アフターコロナのクリニック経営#6

#6 クリニックを良いチームに整えるためのスタッフ採用・マネジメント法

Q .スタッフの採用・マネジメントがうまくいきません。どうすれば良いでしょうか?

A .まずは自院にマッチするスタッフを採用しましょう。そしてスタッフに信頼してもらえるようにしましょう

前回は受診者数が多くても経営危機に陥るクリニックが数多くあること、その原因の多くは組織に問題がありチームが崩壊していくことだということをお伝えしました。
今回はそのような状態にならないようにするためには、どうすれば良いのかについてお伝えしてまいります。

クリニックを良いチームに整えるための根本的な対策

スタッフや組織の問題があると、スタッフ教育やマナー研修をしようと考える方が多いのですが、それだけでは根本的な解決になりません。
もちろん目の前の問題を改善する効果はあるのですが、それは一時的ですぐ元に戻ってしまうのです。医療でいう対症療法だけではなく、根本的な対策を打たなければならないのです。
では根本的な対策とはどのようなものなのか、考えてまいりましょう。

具体的には以下のような流れで行動すると成果が出やすいと思います。

(1)自分の価値観やどんなクリニックにしたいかを明らかにする
(2)価値観にマッチする就業規則・ルールを作る
(3)就業規則やルールをスタッフに周知徹底する
(4)スタッフ募集時には価値観・ルールを明確に伝えマッチする人を採用する
(5)自ら伝えた価値観・ルールにマッチする行動をする
(6)クリニックを良い状態に保つ努力をする

(1)自分の価値観やどんなクリニックにしたいかを明らかにする

まず、スタッフの問題が多く発生するクリニックでは就業規則がなかったり、明確なルールがないことがよくあります。
あったとしても就業規則の雛形をインターネットでダウンロードして保管しているだけだったり、ルールが行動に落とし込めていなかったりします。
これでは規則やルールを作る意味がありません。自分は何を大切にしたいのか、どのようなクリニックにしたいのかを明らかにしましょう。

(2)価値観にマッチする就業規則・ルールを作る

次に、実現するための就業規則やルールを作らなければなりません。これらがないクリニックは法律がない国のようなもので、無法地帯になってしまう危険性があります。

(3)就業規則やルールをスタッフに周知徹底する

そして、ただ作るだけではなく、それをスタッフに周知徹底して。規則・ルールが守られていないときにはしっかり注意して改善を促さなければなりません。

(4)スタッフ募集時には価値観・ルールを明確に伝えマッチする人を採用する

現在在籍しているスタッフには上記のような対策を打ちながら、新たにスタッフを募集する時には自院の価値観や考え方などを明確に伝えた上で、それに共感できる人を採用するようにします。募集広告などには勤務条件だけではなく、自院の価値観・考え方を詳しく書いておくと良いでしょう。文字数が足りない場合にはホームページに採用のページを作り、詳しい情報を掲載して募集広告にリンクしておきましょう。そうすることで自院にマッチしたスタッフが応募してくれるようになります。このように価値観に共感してくれる人を採用するのは大変重要なことです。
わかりやすい例で考えてみましょう。
自院の価値観が「人に優しくする」というものだとします。そこに「人に優しくできない」人が入ってきたら、その組織はうまくいかないのではないでしょうか。人の価値観はなかなか変えることができませんので新たなスタッフを募集・採用する時には注意するようにしましょう。

(5)自ら伝えた価値観・ルールにマッチする行動をする

価値観・考え方を明らかにし、現在のスタッフに周知徹底し、マッチする人を採用するだけではうまくいきません。院長先生自身がその価値観・考え方にマッチする行動を実際に行わなければなりません。これもわかりやすい例で考えてみましょう。
自院のルールの中に「相手の目を見ながら明るく挨拶をする」というものがあったとしましょう。
そしてスタッフにはそのルールを守るよう指導しながら、院長先生が毎朝ブスッとした雰囲気でクリニックに来ていたらどうでしょうか。スタッフは顔には出さずとも、院長先生は自分はできないことを押し付けている、人には言いながら自分はルールを守っていない、院長先生がやってないのだから自分たちもやらなくていいと思い、ルールを守らなくなってしまうのではないでしょうか。また、表面的には守っていても、院長先生は言動不一致で信用できない・・・と思われてしまうかもしれません。院長先生とスタッフ間の信頼関係が崩れると組織はうまく機能しません。「言動一致」を心がけるようにしましょう。

(6)クリニックを良い状態に保つ努力をする

ここまで来ればもう大丈夫かというとそうではありません。組織は放っておくとどんどん悪い状態になっていきます。
人間が健康に気を使わず、メンテナンスをしていないと生活習慣病などの病気になってしまうのとよく似ています。常に状況を把握し、課題があればすぐに手を打ち改善することが欠かせません。
状態が悪化してからでは元に戻すのは困難です。医療の早期発見・早期治療の考え方が組織にも必要とされるのです。
スタッフとの関係性を良くし、正い情報をしっかり伝えてくれる環境を保つ必要があるのです。そのためにはスタッフ一人一人の話をじっくりと聴いてあげる時間を持つことが有効です。

クリニックという組織を良い状態に保ち続けるには、これだけすれば大丈夫というものはありません。
医療の世界では生活習慣病の患者さんを継続的にサポートすることが大切だと言われていますが、そのような意識を組織に対しても持っていただければと思います。

プロフィール

近藤隆二(こんどう りゅうじ)

1957年生まれ

医業経営コンサルタント

ファイナンシャルプランナー(CFP)

一般社団法人 医業経営研鑽会 副会長

https://www.doctor-dock.jp

これまでに200件以上のコンサルティングと、50院以上の顧問契約を締結。決めつけを嫌い、さまざまな状況に応じたフレキシブルなコンサルティングを行っている。

クリニック開業後に苦戦する事例を数多く目にしてきた経験から、よい経営の方法を知らない先生のために、セミナー・執筆活動やブログ、動画セミナー、メールマガジンなどを利用し積極的に情報を発信。

院長先生をはじめスタッフも患者さんも幸せになれる、良いクリニックづくりを陰から支えていくことが役割であり使命。

「人が自分らしく自分の人生を生きる」 ことを実現させる手段として、開院を希望するドクター、開業医のための「クリニック経営講座(動画)」を配信中。

 

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