株式会社フォーカスシステムズ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:森 啓一)は、横浜市立大学放射線診断学教室(宇都宮 大輔教授、石渡 義之助教)と、脳の核医学検査において、「SPECT装置」で生成された画像をAIで高精度化する共同研究(以下、「同研究」)を開始した。
認知症やパーキンソン病等の診断にはSPECT検査が必要とされている。「SPECT装置」の中でも、高性能・高価な「SPECT/CT装置」と、CT一体型でない比較的安価な「SPECT装置」があるが、同研究では「SPECT装置」でも「SPECT/CT装置」と同等の医用画像を生成することを目指している。
この実現により、患者は医療分野において課題視されるCTによる放射線被ばく線量を抑えられるほか、病院・クリニック等でも高価な「SPECT/CT装置」を導入することなく精度の高い画像診断を行えるようになり、より多くの人が安全で高精度な医療を受けられる環境作りへの貢献が期待できる。
SPECT検査の意義・撮像の課題
SPECT検査は、微量のガンマ線(放射線の一種)が含まれた検査薬を注射し、体内に取り込まれた検査薬から放出されるガンマ線を検知して画像化(撮像)する「核医学検査」手法の一つ。CTやMRIが臓器の形や大きさを調べるのに対し、核医学検査では臓器の機能的な変化を画像情報にして異常の兆候を読み取るため、病気の早期発見が可能となる。
SPECTによる撮像においては、放出されるガンマ線が体内で減弱する相当分、放射分布情報を真の値に近づけるために補正(SPECT吸収補正)するのが一般的である。主な補正手法として、CTによる「CTAC法」や、特定の係数を乗じる「Chang法」が挙げられるが、「Chang法」では骨や軟部組織等遮蔽物による減弱の不均一性により、正確な吸収補正ができない手法とされている。
AIによる高精度な吸収補正を実現
同研究では、吸収補正前の画像と、CTAC法を用いてCTにより吸収補正されたSPECT画像をAIに学習させ、深層学習モデルを構築する。この深層学習モデルを利用して、吸収補正前の画像からSPECT吸収補正画像(CT吸収補正画像に相当)を出力することで、安価な「SPECT装置」での撮像精度を、高価な「SPECT/CT装置」と同等の精度とすることを目指す。
「医療×AI画像処理」分野において向上させる同社の「存在意義」と「事業価値」
同社は同研究において臨床画像で診断能を比較し、2022年以降には関連病院を中心とした多施設での研究を進める計画がある。中長期的な視点でAI活用の幅を広げるべく、多彩な「医療×AI画像処理」研究を通して蓄積する知見・技術を基に、脳梗塞・てんかん・認知症等の診断に使用されている「脳血流シンチグラフィ」への応用にも対応していく考え。同社は、過去から続く一連の戦略的かつ継続的な取組みを通じて、「医療×AI画像処理」分野における存在意義と事業価値を高めるとともに、事業機会の獲得を目指していく。
本件に関するお問い合わせ先
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