アフターコロナのクリニック経営#8

#8 クリニック経営を継続するために利益を出し続ける

Q .クリニックの利益を出し続けるにはどうすれば良いでしょうか?

A .売上を上げる、経費を下げる方法を考え続けましょう。売上を上げ続けるにはコ・マ・チを整え続けなければなりません。

クリニックの経営を継続するには適切な利益を出し続けなければなりません。
利益が出なければお金が不足して支払いをすることができなくなってしまいます。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で利益が大幅に減ってしまい元に戻らないというクリニックが数多くあります。適切な利益を出し続けるためにはどうすれば良いのかを考えてみましょう。

クリニックの利益は以下のように計算されます。

「利益=売上−経費」

この計算式から利益を増やすためには

1.経費を減らす
2.売上を上げる

という二つの方法があることがわかります。今回はこの二つの方法について説明します。

1.経費を減らす

まず、経費を減らすことについて。
利益が減った時にすぐに手が打てるのは経費を減らすことです。全ての経費の明細を見ながら不要なものがないかどうかをチェックすることから始めましょう。

長年経営をしていると知らぬ間に経費が増えてしまうことがあります。
新型コロナウイルスは経営にとってマイナス要因ですが、無駄な経費を見直し削減できる良いチャンスでもあります。
ほとんど効果が出ていない広告費、節税目的で加入しすぎている生命保険、使いすぎている交際費などメスを入れるべき経費は数多くあります。スタッフの人件費は法律的な問題などから削減は困難ですが、経営者である理事長や理事の報酬は問題なく削減できます。

医療法人の場合、不必要に過大な理事報酬になっていないかなど、適切な理事報酬額を考えることで経費の大幅削減が可能となることがあります。
また、理事長の生活での出費額を見直すことで理事報酬を減額することも可能です。生活水準を下げることに抵抗があるかもしれませんが、無駄な不動産のローンや、必要以上に高額の保険料・貯蓄などを見直すだけで大幅な出費削減が可能になることがあります。
課税所得が1800万円を大幅に超える理事報酬を得ている場合であれば、個人の月額出費を50万円減らすだけでクリニックの月額出費を100万円減らすことができます。
これだけで年間1200万円の経費削減になるのです。
先行きが不透明な時代にはクリニック経営の経費、個人の出費をコンパクトにしておくことが経営を安定させるために有効な手段になります。
しかし、経営においても個人の生活でも最低限必要な経費額というものがあり、経費削減にも限界があります。

そこで、併せて、売上を上げる対策を打つ必要が出てきます。

2.売上を上げる

売上は以下のように計算されます。

「売上=診療単価×患者数」

この計算式から売上を上げるには

(1)診療単価を上げる
(2)患者数を増やす

という二つの方法があることがわかります。

まず、診療単価を上げる方法を考えてみましょう。
保険診療がメインのクリニックでは診療単価を上げることは困難だと思うかもしれませんが、方法がないわけではありません。
すべての患者さんの単価を上げることは難しいかもしれませんが、何人かに一人の診療単価が上がるだけで全体の単価を上げることができるのです。

診療単価が1万円のクリニックがあったとします。
この診療単価を10%上げたい場合、すべての患者さんの単価を均一に上げることは困難でも、10人に一人診療報酬1万円の検査が必要な患者さんが増えたらどうでしょう。これまでは売上は1万円×10人=10万円でしたが、検査が一件増えることで売上は1万円×10人+1万円×1人=11万円となり、売上は10%増えることになります。
これは一つの例ですが、自院でこのようなことが可能かどうか考えてみましょう。

しっかりと検査や診療をしなければならない患者さんに受診していただけると診療単価が上がります。
耳鼻咽喉科であれば花粉症の患者さんではなく、耳・鼻・喉の調子が悪く原因がよくわからない患者さんにより多く受診していただくこと。自院の診療科目や得意分野でどのような患者さんに受診していただければ良いか考えてみてください。

そして、それらの方々に向けて症状や病気別の情報を積極的に発信していきます。
具体的にはホームページやブログなどを積極的に利用してピンポイントで患者さんの役に立つ情報、患者さんが安心できる情報、患者さんが必要としている情報を伝え続けてください。
今時の患者さんは健康上の不安がある時にはスマホですぐに検索をして情報を探します。
例えば「健康診断 再検査 H D Lコレステロール低い」とか「健康診断 精密検査 左目網膜線膜種疑い」などの具体的なキーワードで探します。
検索した情報が自分の状況にマッチしていて、そのクリニックにしっかりした専門性があること、その状況にどのように対応して診療を行っていくのかなどがわかりやすく書かれていたらどうでしょうか。患者さんはそのクリニックに感謝して、共感しそのクリニックを受診しようと思うのではないでしょうか。

このような情報を発信し続けることで診療単価が上がる可能性が高くなり、新患数の増加が期待でき患者数が増えていく可能性が広がります。
そして、受診された患者さんには伝えた通り、あるいはそれ以上の診療・サービスを提供することで継続受診の可能性が出てくるのだと思います。

これはこれまでお伝えしてきた「コ・マ・チを整える」ということです。
コミュニティ(自院を受診する可能性のある方々)にマーケティング(患者さんが必要とする情報をわかりやすく伝え続ける)を行い、チーム(院長先生・スタッフ)を整えて患者さんの期待通り、それ以上の診療・サービスを提供し続けるということなのです。

クリニックの利益を出し続けるためには経営の基本である「コ・マ・チを整える」ことが大切だということを改めてご確認いただけると幸いです。

プロフィール

近藤隆二(こんどう りゅうじ)

1957年生まれ

医業経営コンサルタント

ファイナンシャルプランナー(CFP)

一般社団法人 医業経営研鑽会 副会長

https://www.doctor-dock.jp

これまでに200件以上のコンサルティングと、50院以上の顧問契約を締結。決めつけを嫌い、さまざまな状況に応じたフレキシブルなコンサルティングを行っている。

クリニック開業後に苦戦する事例を数多く目にしてきた経験から、よい経営の方法を知らない先生のために、セミナー・執筆活動やブログ、動画セミナー、メールマガジンなどを利用し積極的に情報を発信。

院長先生をはじめスタッフも患者さんも幸せになれる、良いクリニックづくりを陰から支えていくことが役割であり使命。

「人が自分らしく自分の人生を生きる」 ことを実現させる手段として、開院を希望するドクター、開業医のための「クリニック経営講座(動画)」を配信中。

 

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