ChatGPTの活用で目指す業務改善 / 東日本税理士法人 長 英一郎氏


講演公開日:2023/07/14

2022年11月に公開されたChatGPT。国内の企業や官公庁でも、業務軽減を目的に活用され始めています。今回は、クリニックにおけるChatGPTの活用例についてお話を伺いました。

診療所マネジメントEXPO講演内容をお聞かせください

講演タイトル『最新!クリニックにおけるChat-GPTなどAI活用』
講演では、クリニックにおけるChatGPTの活用法についてお話します。
ChatGPTは使用者の質問に対して、チャット形式で回答するAIです。意図した回答を得るには、質問の仕方にコツが必要ですが講演内で取り上げたプロンプト(命令文)をそのまま使っていただければ、クリニックの業務の削減につながります。

現在、Google検索は色々なサービスに組み込まれており、自分が意識していなくても使っているという状態がありますが、ChatGPTも今後電子カルテの中に連携されることも考えられるのではないでしょうか。
電子カルテだけでなく、ワードやエクセルなど、普段、文章やグラフを作成するソフトにChatGPTが組み込まれれば、自分では意識がなくても生成AIを使っている状態になるでしょう。

セミナーや学会でもChatGPTなどAI活用をテーマに取り上げていますが、最近は実際に使っている先生も増えており、関心を持って聞いていただいています。
患者層が若いクリニックであれば、ChatGPTで自分の病名予測をした上で来院されるケースも増えてくるでしょう。そのため、ChatGPTを使っていない先生も、仕組みについて知識を得ていただければ幸いです。

医療現場でChat-GPTを活用するメリットを教えてください

生産性の低い業務はAIで代用
他のデジタルテクノロジーと比べると、ChatGPTはどの職種でも適用しやすい特徴があります。
例えば、勤務表の作成や議事録の作成など、人手が必要で生産性の低い業務を代行できるでしょう。ChatGPTを上手く活用することで、先生が患者さんと接する時間が長くなれば、結果的に収益を上げることにつながります。

また、患者さんによっては、専門用語で説明しても十分に理解できないことがあります。子どもの患者さんであれば、ChatGPTによって”おもちゃ”など他の物に例えて説明してもらうことができます。

生成AIを使うにはコツが必要
私自身も最近、ChatGPTと同じく生成AIであるMidjourneyに病院設計のイメージ図を製作してもらいましたが、3回目の質問でようやく自分のイメージに近いものになりました。顧客である病院側から建築予定のお話があったのですが、Midjourneyがすぐに意図を読めずに、質問文の訂正が何度も必要でした。

生成AIは前にある言葉を優先して回答する傾向があるため、質問文の始めの方に3つ、自分の意図をまとめると良い回答が得られやすくなります。

AIが1人医師クリニックのサポート役に
1人医師で切り盛りされているクリニックが多いので、日々の診療で自分の判断が正しいかどうか迷われることもあるかもしれません。そのような場合、将来的にはAIで疑いのある病名や追加ですべき検査について提案を受けることできます。

AIの回答が正しいかどうかは別にして、先生がその他の可能性について知れることが大事だと思います。また、画像検査の読影できるAIも、いずれできる当たり前になるでしょう。

DX化が急速に進むなかで新しい技術を取り入れるハードルの乗り越え方を教えてください

リクルート面でもデジタル化は必須
先生の中には、セキュリティ問題でスマートフォンの導入を敬遠している方もいるかもしれません。ただ、電話とFAXの方がセキュリティ上、安全性に関するリスクが高いといえます、

若い人にとって、LINEチャットアプリやインスタグラムSNSのダイレクトメッセージでやり取りをするのは当たり前です。そのため、採用の際も若いスタッフを雇用するには、電話ではなくデジタル化の対応が大切になります。
また、今後は電子カルテとChatGPTが連携する時代がやって来ます。クリニックの中には、電子カルテの導入費用がハードルになっている施設も多いですが、今後の流れについて行くことも大切だと思います。

プロフィール


東日本税理士法人
代表社員 所長 長 英一郎氏

中央大学卒業後、現職場の前身である公認会計士・税理士長隆事務所に入所し、公認会計士と税理士の資格を取得しました。その後、現職に従事しております。
医療系のクライアントがメインで、病院を主体にやっておりますが、クリニックのお客様もいらっしゃいます。税務・会計・経営に関するアドバイスや、医療法人の監事として役員を務めております。

コロナ禍以前は、定期的に病院や介護施設の見学体験をしながら、最新事例の提供や患者さんの視点をふまえた医療経営のアドバイスを行っていました。
最近では、今回のテーマである、ChatGPTをはじめとする生成AIについて自ら実践しながら研究しています。