、院長先生が教えるべきです。
しかし、もし院長先生が作った評価制度がいまいちだと、チーム全体が違う方向へ行ってしまう可能性もあります。
(高山)ネットで拾ってきたテンプレートを、安易に流用するのは危険ですね。
評価制度設計における第三者の視点
(大西)評価制度を設計する上で最も重要なのは、それがクリニックの「経営理念」に一致しているかどうかです。
(高山)しかし、自分では良いと思って作ったものでも、他人から見ると矛盾している、ということはよくあります。
誰にチェックしてもらうのが良いのでしょうか。
(大西)顧問の社労士や税理士など、第三者の視点を持っている人に相談するのが良いでしょう。
例えば、「あのスタッフは問題児だ」と院長先生が思っていても、第三者から見ると、そうは見えないケースもあります。
意見が強い、ということは、見方を変えれば「積極的」だということです。
(大西)「出る杭は打たれる」ような評価制度では、そうした人材を正当に評価できません。
前回の話にもありましたが、「成長意欲」や「業務改善への発想力」といった軸で評価してあげる必要があります。
ワークショップ形式でつくる「みんなの評価制度」
(大西)私が評価制度の設計をお手伝いする際は、必ずマインドマップを使います。
(高山)どのように使うのでしょうか?
(大西)まず中心に「当院にとって優れたスタッフとは?」というテーマを置き、そこから「対人能力」「事務能力」といった要素を枝分かれさせていきます。
そして、それらの要素をさらに具体化していく。この体系図を、スタッフみんなで考えるのです。
(高山)みんなで考える、というのは良いですね。
(大西)ワークショップ形式で進めることで、様々な視点が取り入れられ、スタッフの同意も得やすくなります。
同意が得られない評価制度は、形骸化してしまいますからね。
(高山)「あの評価制度さえなければ…」と、悪者扱いされてしまう。
(大西)そうならないためにも、評価制度を作るまでの「プロセス」が非常に重要なのです。
(高山)そして、作った評価制度は定期的に見直し、評価者のトレーニングもワークショップ形式で行う。
(大西)リーダー同士で評価し合ってみる、といったことも有効です。
そうしたやり取りを通じて、経営としての一体感や、目指すべき方向性の共有が図られていくのです。
(高山)今回は、機能する評価制度の作り方について、非常に本質的なお話を伺うことができました。
次回は、さらに具体的な運用の方法について、お話ししていきたいと思います。大西さん、今回もありがとうございました。
(大西)ありがとうございました。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、最後までお聞きいただきましてありがとうございました。
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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。
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DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)
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