DX時代においてクリニックが注意しなければいけないポイント / シンクロイノベーション 代表取締役 池宮誠

シンクロイノベーション株式会社代表取締役、池宮 誠様にDX時代においてクリニックが注意しなければいけないポイントについてお話を伺いました。
池宮様には、現在公開中の診療所マネジメントEXPOでもご講演いただいています。
※2022年11月1日にCPA EXPOは診療所マネジメントEXPOに名称を変更しました。

診療所マネジメントEXPO講演内容をお聞かせください

講演タイトル『クリニックは「IT」から「医療DX」へ<ネットワーク環境トラブル事例編><サイバーセキュリティ編>』
10年程前から盛んにITといわれてきましたが、それがICTとなりさらに医療DXに移り、今後どのように展開していくのか。また、紐づいているセキュリティなども含めて、今後は気にしなければいけないことをお話させていただきました。


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クリニックから問い合わせがあるトラブルは、どんなものがありますか

院内ネットワーク関係のトラブルが多いです
私が開業してからの問い合わせで一番多いのは、電話やインターネット、電子カルテ、Wi-Fiがつながらないなど院内ネットワーク関係のトラブルです。一時対応として、ルーターを再起動するなどして様子をみますが、それで解決できないケースでは、原因になりそうなものをひとつずつ取り除いていきます。なぜなら、ネットワークのトラブルは目に見えるものではないため、ピンポイントで原因を見つけることが難しいからです。そのため原因となり得る可能性にひとつずつあたり、潰していく必要があります。

またクリニック内を安定した環境に整えておきたいのであれば、有線を推奨しています。Wi-Fiのトラブルは、原因が不確定なものが多く、突然つながらなくなったり、急に直ったりすることが頻繁に起こるからです。有線ではそのようなことがないため、有線をメインで使い補助的にWi-Fiを使っていただいくことを推奨しています。

クリニックで個人情報の漏洩を防ぐために気をつけるポイントを教えてください

医療スタッフの意識とウェブセキュリティ強化がポイント
個人情報の漏洩を無くすうえで注意するポイントは2つあります。

ひとつめは、医師やスタッフなどの会話です。
スタッフ間でしていた患者さんの個人情報が含まれている会話が、他の方に聞かれて個人情報の漏洩につながることがあります。これは医療スタッフの意識に問題があるために起こる漏洩です。誰に会話を聞かれているかわからないため、個人情報が少しでも含まれているような会話は控える、というような意識を持つことで防ぐことができます。

もうひとつは、WEBセキュリティのレベルです。
クリニック内のさまざまな機器は同一ネットワーク上にあります。少し専門的な知識がある方なら、Wi-Fiや電子カルテから侵入し個人情報を抜き取ることができるでしょう。以前のような感覚のままではなく、現在の医療システムに応じた意識・知識レベルを身につける必要があります。

WEBセキュリティの強化は、開業時からするのが理想的です。利益を産まないものにコストをかけるのは難しいと思いますが、莫大な損害を被る可能性があるため、出来るだけ早く管理できる人にお願いした方がよいでしょう。

また医師は、院内にあるルーター等のWEB関連機器の場所だけでも確認しておいていただきたいです。トラブルが起きたとき専門業者に依頼しても、WEB関連機器がある場所がわからないと、改善に時間がかかってしまいます。医師がWEB関連機器のある場所を知っているだけでも、トラブルがスムーズに解決する可能性が高まります。

これから開業する方は、クリニックの建築段階でWEB関連機器をまとめて置いておく場所を、バックヤードなどに確保しておいて欲しいです。そのような場所を確保しておけば、なにかトラブルが起きたとしても業者さんをバックヤードに連れていけばよいため、営業中でも患者さんに見られることなく作業を行えます。

WEBセキュリティ対策に対する高い意識は、医師だけではなく医療に携わるすべての方に持っておいていただきたいです。もしWEBセキュリティを軽視しているコンサルさんがいたら、そのような方は今の時代に合っていないため、依頼するのを控えた方がよいかもしれません。WEBセキュリティ対策に対する意識は、コンサルさんの選定基準のひとつのポイントになるといえるでしょう。

これからのクリニックにおいてネットワーク整備はどのように変化していきますか?

トラブルが起きたときに舵を取っていただけるような専門業者を選定すべき
依頼する専門業者の選定が大切です。開業後、なにかトラブルが起きて相談したいことがあったときに、対応してくれる専門業者を優先的に選定するべきでしょう。

以前はそのような方に依頼をしなくてもなんとかなったのですが、今は専門知識や専門性が増し、ひとつの専門だけでは対応するのがむずかしくなっています。
今はさまざまな医療機器が紐付けされるようになってきたため、トラブルのケースに応じて専門業者を紹介してくれるような舵取りを取ってくれる方を、選ぶのが理想的です。

医師は、WEBセキュリティ対策や専門業者の選定基準など医療以外の知識を少しでも持っていただけるだけで、自分のイメージ通りのクリニックを作りやすくなるでしょう。

プロフィール


シンクロイノベーション株式会社
代表取締役
池宮 誠 氏

2002年、大手通信業者で仕事をしていたときに、ネットワークやインターネット環境などの仕事に携わるようになりました。その後、医療機関や病院などとお付き合いがある工事会社に転職し、医療系ネットワークについて学びました。
そして2013年にシンクロイノベーション株式会社、2014年に株式会社シンクロイズムを設立し現在に至っています。
これまで1,000件以上の医療機関に携わらせていただいており、その中の8割はクリニックです。
クリニックのお客様の7割は、開業のタイミングから継続しておつき合いさせていただいております。