クリニック開業に適した物件の種類と選び方|契約・立地・注意点も解説

クリニックを新たに開業する際、最初に直面する大きな判断が「どの物件にするか」ということです。
「物件が見つかってから具体的に開業に向かって動く」という方も多くいらっしゃることと思います。

本記事は、「【完全ガイド】クリニック開業の手順と成功へのロードマップ」シリーズの一環として、物件選びに焦点をあてた実践マニュアルです。
今回は、クリニック開業に適した物件の種類ごとの特徴や注意点、立地の選び方、契約時のポイントまで詳しく解説します。

クリニックに適した5つの物件タイプ

クリニック開業向けの物件には、以下のような代表的な種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身の開業スタイルに合ったタイプを見極めることが大切です。

居抜き物件|コストとスピード重視の開業に

前のクリニックの設備や内装が残っている物件です。承継物件も含まれます。
比較的短期間・低コストでの開業が可能で、開設届の手続きもスムーズなケースが多いです。

メリット

  • 内装や医療機器が使えるため初期費用を抑えられる
  • 開業準備期間を短縮できる
  • 既存の患者が残っていれば引継ぎの可能性も

デメリット

  • レイアウトや機器配置の自由度が低い
  • 古い設備の修繕費がかかる場合がある
  • 前クリニックの評判がマイナスになることも

スケルトン物件|理想のクリニックを一から作る

スケルトン物件とは、設備や内装がない“骨組みだけ”の状態の物件です。
ゼロから自由に設計できるため、こだわりの動線やブランディングを実現したい方に向いています。

メリット

  • 自由な設計・最新設備の導入が可能
  • 経年劣化がない内装でスタートできる
  • 長期的な修繕計画が立てやすい

デメリット

  • 開業までに6ヶ月〜1年かかることも
  • 内装・医療機器など初期投資が高額に
  • 工事管理や専門家との打ち合わせが必須

テナントビル(ビルイン型)|立地重視で集患を狙うなら

商業ビルや複合施設の一室に入る形態です。
駅近や人通りの多い場所に立地していることが多く、視認性・アクセスの面で強みがあります。

メリット

  • 集患しやすい好立地を選びやすい
  • 賃貸で初期投資を抑えやすい
  • 看板なしでも自然に認知されやすい

デメリット

  • 内装・構造に制限がある場合が多い
  • 医療機器の搬入が難しいことも
  • 他テナント(飲食店など)との兼ね合いに注意

医療モール型|他科連携や広告効果を重視する場合に

複数の診療科や薬局が入居する、医療専用の集合施設です。
「モールに行けば何でも診てもらえる」というイメージから、集患力が期待できます。

メリット

  • 認知度が高く、広告コストを抑えられる
  • 他科への紹介で患者満足度向上
  • 共用駐車場・共用設備による負担軽減

デメリット

  • 内装や業者の指定がある場合も
  • 同じ診療科が入居している可能性あり
  • モールのルール(診療時間・広報制限)に縛られることがある

戸建て物件|土地資産として活用したい場合に

土地を取得して新築または既存の建物を利用する形式です。
自由度が高く、駐車場スペースも広く確保できます。

メリット

  • 自由設計で理想のクリニックが実現できる
  • 資産として建物を保有できる
  • 駐車場も広く確保可能で車来院に強い

デメリット

  • 建設コスト・期間がかかる
  • 調剤薬局や交通アクセスとの連携が必要
  • 資金繰りと返済計画の精緻な設計が求められる

立地を選ぶ際のチェックポイント

物件の種類と並んで重要なのが「立地」です。
以下のような視点で検討しましょう。

  • 交通の利便性:駅近、バス停前、幹線道路沿いなど
  • 周辺人口:対象とする患者層のボリュームを確保できるか
  • 競合状況:近隣に同じ診療科が多すぎないか
  • 駐車場の有無:車での来院を想定するなら必須

患者目線に立ったアクセスのしやすさは、開業後の集患に直結します。

契約や内装で注意しておきたいこと

物件選びでは、種類や立地だけでなく、契約条件や内装・設備面でも確認しておきたいことがあります。

契約前に確認すべきこと

  • 用途地域や医療用途の可否(行政確認)
  • 看板設置・広告規制の有無
  • 途中解約時の違約金・原状回復義務
  • 近隣との関係(同ビルの業種や評判)

内装・設備工事での注意点

  • 医療機器搬入に必要な寸法や電源容量
  • 給排水設備や空調設備の確認
  • 設計~施工のスケジュールと保健所手続きとの整合性

自分に合った物件タイプを見極める【一覧比較】

物件タイプごとの特徴や向いているケースを整理しました。開業の目的や重視したいポイントに応じて、最適な選択肢を検討しましょう。

物件タイプの比較
開業タイプ 向いている物件タイプ 特徴・向いているケース
開業費用を抑えたい 居抜き物件 初期投資を抑えて早期に開業したい人向け。内装や設備をそのまま活用できる。
自由に設計したい スケルトン物件 動線やデザインにこだわりたい人向け。ブランディングや独自性を出しやすい。
集患しやすい立地を選びたい テナントビル型 駅近や人通りの多い場所に開業したい人向け。視認性が高く自然と認知されやすい。
他科との連携・認知度を重視したい 医療モール型 他科と連携しながら集患したい人向け。共用設備も活用でき、患者利便性が高い。
資産として所有したい 戸建て物件 土地活用・建物所有を視野に入れている人向け。自由な設計と広い駐車場確保が可能。

まとめ|物件選びはクリニック経営の出発点

物件の種類や立地、契約条件は、開業後の運営に大きな影響を与えます。
自院の方向性に合った物件を選ぶことが、経営の安定と成長につながります。

物件選びに迷ったら、医療専門の不動産会社や内装業者への相談もおすすめです。
開業支援を受けることで、見落としのないスムーズな準備が可能になります。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
クリニックの運営や医療業務の改善に関する専門知識をもとに、医療機関の実務に役立つ情報を厳選してお届けしています。