外国人患者受入れコーディネーター配置病院は2%/厚労省調査

厚生労働省は8日、第3回 訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会を開き、平成28年度の「医療機関における外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制等の実態調査」の結果を公表した。外国人受入れにあたり、専門の外国人患者受け入れ医療コーディネーターを配置している医療機関は約2%であることが明らかになった。また、約85%が言語や意思疎通に不安を感じており、多くの医療機関が外国人受入れを負担と捉えていることも分かった。

全病院に都道府県を通じて調査を依頼し、4,397病院(約52%)から回答があった。調査では、外国人患者対応の専門部署を設けているのは66病院(1.5%)、外国人患者対応マニュアルが整備されているのは312病院 (7.0%)、外国人患者受入れ医療コーディネーターを配置しているのは82病院(1.8%)だった。コーディネーターは専任よりは兼任の場合が多く、その職種は事務職員、医師、看護職の順で担われていた。

医療機関が負担や今後不安な点として、対応に要する時間や労力の増加が1055病院 (61.7%)、従事者の精神的負担の増加684病院 (40.0%)、未収金や訴訟などのリスク1092 病院(63.9%)、言語や意思疎通の問題1,445 病院(84.5%)などが挙がった。

検討会では、外国人受入れにあたり、多くの医療機関が負担を感じているが、外国人患者受入れ医療コーディネーターは十分配置されていない現状について説明。患者受入れの負担を軽減し、医療機関の対応力を向上させる役割として、医療機関内における一連の手続きをサポートし、必要に応じて他の医療機関を紹介するなど、円滑な医療提供体制を支える潤滑油的役割を担う外国人患者受入れ医療コーディネーターの配置と活用について議論された。

具体的には、外国人患者受入れ医療コーディネーター養成研修プログラム案が示された。 外国人患者受入れ医療コーディネーターに必要な知識、能力、技能、倫理、対応力を身につけるために講義の受講、技能演習を実施することを想定。全国複数箇所で年に複数回実施し、受講者の職種を問わない。医療や医療事務の知識を学ぶほか、未収金や医療過誤、入国管理局とのやり取りなどのケーススタディを学び、複雑で難しい事案のグループワークに取り組むことなどをイメージしている。