予約システム導入は「患者数」ではなく「電話依存度」で判断する❘クリニック経営ヒント集

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クリニックの予約業務は、患者数が増えるにつれて負担が増えると考えられがちです。そのため、予約システムは「患者数が増えてから導入するもの」と認識されることがあります。

しかし実際には、予約業務の負担は患者数そのものではなく、「どのような経路で予約を受け付けているか」という業務構造によって決まります

この構造を見誤ると、必要なタイミングで予約システムを導入できず、受付業務がボトルネックになる原因になります。


予約システムは、患者数が増えてから導入すべき?

予約システムは、患者数が増えてから導入すべきですか?
いいえ。予約システムは患者数ではなく、「電話依存度」で判断すべきです。

患者数が少なくても電話依存度が高い場合、受付業務はすぐに不安定になります。一方、患者数が多くても電話依存度が低ければ、予約システムがなくても運用できるケースはあります。
会計時に次回予約をとる等のフローが確立している場合です。

重要なのは人数ではなく、予約取得という業務がどの程度「電話という単一の経路」に依存しているかという構造です。


判断基準①:予約取得が「電話のみ」になっていないか

電話予約のみの運用では、受付スタッフが電話対応中は他の業務を中断する必要があります。

以下のような状況が日常的に発生している場合、電話依存度が高い状態といえます。

  • 会計中に電話が鳴る
  • 患者対応中に電話が重なる
  • 診療開始前や昼休みにも予約電話の対応をしている

このような状況では、患者数が少なくても受付業務は不安定になります。

これは業務量の問題ではなく、予約経路が電話に集中しているという構造の問題です。

予約システムを導入すると、電話以外の予約経路が生まれ、受付業務の分断が減少します。


判断基準②:受付業務が「電話によって中断」されていないか

電話対応の本質的な問題は、時間そのものよりも、業務の連続性が中断されることにあります。

受付業務は、

  • 患者受付
  • 会計
  • 問い合わせ対応
  • 診療補助

など複数の業務が同時に進行しています。

電話が入るたびに業務が中断されると、

  • 会計の待ち時間が伸びる
  • 受付の処理能力が低下する
  • スタッフの負担が増加する

といった影響が生じます。

これは患者数が多いかどうかではなく、電話が業務の流れに割り込む構造になっているかどうかが問題の本質です。


判断基準③:予約業務が「受付スタッフ個人の対応能力」に依存していないか

電話予約では、受付スタッフが直接対応する必要があります。

その結果、

  • スタッフの習熟度によって対応品質が変わる
  • 忙しい時間帯に予約が滞る
  • スタッフ不在時に予約が取れない

といった、個人依存の構造になります。

予約システムを導入すると、予約取得の一部がシステム経由に分離され、受付業務の安定性が向上します。

これは単なる効率化ではなく、予約業務を人から構造へ移すことによる安定化です。


まとめ:予約システムは「患者数」ではなく「電話依存構造」で判断する

予約システム導入の判断基準は、患者数ではありません。

以下の状態がある場合、導入を検討する合理的なタイミングといえます。

  • 予約取得が電話に集中している
  • 電話によって受付業務が中断されている
  • 予約業務が受付スタッフ個人に依存している

予約システムは、患者数が増えてから必要になるものではなく、受付業務の構造を安定させるための仕組みとして導入するものです。
電話依存度が高い構造にある場合、予約システムの導入は受付業務を安定させる有効な選択肢になります。

予約システムの具体的な機能や違いについては、以下の記事で比較しています。

本シリーズの記事は、クリニック運営に関するPodcast「院長が悩んだら聴くラジオ(DOCWEB×大西大輔)」で共有された内容をもとに、DOCWEB編集部が判断軸として再構成したものです。