クリニックは保険診療をどう広げていけるのか?-テック活用で漢方外来の可能性-(後編)_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード88全文書き起こし

クリニックは保険診療をどう広げていけるのか?-テック活用で漢方外来の可能性-(前編)_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード88全文書き起こしサムネ

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

(高山)おはようございます。パーソナリティのドックウェブ編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山)「院長が悩んだら聞くラジオ」第88回が始まりました。今回も引き続き、飯塚さんをゲストにお迎えして、漢方処方のDXについて深掘りしていきたいと思います。飯塚さん、よろしくお願いします。

(飯塚)よろしくお願いします。

(高山)二本取りであることがバレてしまう展開ですが、引き続き漢方について語っていきましょう。

初学者を支える「漢方DX」の診断支援

(高山)前回の続きとして、診断支援、患者満足度の向上、そして保険外収益への貢献という、漢方DXのメリットを詳しくお聞きします。

まず診断支援についてですが、現場の先生方に最も喜ばれているのはどのような点でしょうか。

(飯塚)当初は、漢方の初学者の先生に向けて製品を開発しました。

上級者の先生はご自身のロジックで判断できますが、「漢方を処方したいけれど勉強する時間がなかった」という先生をサポートしたいと考えたからです。

具体的には、まず患者さんの症状を聞き、漢方特有の問診を行います。

その結果から「証(しょう)」の見立てを行い、候補となる漢方薬を出力して、先生にフィードバックします。

先生はその中から最適なものを選びます。

漢方の理論は複雑で、これまでは「疾病に対して処方しても体質に合わず、体調が良くならない」という悩みが多くありました。

我々の製品を導入することで、疾病ベースではない「体質へのアプローチ」が可能になり、処方の手助けになっていると自負しています。

再診時の「二の手、三の手」をサポート

(高山)漢方には即効性があるものと、慢性疾患に対してじっくり効くものがありますが、「次の一手」をどう出すかは深い知識が必要な世界ですよね。

(飯塚)何かの疾病に対して一つの漢方を出すことは多くの先生ができますが、「二の手、三の手」を打つのは非常に難しいとされています。

我々のサービスは、そうした場面での参考に使っていただくケースが多いです。

(高山)初学者の先生が「こういう手もありますよ」とサポートを受けられれば、患者さんとの信頼関係を崩さずに治療を続けられます。

導入にあたって、先生方はその精度をどのように捉えているのでしょうか。

(飯塚)具体的な例を挙げますと、疾病に対して確信を持っている処方がある場合は、先生は迷わずそれを出されます。

しかし、「今回はどうも体調が良くならないな」という再診時や、頭の中に複数の処方が浮かんで「どれを出せばいいか分からない」という時に、我々のサービスが活用されます。

初診と再診、それぞれのタイミングで使い分けられています。

患者の離脱を防ぐ「KAMPO PASSPORT」の役割

(高山)診断支援には時短というメリットもありますが、大西さんは他にどのような利点があると思われますか。

(大西)精神科などでもそうですが、睡眠薬一つとっても非常に多くの種類があります。

一方で漢方にも睡眠薬はあります。

例えば最近の西洋薬で言うと、「デエビゴ」という薬が非常によく処方されています。

かつては「マイスリー」という薬が有名でしたが、そこからどんどん切り替えが進み、最近では「クービビック」や新しい「ボルズィ」といった新しい薬も出てきています。

(大西)先生方は新しい薬を試す際、どうしても副作用を気にしなければなりませんが、漢方は比較的副作用が少ないと言われています。

ただ、先ほど飯塚さんがおっしゃったように、漢方を二個、三個、四個と次々に切り替えていくケースはほとんどありません。

どちらかというと西洋薬の置き換えとして、例えば「イソバイド」の代わりに「五苓散(ごれいさん)」、あるいは「アレグラ」の代わりに「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」といった形で活用されることが多いです。

このように漢方を選択肢に含めることで、診療の幅が広がるのではないかと感じました。

一方で漢方にも睡眠薬の役割を果たすものがあり、西洋薬からの置き換えとしての幅が広がると感じます。

診断支援において最も重要なのは、診断の「後」です。

漢方は説明が不十分だと、患者さんが飲み続けてくれません。

高齢者のお宅に伺うと、漢方薬が大量に残っていることがよくあります。

「必要な時だけ飲めばいい」と誤解され、頓服のようになってしまっているのです。

例えば「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などは、飲み続けないと効果が出ません。

そこで、LINEを活用したり、定期的にフォローアップを入れたりする「KAMPO PASSPORT」という仕組みが非常に役立ちます。

専門家でなくてもエビデンスに基づいた指導ができ、患者さんの離脱を防ぐことができます。

(高山)フォローアップをシステム化することで、スタッフの負担も軽減されそうですね。

(大西)看護師さんや事務スタッフさんは、知識不足から漢方に関する質問を敬遠しがちです。

しかし患者さんはスタッフに質問したいものです。

その際、「「KAMPO PASSPORT」で確認してみますね」と言えるようになれば、先生の仕事を増やすことなく、患者さんが納得して飲み続けられるサイクルが作れます。

患者の安心感を生む「アフターフォロー」の自動化

(高山)なるほど。そのあたりの手厚いサポートが今後も拡充していくのだと思います。

ゼロから形になっているので、サポートの負担はかなり軽減されるのではないかと期待されますね。

それと同時に、患者さんが満足してくれるということも期待できるのでしょうか。

飯塚さん、いかがでしょうか。

(飯塚)ありがとうございます。今大西さんがおっしゃった通り、最初の入り口である診断支援から、漢方を飲み続けるためのアフターフォローという部分が非常に重要視されています。

そこまで我々の方でサポートができる体制を築いていきたいと考えています。

やはり専門家と同等のパフォーマンスを出すことを目指しています。

直近では「漢方外来キット」のような形でブランディングもしていきたいと考えており、これを導入すれば「漢方外来を開設できます」というレベルまでパフォーマンスを発揮できれば、非常に喜ばれる製品になるのではないかと思っています。

そういったところを目指しています。

(高山)「KAMPO PASSPORT」を発行することで、患者満足度も高まるということですね。

表裏一体ですが、「自分のことをちゃんと見てくれているな」という安心感が患者さんにも伝わるということでしょうか。

(飯塚)そうですね。一度クリニックを出てしまうと、先生や看護師さんといったスタッフとのコミュニケーションが途切れてしまうケースが多いです。

一方で、電話対応をするにしても、その労力や人件費がクリニックの経営を圧迫してしまうという側面もあります。

そのため、コミュニケーションにおいてクリニックと患者さんの双方がWinWinになれるよう、円滑なやり取りを我々のDXやAIでサポートさせていただきたいと考えています。

保険外収益への貢献「養生マーケット」の仕組み

(高山)「KAMPO 365 works」はすでに200施設に導入されているとのことですが、保険診療内での活用はクリニックにとってコストにもなり得ます。

そこで気になるのが、3つ目のメリットである「保険外収益」ですが、どのような仕組みでしょうか。

(飯塚)「KAMPO PASSPORT」を通じて患者さんに提供する養生コンテンツの延長に、AIによる「養生アドバイザー」という機能があります。

患者さんの体質(証)、年齢、性別などに基づき、AIがアドバイスや商品の提案を行います。

(飯塚)その方の体質に合った食品などを、アプリ内の「養生マーケット」で見ることができ、購入も可能です。

この購入額に応じた報酬をクリニックに還元する、レベニューシェアの仕組みを構築しています。

自費診療の導入はハードルが高いですが、このマーケット機能がクリニックの収益の一助になればと考えています。

(高山)製品は先生側が選ぶのですか、それともAmazonのように揃っているのでしょうか。

(飯塚)現在は我々が運営するECサイト内の約20製品から、患者さんの体質に合わせてアルゴリズムが自動的に提案する形式です。

先生によっては「商売色を出したくない」という方もいらっしゃるので、柔軟に対応しています。

中には先生ご自身が商品開発に携わっているケースもあります。

(高山)新しい活性化された動きが出てきているという印象を受けました。そうなると、「こんな商品や製品も扱ってほしい」といった現場からの声も預かるということでしょうか。

(飯塚)その通りです。

(高山)現在は、何製品ほど取り扱っているのですか。

(飯塚)製品数としてはまだそれほど多くありませんが、カテゴリーとしては全部で20製品ほどあります。

それぞれが患者さんの体質に合わせて紐付けられています。患者さんが多くの商品群の中から自分で選ぶというよりは、アルゴリズムによって、ある程度「証(しょう)」に基づいたものが決まっている形になります。

(高山)「あなたにはこれがおすすめです」という風に提案されるわけですね。

(飯塚)その通りです。

(高山)それは、患者さんに配布している「KAMPO PASSPORT」の中で、自動的に展開されるものなのですか。

(飯塚)おっしゃる通りです。

(高山)例えば「今月はこのくらい売れました」という実績が、レポートとして「KAMPO 365 works」側で確認できるということでしょうか。

(飯塚)先生側の画面で「これくらい売れています」という状況を見ることができますし、レポーティングも可能です。

(高山)どの患者さんが何を購入したかまで分かるのでしょうか。

(飯塚)把握できます。

(高山)患者さんが院外でどのような生活をしているか把握するのは難しいですが、こうしたデータが得られるのは大きなプラスですね。

AIの未来とクリニックのブランディング

(高山)今後、どのような世界を目指されているのでしょうか。

(飯塚)AIの進化は凄まじいですが、より「AIフレンドリー」な製品を目指しています。直近では「AIエージェント」の開発に取り組んでいます。

具体的には、従来の問診入力だけでなく、診察中の音声データや電子カルテのデータ、患者さんが自由に入力したデータなどを複合的に解析し、先生の診察をより高度にサポートできる環境を整えていきたいと考えています。

まとめ

(高山)今回の対談を通して、大西さんはどのような所感を持たれましたか。

(大西)DXが単なる「ツール」ではなく、医師の「パートナー」として活用される時代が来たなと感じました。

漢方の専門医でなくても、このシステムがあれば「漢方外来」というチャネルを掲げることができます。

これはブランディングとして非常に強力です。

今の保険診療は、どこへ行っても同じ薬が出るという「差別化」の限界に来ています。

そこで「漢方という提案」ができることは、他院との大きな差別化であり、付加価値になります。

今回のDXツールは、まさにクリニックのブランディングツールだと感じました。

(高山)「KAMPO 365 works」が、クリニックにとって新しい武器になる可能性を感じました。

今回は、VARYTEX株式会社COO(最高顧客責任者)の飯塚健太郎さんをお迎えしました。ありがとうございました。

(大西・飯塚)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、最後までお聞きいただきましてありがとうございました。

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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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