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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。
(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山)「院長が悩んだら聞くラジオ」、第93回が始まりました。大西さん、今回もよろしくお願いします。
(大西)よろしくお願いします。
今日のテーマは何でしょうか。
(高山)今日のテーマは、前回に引き続き、改定の基本視点に沿った具体的方向性のその4です。4つのうちの最後になります。
(大西)4番目の項目は主にマイナス項目になります。全体的な調整を図るために、何を下げるかという内容です。
(高山)どの部分がマイナスになるのか、解説をお願いします。
医療費抑制のターゲット:OTC類似薬の見直し
(高山)早速ですが、何を削るのでしょうか。
(大西)いつもの通り、薬です。
(高山)毎回、薬は削られますよね。
(大西)薬を削るのには2つの考え方があります。「量を減らす」のか「価格を下げる」のかです。今回は量を減らしたいようです。
(高山)どのように量を減らすのでしょうか。
(大西)「OTC類似薬を含む薬剤自己負担のあり方の見直し」です。
一般的に保険財政は国民医療費しか見ておらず、市販で売られている薬は対象外です。
となると、市販されている薬をなぜ処方箋をもらって飲むのかという指摘が医師側からもありました。
これを実行に移し、OTC類似薬、いわゆる市販品と同じ成分を持つ処方薬については、自己負担のあり方を見直そうということになりました。
厳しいやり方は「保険外し」です。
保険で処方箋を発行できなくするのですが、今回はそれは見送られました。代わりに「特別な料金」という形で、少し複雑ですが混合診療的に薬を外出しした形になります。
これで患者の負担は増えますね。
挙げられている薬のリストには、痛み止めのロキソニンやカロナール、アレルギー薬のアレグラなどが対象として出ています。
(高山)患者の目線では、これまではクリニックに行った方がアレグラを安く手に入れられるという感覚でしたが。
(大西)ドラッグストアで買うのと、クリニックで処方してもらうのとで価格差がなくなっていくことになります。
「無診投薬」の是正と受診スタイルの変化
(大西)この裏にあるのが、本来はいけないのですが、診察を受けずに薬だけもらう「無診投薬」の問題です。
薬局でもドラッグストアでも価格が同じであれば、診察代を払ってまで受診しなくていいという風になるのではないかと考えられています。
(高山)薬だけ欲しいという人のニーズを、直接市販薬が拾うような形ですね。
(大西)アメリカに近くなります。
最初に行く場所が診療所ではなく薬局に変わるわけです。
患者が減ることで、結果的に医療費が下がります。
(高山)クリニックの先生方からはどう見えるのでしょうか。
(大西)患者が減ると危惧するでしょう。
対策として、OTC類似薬以外の薬を出すということも考えられます。
(高山)同じ作用をする、OTC類似薬に指定されていない別の薬を出すということですね。
(大西)例えばアレグラの代わりに、まだ類似薬ではないビラノアを出すといった対応です。
新しい薬はいきなりOTC(市販薬)にはスイッチできないため、できるだけ新しい薬を使うようになるのではないでしょうか。
昔から漫然と出している薬が、厳しくなっていきます。
風邪薬のカルボシステインやロキソニン、ロキソニンテープなどは、医師からすれば安全性が高いので出しやすいのですが、「市販でも買える」と判断されます。
(大西)患者さんに「処方してもドラッグストアと同じ値段ですから出しません」とは言いにくいものです。
単純に患者負担が増えることを説明しなければならず、クリニックの説明能力が試されます。
「一部の薬は処方箋で出せますが、高くなります」といった掲示が必要になるかもしれません。
(高山)医師泣かせの内容ですね。
(大西)前回の改定でも「長期収載品は高くなる」というルール変更があったように、昔からある薬の自己負担を増やす流れはできています。
厚労省としてはワンクッション置いているつもりなのでしょう。
残薬問題の解消:電子処方箋とリフィル処方の活用
(大西)もう一つの大きなポイントは「長期処方」です。
一般的な処方は最大28日という暗黙のルールがあり、1ヶ月分しか出さないのが普通でしたが、アレルギー薬などは2ヶ月、3ヶ月分を希望されることがあります。
(大西)これが残薬の温床になっています。
例えば、余った薬を来シーズンまで取っておくといったケースです。
これでは医療費を上げるだけなので、使い切りを促す流れになります。
ただ、混んでいるクリニックで残薬を一つひとつ数えるのは大変で、待ち時間の増加につながります。
それを解決するために電子処方箋システムを導入したいわけです。
(大西)電子処方箋があれば、処方の瞬間に「薬が余っている」ことや「他のクリニックで同じ薬が出ている」ことがチェックできます。
先生が無駄な薬を出さずに済みます。
また、リフィル処方の普及も目指しています。
3ヶ月分処方するけれども、薬は薬局で毎月受け取ってもらうという考え方です。
医療DXの推進と電子カルテの義務化
(大西)医療DXやICTを活用する医療機関や薬局の体制を評価する仕組みも強化されます。
電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを導入すればプラス評価、参加しなければ実質的なマイナス評価となります。
厚労省はこのベースを「電子カルテ」に置いています。
電子カルテを導入していないところは、改定の恩恵を得られません。
医療法の改正により、2030年度までに100%の医療機関に電子カルテを導入することが法律に書き込まれ、ほぼ義務化されました。
(高山)そうですね。
(大西)処方箋か電子処方箋かで価格差をつけたり、DXの加算が取れなかったりするのは、結局マイナス評価です。
マイナスになるということは罰則規定とほぼ同じです。
例えば、電子カルテを入れなかったら罰金50万円というのと、電子カルテを入れなかったら点数が取れないというのは、同じ意味ですから。
(高山)そうですね。
(大西)そう考えると、今回のマイナス要素には薬だけでなく、DXもしっかり入っています。
(高山)なるほど。電子カルテの導入や付随するコストを考えて、それでもマイナスになってもいいと考える方もいるでしょう。
一方で、計算するとやはりマイナスになるから、差し引きで電子カルテを入れなければならないと考える方もいるはずです。
開業医の年代によっても考え方が分かれそうですね。
引退まであと何年あるかによって、導入するかどうかを判断することになるでしょう。
薬局経営の厳格化とクリニック経営への影響
(大西)薬の処方の見直しが必要になります。
これまでの「前回と同じ薬」というセット処方では価格が高くなってしまうため、薬を組み直す必要が出てきます。
薬局側についても、クリニックの目の前にある「門前薬局」や「ビル診」の1階にある薬局は軒並み点数が下がります。
薬局の経営が厳しくなり、撤退するケースも出てくるかもしれません。
クリニックとしても薬局まで含めて配慮が必要です。
薬局が立ち行かなくなると、クリニックビル自体の経営に影響し、家賃の値上げやビルの倒産といった事態も起こり得ます。
今後の予測としては、保険診療の制限が厳しくなる分、自費診療(自由診療)を増やす動きが加速するでしょう。
花粉症治療の変化と耳鼻科への影響
(高山)患者側のリテラシーも求められますね。
(大西)どこで薬を買うのが安いかを知っておく必要があります。
(高山)オンライン診療など、薬をもらいやすい仕組みも作られていくでしょうが、情報格差も広がりそうです。
(大西)大きな変化としては、花粉症の治療です。
これまでは「耳鼻科に行く」のが一般的でしたが、今後は「薬局に行く」人が増えるでしょう。
(大西)そうなると、耳鼻科は「花粉症を治す」方向へシフトする必要があります。
レーザー治療や舌下免疫療法といった、医師でなければできない治療に力を入れることになるでしょう。
今回の改定は6月実施なので、今シーズンの春の花粉症には影響しませんが、秋以降に向けて準備が必要です。
「6月から薬が高くなる」という報道があれば、駆け込み需要が来るかもしれません。
まとめ
(高山)今日は4番目の「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」について解説していただきました。
(高山)令和6年度の診療報酬改定の基本方針の概要についてお話しいただきました。DOC WEBのサイトで資料をダウンロードできますので、ぜひ見直しながら聴いてみてください。
(高山)次回はさらに具体的な内容について、大西さんにお聞きします。ありがとうございました。
(大西)ありがとうございました。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、最後までお聞きいただきましてありがとうございました。
少しでも気に入っていただけましたら、番組のフォローをぜひお願いします。新しいエピソードがいち早く届きます。
番組への感想はハッシュタグ「#院長が悩んだら聞くラジオ」をつけて投稿いただけると励みになります。
この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。
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DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)
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