受付無人化時代の業務フロー設計(4)揃えるべきスタッフ像_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード84全文書き起こし

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

(高山)おはようございます。パーソナリティのドックウェブ編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、第84回始まりました。大西さん、今回もよろしくお願いします。

(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?

受付無人化時代に揃えるべきスタッフの能力

(高山)前回に引き続き、「受付無人化時代」の業務フロー設計についてです。

今回は特に、「どのようなスタッフを揃えるべきか」、具体的には「どのような能力を持ったスタッフを揃えるべきか」というテーマで深掘りしていきたいと思います。

(大西)「どのようなスタッフを揃えるべきか」というテーマはこれまでも何度か取り上げてきましたが、時代によって求められる能力も変わってきます。

昔はこれが大事だった、しかし今はこれが大事だ、というような違いについてお話しできればと思います。

(高山)それでは、この後「どのような能力を持ったスタッフを揃えるべきか」について語っていきたいと思います。よろしくお願いします。

(大西)お願いします。

従来求められてきた3つの能力

(高山)スタッフと一言で言っても、様々な人がいます。

人の能力は細分化しようと思えばいくらでもできますが、今回はクリニックの運営・経営に必要な能力に絞ってお話をしていきたいと思います。

まず、どのような能力が挙げられるでしょうか?

(大西)従来型の考え方で言うと、まず「事務能力」が第一に挙げられます。

書類作成能力などがそれに当たります。

(高山)前回お話しした内容ですね。

(大西)次に、受付業務には欠かせない「対人・接遇能力」。

そして、チーム医療を行う上で重要な「協調性」。

この3つが、これまで特に大事だとされてきた能力です。

現代のクリニックに求められる新たな能力

(大西)最近、それに加えて重要になってきているのが、「ITスキル」です。

(高山)もはや、できて当たり前の世界になりつつありますね。

(大西)しかし、そうでない人もいます。医療の世界では、意外とITスキルが高くない人も多く、家にパソコンがないという家庭も珍しくありません。

(高山)一方で、若い世代はスマートフォンには非常に詳しいですが、逆にパソコンには慣れていない、というケースもありますね。

(大西)そうです。スマートフォンのように画面をスワイプしたり、ピンチアウト(指で拡大)したりする癖がついていて、パソコンでも同じ操作をしてしまう、といったこともあります。

(高山)ITスキルと一言で言っても、様々な側面がありますね。

単純にパソコンでタイピングができるだけでなく、最近ではホームページの更新など、ウェブ関連の知識も重要になってきています。

(大西)特にウェブの知識は重要です。

クラウド型の電子カルテが一般化する中で、サイバーテロのリスクも高まっています。

攻撃を受けるだけでなく、自分から罠にはまってしまうケースもあります。

そうしたことも含めて、変なメールは開かない、といった基本的なセキュリティ意識も、今や必須のスキルと言えるでしょう。

(高山)最近のフィッシングメールは非常に巧妙になっていますからね。

私自身は仕事柄、様々なメールアドレスを使っているので、怪しいメールには慣れていますが、一般の人が見分けるのは難しいかもしれません。

(大西)開いて良いものかどうか分からず、ずっと放置してしまう、ということもあります。

アドレスのドメイン(.comや.jpなど)の意味を理解していないと、安易に開いてしまう危険性もあります。

(高山)最近は、正規のアドレスを装ったメールも多いですからね。

(大西)よく見ると、ドットコムの「o」が数字の「0」になっていたりします。

そうした巧妙な手口もあるので、「全て怪しいと思え」というくらいの心構えが必要ですね。

これはある意味、その人の性格、慎重さも関わってきます。

環境整備能力と論理的思考力

(大西)そして、最近私が特に重要だと感じているのが、「環境整備能力」です。

(高山)どういうことでしょうか?

(大西)今ある環境は、誰かに与えられたものであり、必ずしも最善ではありません。

常に改善し続ける必要がある、ということです。

しかし、「臨機応変に対応して」と言われても、「分かりません」と返されてしまうケースが多いのが現状です。

(高山)それは、自分の部屋ではないから、という意識もあるかもしれません。

自分で判断することが難しい環境にある、ということも考えられます。

(大西)会社員であれば、新人研修などで、ある程度のトレーニングを受けますが、クリニックの場合は即戦力として採用されることが多く、手取り足取り教えるという文化があまりありません。

社会人経験者であっても、整理整頓や業務フローの改善、論理的思考といったスキルを、体系的に学ぶ機会はほとんどありませんでした。

しかし、今の時代、これらのスキルは非常に重要になっています。

(高山)特に論理的思考は、人によって得意不得意がありますね。

(大西)私はよく理念教育を行いますが、理念を理解し、それを実践に移すことこそが、本当の論理的思考だと考えています。

理念をただ唱和するだけでなく、自分の行動に落とし込むことが大切です。

患者目線での動線観察と改善提案能力

(大西)院長の立場からすると、他にどのような能力を持った人がいると助かりますか?

(高山)環境整備という話がありましたが、例えば待合室の掲示板や掲示物などを、患者さん目線で見て、改善提案してくれるような能力は欲しいですね。

(大西)「これを貼っておいて」と指示されて、ただ貼るだけでは不十分です。

患者さんが読みやすいか、情報は古くないか、といった視点で、常にチェックしてほしいのです。

我々のような外部のコンサルタントが、「これ、情報が古いですよ」「破れていますよ」と指摘して、ようやく対応する、というケースも少なくありません。

(高山)それは、その業務が「誰の仕事でもない」状態になっているからです。

(大西)診療報酬関連の業務は事務の仕事、と明確ですが、待合室全体の環境管理となると、担当者が曖昧になりがちです。

院長が全体を管理し、処置室は看護師、診察室は医師が、というように、暗黙の了解で分担されていることが多いですが、そこでの連携がうまくいっていないのかもしれません。

「誰かがやってくれるだろう」という意識が、改善を妨げているのです。

クリニックの理念浸透と逆算思考

(高山)スタッフが自分で考えて工夫していくためには、院長が「どのようなクリニックにしていきたいか」という理念を、きちんと浸透させていく必要がありますね。

(大西)院長が綺麗好きだからといって、院内が綺麗になるわけではありません。

公共の場を綺麗にしよう、という意識を、スタッフ全員で共有することが大切です。

「あなたの家ではありません。公共の場を綺麗にしましょう」という、当たり前のことを徹底するのです。

(高山)クリニックの目指す姿から逆算して、環境作りや業務フローを考えていく、という思考が、スタッフ全員に求められますね。

スタッフの成長意欲と外部からの視点

(大西)ただ、中には対人能力は非常に高いのに、逆算思考が苦手で、良かれと思ってやったことが裏目に出てしまう、という人もいます。

(高山)いますね。本人の優先順位と、周りから見た優先順位がずれているのです。

(大西)それを個人の特性と決めつけてしまうのは、安易な考え方です。人間の能力は、未来進行形で進化していくものです。

少し話が逸れましたが、クリニックに揃えるべきスタッフの能力として、最も大事なのは「成長したい」という意欲、つまり「成長力」かもしれません。

私自身も、常に成長したいと思っています。しかし、評価されなかったり、自分におごりが生まれたりすると、その意欲を失ってしまうこともあります。

だからこそ、スタッフには常に「今日より明日、成長できるように」と考えてほしいと願っています。

(高山)同じメンバーで毎日仕事をしていると、自分たちの変化には気づきにくいものです。

月に一度でも、外部のアドバイザーに来てもらい、第三者の視点で指摘してもらうことで、新たな気づきが生まれます。

(大西)「前回と比べて、この人はここが良くなりましたね」というように、定点観測してもらうことで、自分たちの成長を客観的に知ることができます。

そのためには、スポットではなく、定期的に見てもらうことが重要です。

現場を知ることの重要性

(大西)そして、アドバイスをする側は、必ず現場を調査する必要があります。

現場を知らない人のアドバイスは、かえって迷惑になることもあります。

「待ち時間があるなら、予約システムを入れましょう」といった安易な提案は、根本的な解決にはなりません。

まずは、待ち時間の原因をきちんと調査することが先決です。

これからのクリニックに求められるスタッフ像

(高山)それでは最後に、これからのクリニックに揃えるべきスタッフの能力について、まとめておきましょう。

まず、従来の「対人能力」「事務能力」「協調性」に加え、広い意味での「ITスキル」。

そして、環境整備や業務フローの改善を自ら考えられる「論理的思考力」と「成長意欲」。

さらに、自分たちでは気づけない部分を補うための、「第三者からのアドバイス」を受け入れる姿勢。

これらが、これからのクリニックに求められる人材像と言えるでしょう。

(大西)素晴らしいまとめですね。

私たちが漠然と考えていたことが、こうして言語化されると、非常にイメージが湧きやすいと思います。

(高山)今回は、「どのようなスタッフを揃えるべきか」というテーマでお話ししました。

続きはまた次回にしたいと思います。

(高山)大西さん、今回もありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、最後までお聞きいただきましてありがとうございました。

少しでも気に入っていただけましたら、番組のフォローをぜひお願いします。新しいエピソードがいち早く届きます。

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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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