
PODCASTエピソードはこちら
DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。
(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第59回始まりました。大西さんよろしくお願いします。
(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?
今日のテーマ:退職代行が注目される理由
(高山)今日のテーマは「帰属意識が薄まっているこの社会において、退職代行会社が注目される理由」です。
(大西)そうですね。最近、退職代行会社を利用する人が増えていると聞きます。医療機関でも同様のことが起きているようです。
LINE退職と退職代行
(大西)退職代行会社が登場する以前から、LINEで退職を伝える「LINE退職」が問題になっていました。
グループLINEに突然「明日辞めます」というメッセージが送られてくるんですね。
(高山)なるほど。
(大西)上司は「ちょっと待って。退職の意思表示はLINEではなく、直接伝えてほしい」と注意するのですが。
すると「では電話でもいいですか?」と。
職場にある私物などは「処分しておいてください」と。
面と向かって話をするのが苦手な人が増えていて、LINEで済ませようとする風潮が、退職代行会社に繋がったのだと私は感じています。
(高山)なるほど、闇深い話ですね。
今回は、退職代行会社が注目される理由を深掘りしていきましょう。大西さん、よろしくお願いします。
(大西)お願いします。
退職代行会社の登場
(高山)最近ニュースでも、ある退職代行会社がよく取り上げられていますよね。
(大西)そうですね、あの会社ですね。
(高山)社名はここでは言えませんが、なかなかインパクトのある名前ですよね。
(大西)確かに、絶妙なネーミングセンスですね。
退職届の必要性
(高山)大西さんのお話から、退職代行会社が生まれる前から、そういったニーズがあったということですよね。
(大西)ネットを検索すると「退職届の書き方」といった情報が出てきます。
そこには「退職届は手渡しではなく郵送でも良い」「必ずしも必要ではない」といった注釈が書かれていることもあります。
退職の意思さえ伝えれば、退職届は必ずしも必要ではない、ということですね。
(高山)そうなんですね。少し驚きました。
(大西)退職届の提出を義務付ける法律はないはずです。
退職の意思表示さえすれば良いのですから。
通常は書面で意思表示をしますが、退職代行会社の場合は書面を作成しないケースもあるようです。
(高山)なるほど、電話一本で済ませる場合もあると。
(大西)退職代行会社がクライアントに代わって「退職の意思があるので、受け取ってください」と電話で伝えるわけですね。
(高山)退職代行会社から、何か書類などは送られているのでしょうか?
退職代行会社の手続き
(大西)備品類はまとめて郵送しますが、退職届のような書類は送らないですね。
退職代行会社が企業側に「必要な手続きはありますか?」と確認し、企業側からフォーマットが送られてきたら、クライアントに代わって記入する、といった流れのようです。
(高山)なるほど。
(大西)「ここで知り得た情報は口外しない」といった誓約書のような書類にサインを求められることもありますが、代行会社が代筆している可能性もあるようです。
代筆は本来NGなのですが。
(高山)確かに。
(大西)辞める側からすると、「もう一刻も早く会社に行きたくない」「会社ののれんをくぐりたくない」という切実な思いがあるので、退職代行会社にニーズがあるのでしょう。
組織への帰属意識
(高山)ドラマや映画では、退職届を突きつけるシーンがよくありますよね。
責任を取るために辞職を申し出る、といったシーンですね。私はそういったイメージを持っていました。
(大西)法律で退職届の提出が義務付けられているわけではありません。「辞めます。この書類にサインしてください」で終わり、というケースも多いわけです。
(高山)今までは、法律よりも義理人情や筋を通すことが重視されていたように思います。
人に迷惑をかけない、といった価値観も薄れてきているのかもしれません。
(高山)そうですね。今の若い世代は、そういった価値観が希薄になっているのでしょうか。
(大西)我々世代は寂しいと感じますが、若い世代にも「人情は大事だ」と考える人もいれば、「法律で決められていないなら関係ない」と考える人もいるでしょう。
(大西)コロナの影響もあるかもしれませんが、部活やサークルに所属しない若者が増えているのも、組織への帰属意識が薄れている要因かもしれません。
(高山)なるほど。組織に所属していないと、集団行動や協調性などを学ぶ機会が減りますよね。
みんなで力を合わせて何かを成し遂げる経験を通して、素晴らしい体験をすることができなくなるのは残念です。
(大西)企業の採用担当者は、そういった点を重視して選考を行うケースが多いようです。
サークル活動やボランティア活動などの経験から、応募者の帰属意識を見極めようとするわけですね。
(高山)確かに。
(大西)中小企業の場合は、面接を1~2回しか行わないため、そこまで見抜けないまま採用してしまうこともあるのでしょう。
人手不足で「誰でもいいから採用したい」という企業も多いようです。
インターン採用と早期退職
(大西)最近はインターン採用が増えていますよね。
そうですね。一定期間働いてもらってから採用を検討するわけですが、数回の面接では人となりを見抜けないケースも増えているのではないでしょうか。
(高山)入社して間もない頃は、まだ浅い付き合いですから、重要な仕事を任せられないですよね。責任ある仕事を任せるには、ある程度の期間が必要でしょう。
責任と退職
(大西)責任ある仕事を任された途端、辞めてしまう人もいるようですね。
実は「腰掛けのつもりで入社した」「本当は違う仕事がしたかった」という人もいるようです。
そういった人たちの存在にも目を向けなければなりません。
医療現場における早期退職
(高山)医療現場でも、そういった「腰掛け」や「居候」のような形で働く人が増えているのでしょうか。
(大西)ええ、最近とても増えています。
例えば看護師の場合、入職時に一時金が支給される制度を設けている医療機関が多いのですが、一時金を受け取った後、すぐに辞めてしまう人もいるようです。
(高山)紹介会社から支払われるお金を受け取って、辞めてしまう、ということですね。
(大西)そうです。一定期間、例えば3か月間は働かないと、紹介料は支払われない仕組みになっています。
(高山)なるほど。派遣会社も3か月~6か月働かないと紹介料が発生しないのと同様ですね。
(大西)紹介料は、看護師の年収の2~4割程度に設定されていることが多いようです。
例えば年収500万円の看護師を紹介した場合、紹介料は200万円。3か月で辞めてしまったら、会社に入るのは100万円。
その一部、10~20万円程度を看護師に渡すわけです。これが一時金ですね。
(高山)一定期間働けば、その後は自由ということですね。
(大西)紹介会社はノータッチになります。紹介予定派遣も同様です。
早期退職を防ぐには
(高山)紹介会社に頼らず、自社で採用活動を行う方が良いのでしょうか?
(大西)紹介会社はフォローがないので、採用後すぐに辞めてしまうリスクがあります。
(高山)1か月、あるいは1日単位の派遣社員なども増えていますが、そういった形態の雇用にもリスクがあるということですね。
医療機関の運営においても、そういった点を留意する必要があるでしょう。
(大西)医療機関では正社員よりもパートや派遣社員が増えており、企業側にとっては解雇しやすい環境になっています。
しかし、働く側からすると「パートだから」「派遣だから」と辞めやすい職場になってしまう。
すぐに辞めてしまう人が出てきて当然なのです。
(高山)看護師だけでなく、医療事務でも同様のことが起きているのでしょうか?
(大西)ええ、医療事務職でも同様です。売り手市場なので、急に「辞めます」と言われてしまうケースが増えています。
LINEで退職の意思を伝え、そのままグループから抜けて、連絡が取れなくなってしまう。
(高山)院長としては驚きますよね。「シフトはどうなるんだ?」と。
(大西)ええ。院長が自宅まで探しに行くケースもあるようですが、プライバシーの侵害で訴えられてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
教育の重要性
(高山)連絡が取れなくなったら、自宅まで行くしかないですよね。
(大西)退職の意思表示をした後は、近づかないでほしい、というのが本音でしょう。
(高山)なるほど。極端な例かもしれませんが、そういったケースもあるのですね。
(高山)LINEをブロックされたり、電話番号や住所が変わってしまうと、連絡手段がなくなってしまいますよね。
(大西)郵送で連絡を取るしかなくなりますが、開封してもらえない可能性もあります。
(高山)まるで、関わりたくない。という意思表示のようですね。距離を置きたいのでしょうか。
(大西)だからこそ、退職代行会社を利用するのでしょう。
(高山)なるほど、極端な行動に出てしまうのですね。後先を考えないのでしょうか。
(大西)後先考えない人が増えたというよりも、後先考えなくても良い社会になったのだと思います。
(高山)以前は「3年働かないと一人前ではない」「我慢することが大切」といった風潮がありましたが。
(大西)今は「我慢は体に悪い」「早めに諦めて次に行こう」という考え方が主流です。
「ストレスをためない」という風潮も、早期退職に繋がっているのかもしれません。
(高山)「ストレスに強くなろう」という考え方は、今は古いのでしょうか。
ストレス耐性という言葉を使うと、怒られてしまうこともあるそうですね。
(大西)「ストレスを与えるのか」と誤解されてしまうのでしょう。
(大西)つまり、時代が変わったというよりも、情報過多によって社会の価値観が変化した、ということですね。
辞めること、派遣社員として働くこと、転職することが肯定的に捉えられるようになりました。
アメリカでは当たり前のように転職が行われていますよね。日本もそういった社会になりつつあるのでしょうか。
バブル崩壊後、そういった価値観が日本にも浸透してきたように思います。
(高山)この状況を、良い悪いと判断するのは難しいですね。
賛否両論あるでしょう。しかし、これが現実です。
クリニックを運営する医師としては、この現実を踏まえた上で経営していく必要があるでしょう。
(大西)すぐに辞めるのが当たり前、という風潮を踏まえると、「どうせ辞めるのだから教育するだけ無駄だ」と考えてしまう人もいるかもしれません。
「どうせ辞めるのだから教えません」といった思考ですね。
(大西)それは逆です。教えないから辞めてしまうのです。
(高山) 難しいですね。
(大西)教育体制やマニュアルが整備されていない職場は、人が辞めやすいです。
教育マニュアルに「帰属意識」「仲間意識」といった項目を盛り込む必要があるでしょう。
(高山)なるほど。
(大西)「我々という意識を持って運営している」「一人で仕事をしているのではない」ということを伝えることが大切です。
少し暑苦しいかもしれませんが、そういったことを明確に伝えないと、帰属意識は生まれないでしょう。
(高山)そうですね。「帰属意識」という言葉自体、感情的な要素を含んでいますよね。
(大西)少し暑苦しいくらいの方が、人は辞めないものです。
「辞めたら大西さんに怒られる」と思うくらいの方が良いのです。
(高山)今は、辞めるときに上司の顔が浮かばない人も多いのかもしれませんね。
「誰にも迷惑をかけていないから問題ない」と考えているのでしょう。
(大西)昔は「あの人が怖いから辞められない」ということもありました。
それも一つの良い社会の形だったのかもしれません。
早期退職を防ぐには、やはり教育が重要なのですね。
今日の結論は「すぐに辞めてしまう組織を改善するには、学習する組織に切り替えること」です。
(高山)素晴らしいですね。
教育の具体的な方法については、今後の放送でさらに深掘りしていきたいと思います。今回はここまでです。大西さん、ありがとうございました。
(大西)ありがとうございました。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。
この番組への感想は「#院長が悩んだら聴くラジオ」でXなどに投稿いただけると嬉しいです。番組のフォローもぜひお願いします。
この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。
開業準備や開業後に役立つメルマガを定期的にお届けします
- 開業に役立つ記事・動画が見放題
DOCWEB限定動画や厳選された情報で、円滑な開業準備をサポート! - クリニックに合った製品・サービスがすぐに見つかる
手間なく、効率的に情報収集。DOCWEBならではの充実した比較・検討が可能! - 気になる製品・サービスの資料を無料ダウンロード
詳細情報をすぐに確認でき、納得の選択ができる!

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)
DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
クリニックの運営や医療業務の改善に関する専門知識をもとに、医療機関の実務に役立つ情報を厳選してお届けしています。