DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
オープニングトーク
(高山)おはようございます。パーソナリティのドックウェブ編集長、高山豊明です。
(大西) おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、第15回始まりました。大西さん、よろしくお願いします。
今日のテーマ:スタッフ同士の人間関係が面倒すぎる
(大西) よろしくお願いします。今日のテーマは何ですか?
(高山)今日のテーマは「スタッフ同士の人間関係が面倒すぎる」です。
(大西) 分かります。難しいテーマなので、言葉を選びながら話しますが、医療事務の専門学校の先生をしているので、生徒によく「職場で一番大事にすることは何ですか?」と聞きます。
(高山)人間関係?
(大西) そうです。全員が人間関係と答えます。医療事務にとって、人間関係は面倒なものになっているのかもしれません。今日はそのことについて話し合えればと思います。
(高山)では、この後、スタッフ同士の人間関係について詳しく話していきます。
なぜスタッフ同士の人間関係は面倒になるのか?
(高山)クリニックのスタッフ同士の人間関係が良い悪いがあると思いますが、仲の悪いクリニックの割合はどのくらいですか?
(大西) 半々くらいだと思います。
(高山)半分は良好、半分はあまり良くないということですね。
(大西) そうです。私の仕事が続くのも、そういった人間関係のトラブルに関わることが多いからかもしれません。仲が悪いと私を呼びますから。
(高山)「何とかしてくれ」と頼まれるんですね。解決できるものなんですか?
(大西) 必ず解決できるとは限りませんが、提案はします。
(高山)なぜスタッフ同士の仲が悪くなってしまうのでしょうか?
(大西) 大きな原因の一つはセクショナリズムです。例えば、事務と看護師、先生と事務など、部署間の対立です。
(高山)セクショナリズムが起きる要因は何でしょうか?
(大西) 相手の仕事が見えないことです。自分の仕事は見えても、相手の仕事が見えないとセクショナリズムが起きます。
(高山)診療所内でも、壁や部屋で隔てられていると分かり合えないのでしょうか?
(大西) 狭い空間でも、声は届くのに、不思議な現象ですね。
トラブルの発生原因とよくあるケース
(高山)看護師、事務員、先生、それぞれに言い分があると思いますが、どのようなケースが多いのでしょうか?
(大西) きっかけは必ずあります。患者対応、伝言の行き違い、金銭問題などです。例えば、看護師はこう対応して欲しかったのに、事務員は良かれと思ってやったことが裏目に出て対立する。事務員は点数を取れるのに医師が取らないと主張する一方、医師は忘れていただけだった、などです。事務員が医師にきつく言ってしまったり、「なぜ取らないんですか?」と責めてしまうこともあります。看護師と事務、事務と看護師、お互いに話が通じていないことが多いですね。
(高山)話が通じていないというのは、意思疎通の問題でしょうか?それとも言葉の使い方や知識の問題でしょうか?
(大西) 一番の問題は、相手に伝える気がないことです。事務員も看護師も、自分の言いたいことだけを話している。
(高山)それぞれの立場からですね。
ポジションチェンジという解決策
(大西) だから平行線になるんです。相手の立場で話すトレーニングをすると、少し変わってきます。
(高山)どんなトレーニングですか?
(大西) ポジションチェンジです。看護師の仕事を事務員に、事務員の仕事を看護師にやってもらう。事務員側には指導員を置き、「私たちはこのような仕事をしている」と看護師に教える。看護師側にも一人残し、「私たちはこのような仕事をしている」と事務員に教える。お互いの仕事が見えるようになり、どうすればいいかが分かるようになります。
(高山)なるほど、良い取り組みですね。しかし、第三者が入らないと難しいかもしれません。
(大西) 難しいでしょう。ポジションチェンジは心理学の家族療法からヒントを得ています。家族内でも、それぞれの立場で主張すると平行線になります。どうすれば相手の立場に立てるか?ポジション交換をするんです。
(高山)家族でも使えるんですね。
相手の立場を理解するための高度な方法
(大西) 人には正義があります。自分が正しいと思う気持ちです。自分が間違っていると思う人はほとんどいません。正しいと思うからこそ、謝れない。どうすれば自分が正しいと思わなくなるか?相手が何を正しいと思っているかを想像することです。相手にベクトルを向けると、相手の気持ちが分かります。矢印を変えるんです。
(高山)高度な話ですね。
(大西) 研修でもよく言いますが、まず聞くことです。話さない。まず聞く。これがうまくいくコツです。
(高山)お互い気を遣っているつもりでも、相手に伝わらないことが多いですね。
(大西) 職場でも家庭でも、良かれと思ってやったことが逆効果になることはよくあります。気を遣っているフリなのかもしれません。気は使うものではなく、行動するもの。相手が何を望んでいるかを想像し、行動することが大切です。
(高山)相手の気持ちを想像するのは難しいですね。
報連相、報告書の重要性とカルテの共通点
(大西) だからこそ、場所が問題になります。相手の仕事が見えず、空間を共有していない。クリニックの中に、院長、看護師、受付と3つのグループがあり、それぞれがお互いのことを「暇そう」だと見ている。これでは相手の気持ちは分かりません。そこで、共通言語であるカルテを使います。カルテに書いてあることを全員が共有することで、コミュニケーションが良くなります。
(高山)カルテがスタッフをつなぐんですね。
(大西) サラリーマン時代、報連相と報告書の作成を重視していました。最初は理解できませんでしたが、社長は「あなたの仕事ぶりを評価したいから」という意味だったんです。報告できない人は相談も連絡も打ち合わせもできません。カルテも情報を表面化したものなので重要です。
人間関係悪化によるトラブルと対処法
(高山)対処しないと人間関係はこじれますね。
(大西) こじれると口をきかなくなり、殺伐とした雰囲気が部署全体に広がり、部署間の対立になります。院長も驚きます。そして、片方からだけ話を聞いて判断を下してしまう。
(高山)第三者の介入が必要ですね。
(大西) そうですね。第三者の方がうまくいくケースも多いです。「心の拠り所」と言われたこともありますが、毎日そばにいられないのが残念です。人数を減らすことも解決策の一つです。
(高山)少数精鋭ですね。
(大西) いざこざの原因は暇です。暇だと仕事をしなくなり、愚痴を言い、話を大きくする。忙しければ、愚痴も出ないし、仕事に集中できます。人を雇いすぎない方がいい。辞めた時に考えればいいんです。
(高山)補充しないのも一つの方法ですね。
(大西) 結婚、出産、転勤などは補充が必要ですが、それ以外の退職は補充不要かもしれません。いざこざを埋めるために人を雇っていた可能性もあります。
(高山)余計な仕事が増えていたんですね。
(大西) 管理職時代、面接やワン・オン・ワンばかりしていましたが、効果はありませんでした。事前に気付いてあげることが大切です。
(高山)人間関係の悪化は、原因の特定ができておらず、メカニズムを誤解しているからかもしれません。
(大西) 人を減らさないなら仕事を増やす。そして、「私は○○だから○○だけ」という考え方を捨てることです。
マルチタスクとダブルポジションのすすめ
(大西) これがクラークやシュライバーの仕事です。セカンドポジションを持つ。ファーストポジションを守りつつ、他のポジションもカバーできるユーティリティプレイヤーが重要です。色々な仕事ができるので、忙しくなります。マルチタスク、ダブルポジションです。
(高山)なるほど。クリニックでは決められた業務が多いので、ファーストポジションを守りつつ、セカンドポジションにも目を向けることで、相手の立場も理解できますね。
(大西) そうですね。「今日は事務が診察室」「今日は処置室」と、ポジションをローテーションするのも良いでしょう。医師や看護師はファーストポジションの比重が大きいのでセカンドポジションまで行きにくいですが、医師が看護師の仕事をしたり、レセプト点検をするケースもあります。看護師がクラークの仕事をすることもあります。受付はポジションチェンジしやすいので、そこを重点的に動かすといいでしょう。
(高山)入職時に説明しておいた方がいいでしょうね。
(大西) 「何でもやる」ではなく、「受付では患者のサポート、診察室では医師のサポート、処置室では看護師のサポート」と説明するといいですね。
まとめ:ワンチームになる努力
(高山)担当範囲が広がれば、人間関係も良くなる。
(大西) 場所の共有、コミュニケーション、そしてチームになること。人間関係が面倒なのは、ワンチームになっていないからです。ワンチームになる努力が必要です。
(高山)続きは次回にしましょう。大西さん、ありがとうございました。
(大西) ありがとうございました。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。この番組への感想は「#院長が悩んだら聴くラジオ」でXなどに投稿いただけると嬉しいです。番組のフォローもぜひお願いします。この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。