クリニック×AI医療機器-診療業務負担軽減で医療はどう変わる- 2022/07/22

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講演者:松橋 祐輝 氏
所属先:公益財団法人 医療機器センター付属医療機器産業研究所 主任研究員

動画詳細

少子高齢化による人口減少が進み、医療職数の減少が懸念される中、AI技術を活用して医療の質を担保することが重要です。日本でもAI医療機器が利用されており、今回の講演では海外(米国)と国内での活用事例を紹介します。

海外では新しいAI医療機器の導入が進んでおり、国内でも導入や開発の可能性があります。国内の事例として、承認取得済みで今後ますます活用が期待される技術も紹介されます。

AI医療機器は判別や識別に得意であり、疾患の予測も可能とされます。
これまでX線画像の読影補助などに活用されてきましたが、今後は画像解析技術の発展により患者の症状特徴の抽出や異常所見の検出、疾患の鑑別が可能になる見込みです。また、術後の経過や予後を予測する研究も行われています。

AI医療機器は医師業務の一部を支援し、CureApp社の禁煙治療用アプリなどがその例です。これにより患者の心理的依存を緩和し、治療効果を促進することが期待されています。また、クリニックと大学病院などの連携もAI医療機器によって実現可能であり、医療システム全体の業務効率化が期待されます。

将来的にはAI医療機器の技術がさらに発展し、日本発の技術も登場するでしょう。医師の働き方も変化し、患者との関係がより深くなることが期待されます。
しかし、AI医療機器は単なるツールであり、適切な理解と活用が必要です。結果を得る過程がブラックボックスであるため、医師自身がその特性を把握することが重要です。
過度な期待や嫌悪感を持たず、理想の医療を実現するためのツールとしてAI医療機器を活用していくことが望まれます。

講演者プロフィール

公益財団法人 医療機器センター付属医療機器産業研究所 主任研究員
松橋 祐輝 氏

モノづくりや開発などの工学技術(機械工学)と、それを社会で応用する社会実装をキーワードとした社会科学(レギュラトリーサイエンス)という二つの視点から医療機器の開発に取り組んでいます。

私のバックグラウンドは機械工学です。機械工学は現象を分析し、モデル化したもの図面に落とし込み、加工して作り出せるのが強みです。この特長を活かして、生体の心臓や脳血管周辺の環境をモデル化したシミュレータを開発し、医療機器をどのように設計、使用したら効果的か、安全に使用できるのかといった手法を開発するという取り組みを行っていました。

また、医療機器のレギュラトリーサイエンスの研究にも取り組んでおります。革新性の高い医療機器ほど、技術開発だけではなく、医療環境や社会環境を踏まえた社会実装の方法を検討する必要があります。新しい技術を早く患者さんに届けるために、社会科学的にアプローチする取り組みを行っておりました。

現在は、わが国初の医療機器産業専門のシンクタンクとして2010年4月に設立された医療機器センター附属医療機器産業研究所にて「医療機器産業における課題の分析・検討と解決策の提言」「研究会開催を通した情報提供・相互理解・周知活動」「客観的かつ専門的立場からの事業化支援」などを行っております。