ユカリア、社会情報サービスが電子カルテデータを活用したマーケットリサーチ結果を発表

株式会社ユカリア(本社:東京都千代田区、代表取締役:古川 淳、以下「ユカリア」)と株式会社社会情報サービス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:牧田 孝)は、ユカリアが経営支援しているパートナー病院で匿名加工処理された約60万件の電子カルテデータを統合した「ユカリアデータレイク」のデータを活用したマーケットリサーチ手法の研究開発を共同で進めている。
トライアルプロジェクトの第一弾となる今回の調査結果の詳細を、2023年5月30日開催のシンポジウム「心不全治療実態把握の最新アプローチ」にて発表する。

調査の目的、概要

本調査では、一般的な調査手法と電子カルテデータを活用した調査手法の回答傾向の違いを探ることを目的として、慢性心不全を診療している病院勤務医(循環器内科または一般内科)を対象にインターネット調査を2023年4月14日~17日に実施して132名から回答を得た。
「慢性心不全の標準的な治療を受けているがコントロール不良な患者」の次治療の選択について、一般的な患者タイプを提示した場合と、「ユカリアデータレイク」より取得した実際の症例の電子カルテデータを開示した場合、それぞれについて回答を求め、治療選択の違いや異なる治療選択を行った理由について分析した。
 
【次治療選択の違い】
一般的な患者タイプを提示した場合と、実際の症例の電子カルテデータを開示した場合では、HFrEF(heart failure with reduced ejection fraction:心不全)患者で80%の医師が異なる治療選択を行った。
 
【治療選択の内訳】
HFrEF患者では、一般的な患者タイプの場合SGLT2阻害薬(68%)、MRA(48%)、ARNI(46%)などを選択する医師が多かったのに対し、電子カルテデータを開示した場合SGLT2阻害薬(70%)、バソプレシン拮抗薬(58%)、ARNI(45%)などを選択する医師が多くいた。
一般的な患者タイプの場合と比べて、電子カルテデータを開示した場合では、バソプレシン拮抗薬が30ポイント増加した一方、MRAは18ポイント減少という結果になった。
 
【異なる治療選択を行った理由】
HFrEF患者で一般的な患者タイプを提示した場合と実際の症例の電子カルテデータを開示した場合で治療選択が異なったのは、電子カルテデータの「過去の処方薬の効果(51%)」、「検査値の推移(42%)」、「治療経過から予想される現在の処方薬の効果(42%)」に着目したから、との回答を得た。
 
医師を対象とした市場調査では、ある疾患全体の薬剤シェアを把握するために患者タイプ別の薬剤処方患者数を問う手法が一般的であるが、実臨床では、医師は患者一人一人の詳細な検査値や経時的な変化にも着目して治療選択を行っている。
本調査結果からは、市場調査において実症例の電子カルテデータを開示することで、医師の治療選択のマインドをより深いレベルで理解できることが示唆されている。
 

5月30日 シンポジウム「心不全治療実態把握の最新アプローチ」

日時: 2023年5月30日(火)17:00~20:00 (開場16:30)
会場: 東京大学 伊藤謝恩ホール
所在: 東京都文京区本郷7‐3‐1
対象: 製薬企業にお勤めの方、アカデミアにお勤めの方、医療データ分析に関心のある方(参加無料)
申込: https://230530shinfuzen-eucalia.peatix.com/view
プログラム:
第一部 
17:00~ 基調講演  心不全治療における中小病院の役割
     順天堂大学医学部循環器内科学講座 准教授 末永 祐哉 先生
17:40~ 個別講演①
     マーケットリサーチにおける電子カルテデータの活用~インサイトワークの視点から~
     株式会社社会情報サービス インテグレイティドビジネスインテリジェンス部 主査 池田 俊介
18:20~ 個別講演②
     心不全患者像と治療薬の選択状況 ~電子カルテでわかること~
     株式会社ユカリア データインテリジェンス事業部 マネージャー 塩井 大智
第二部 19:00~20:00
     情報交換会
     ポスター展示(「ユカリアデータレイク」に基づく治療・処方実態分析事例を中心とした展示)

本件に関するお問い合わせ先

株式会社ユカリア
所在地: 東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング 19階
URL:  https://eucalia.jp/